タイムマシンのパラパラパラドックス

タイムマシンのパラドックスというやつがある。
タイムマシンで過去に遡って、過去の自分を殺したとする。すると過去の自分が消えてしまうから未来の自分も消滅することになる。するとすると、過去の自分が死ぬ原因となる未来の自分がいなくなるから、過去の自分が死ぬという結果は発生しない。そうなると未来の自分も生きているから、過去に遡って過去の自分を……無限ループってこわいね、
という有名なアレだ。

でも私、むかしから不思議だったんだけど、本当にそうなるんだろうか?

過去の自分をA、タイムマシンにのってAを殺しに来る未来の自分をA'とする。

A'がAを殺す、とあっさり言っているが、これには条件がある。A'とAが同じ時間軸に、同時に別々の存在として存在できることだ。
ここを否定するとAが殺されるというパラドックスの起点が消えてしまうので、ひとまず殺すことは可能である、つまりAとA'は世界にとって別々の存在である、ということを前提とする。ではそうすると、Aが殺されたらAの未来の姿であるA'も消滅するのだろうか?

しないんじゃないかな。

Aの死亡という結果がA'にも適用されるのは何故か、それは時間軸が違えどもAとA'が同一の存在だからである。しかし、A'がAを殺せる世界では、A'とAは別々の存在として定義されている必要がある。
つまりA'とAが同時に存在できるのであれば、Aの死亡の結果は別々の存在であるA'には適用されない。したがってパラドックスの前提が誤っているのではなかろうか。
そこに挟まってるルールが並行世界なのか何なのかは私にはわからない。しかし起点となる事象から推察すると、問題となる事象が起こらないのではないかと思う。

じゃあ逆にこれがタイムリープならどうかな?時をか〇る少女のアレだ。記憶と意識だけ過去の自分に飛ばされる、っていうやつ。
あれならば、そもそも論として飛ばされた時点でAとA'は同時に存在できない。AとA'は統合され、位置や肉体などの物理的なステータスはAの、意識や記憶などの精神的なステータスはA'に依存する。
ではそのA=A'が自分を殺す、すなわち自殺したらどうなるか?
この場合は世界にとってAとA'は同じ存在だから、未来のA'も消滅すると思う。だけどやっぱり大前提として、統合される時は本来のその時間軸の存在であるA側に意識も依存するのではないのかな、と思う。A'にアドバンテージがとれるような理由はない。
もっといえばA=A'になって自殺した段階で、それは「Aが死んだ」という以上の意味を持たないのではないか。因果関係の線の上から、Aと同一化した未来のA'は捨象されるのではないか。つまり、Aの死にとってA'の存在は必須でなくなるのではないか???

もしも、もしもだけれど、
ある日あなたの頭の中に突然未来のあなたがやってきて、その瞬間にあなたは全てに絶望し、自らを消してしまったら。
それが未来のあなたのせいだとわかる人はいないし、神様にとっては同じことかも知れないじゃない。

そう考えるとタイムマシンもタイムリープも、ないほうが住みやすいね。この星は。


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