仕事と更年期障害との付き合い方

女性の更年期とは、閉経をはさんで前後各5年ほど、約10年間のことを指します。もちろん閉経の時期は個人差がありますが、平均50歳ぐらいです。閉経を50歳とした場合、更年期は45歳~55歳という働き盛りの時期となります。

症状の出方は個人差が大きく、ほとんど症状を感じないまま更年期を終える人もいます。反対に、いくつもの症状に悩まされる人もいます。さらに、症状がつらくて、日常生活に支障を来すような場合を「更年期障害」といいます。ここで注目されるのは、この更年期によって仕事への影響を受ける人がいることです。
NHKが実施したアンケート調査によると、更年期障害によって昇進を辞退した人が50%いるそうです。

参照:https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_438.html


会社の仕事に限らず、家事においても以前ならありえないようなミスをしたり、気力が低下して、これまでできていたことができなくなったりする人がいます。
これに対して、「自分のせいで」と自分を責めすぎてしまい、気を病んでしまう人が少なくありません。
実際にカウンセリングでそのような相談を受けることがあります。年齢のせいでもその人自身のせいでもなく、不調や体力・集中力の低下、やる気の喪失は、「更年期障害のせい」です。
このような思考に陥ってしまったり、更年期障害の症状を感じやすい人は、真面目で頑張り屋、神経質、完璧主義といった性格が多いと言われています。
この時期の女性は仕事や子育て、介護など環境のストレスも多く関係し、更年期の症状が重くなる傾向にあります。更年期を「自分の心と体を見直す時期」だと捉え、心身のストレスを発散していくことが重要です。

更年期は、上記の症状以外にもさまざまな病気の発症リスクが上昇しはじめる時期です。更年期の症状を解消するだけでなく、将来のリスクを考慮したケアを行っていきましょう。

まずは、つらい症状が更年期障害によるものなのか診断を受けることが大切です。

【診断の目安】
①年齢
②症状
③血液検査*:卵胞ホルモン(エストロゲン)の低下
       卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の上昇
④ほかの病気がない
など、

受診先としては3種類。婦人科、更年期外来、女性外来です。
*症状がつらい、じっくり話を聞いてもらいたいなどの場合は専門医に相談をするのがいいです。
*「更年期外来」とは更年期に理解の深い専門医が診察する外来
*「女性外来」とは女性の全身症状をトータルで診察する外来

更年期の受診をきっかけに、長くつきあっていける主治医(かかりつけ医)を見つけて定期的に受診していくのも健康に歳を重ねるためには大切です。更年期障害の診察を受けると同時に、更年期以降心配になる骨密度やコレステロール値、乳がん、子宮体がんなどの検査を受けておくのもよいことです。今後起こりがちな病気の早期発見にもつながります。

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