電験3種 2021年度 理論 問12 電界・磁界による力

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電界から電荷が受ける力と磁界の中を動く電荷が受ける力についての問題です。

(前提)

電界による力:
電界E [V/m]中に電荷q [C]を置くと、電界の向きにq×E [N]の力が働きます。電界は電荷が受ける力ということに注目し,電界の単位は [N/C]と表すこともできます。

磁界による力:
磁束密度B [T]の磁界中を電荷q [C]が速度v [m/s]で動くと、フレミングの左手の法則で表される向きにq×v×B [N]の力が働きます。
磁束密度B [T=N/Am]と透磁率μ [H/m=N/A^2],磁界H [A/m=N/Wb]の間には,B=μ×Hの関係があります。単位からわかるように,磁束密度[N/Am]は電流(=動く電荷)が受ける力磁界[N/Wb]は磁極が受ける力を表します。

(考え方と答え)

電界による力は、電界E [V/m]、電荷-e [C]なので、力は-e×E [N]になります。マイナスがついているので、電界と逆向きであるx軸の負の向き、つまり紙面の下方向に、大きさe×E [N]ということです。

動く電荷に対して磁界によって働く力は,磁界H [A/m]ではなく磁束密度B [T]で求めます。この問題では磁界Hと透磁率μ0が与えられており,B=μ0×Hとなります。
磁束密度μ0×H,電荷-e [C],速度v [m/s]なので,力は-e×v×μ0×H [N]になります。
フレミングの左手の法則で,人差し指を磁束の方向(=磁界の方向)であるy軸の正の向き(紙面の手前方向),中指を電荷の運動の方向であるz軸の正の向き(紙面の右方向)に合わせると,力の方向はx軸の負の向き(紙面の下方向)となります。
力にマイナスがついているので実際に働く力は逆向きとなりx軸の正の向き(紙面の上方向)に,大きさe×v×μ0×H [N]となります。

等速直線運動をするという条件なので,電界によるx軸の負の向きの力と磁界によるx軸の正の向きの力が釣り合っていることになります(釣り合っていないと,常にハンドルを切っている自動車のように円運動します)。したがって,
 e×E=e×v×μ0×H
となり,vを表すように変形すると,
 v=E/μH
となり,正解は③です。

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