見出し画像

ヨネダ2000さんランジャタイさん「へのへのモハメド・アリ☆」を作ってくださってありがとうございました という話

10日あまり前に見た「へのへのモハメド・アリ☆」の余韻がまだどこかに残っていて、ふわふわと生きています。

ヨネダ2000。昨年の秋頃名前を聞いて、見たいと思って、とりあえずその日の神保町に行ってみた。「どすこい」だったと思う。ポッカリとどこからいきなり現れたような、何にも似ていない表現、目が離せなかった。ていうか衣装声表情出囃子、どこをとっても超絶にかわいい。もう、全部が大好き。理屈なんかない。これが「推し」なのか。と知りました。
それからずっと、彼女たちの怒涛の快進撃から目が離せないでいます。

金属バットと鬼越トマホークの有楽町ライブにヨネダ2000がゲストで来た時も居合わせることができました。字面だけでもおっかない4人を、巨大なモヒカンのヅラで圧倒したところ、あんなカッコいいもの見たことないです。
金属お二人はいつもの通りまったりダルダルしてたのですが、「なんやこらエラいの来たで」的に俄然興味を示し出したのが印象的でした。
今思えば、この時、お?この人たちランジャタイとなんかあるのか?みたいな匂わせしていましたね。

そして今回のライブが発表された時は、
こんな夢みたいなことがあるのかと。
制作スタッフの面々もものすごくて、誰が企画したか知らんがとんでもねえ策士がいるもんだなと惚れ惚れしましたが、今回〆に仰っていたところでは、なんと主催はヨネダ2000だということ。ほぼ初回のツーマンの相手に「2分以上喋ったことがない」憧れの人を呼ぶ、しかも、全く見劣りせずにやってのける・・・ヨネダ2000お二人の度胸、強さ、坐りきった肚、カッコいい以外の言葉がないです。もう本当に全部が大好き。

セットリストは
OP「おどるポンポコリン」フルコーラス
1. ヨネダ2000「プロおみこファー」
2. ランジャタイ「通訳」
3. ヨネダ2000「習い事」
4. ランジャタイ「永野」
5. ヨネダ2000「YMCA寿司」(byモヒカンブラザーズ)
6. トーク
ED 「YMCA」フルコーラス

フルコーラスの歌の爆音に声がかき消されるのはこの前コウテイも「スースースー」でやってたけど、そっちは「音に負けずにがなり通す」だったので、マイムのみで進むスマートさに感心しました(というか、それぞれの「らしさ」がよくわかるから両方とても良い)。
ランジャタイが客席後ろから入場することで、舞台上の演技に集中している聴衆の視界に後ろ姿でカットインしてくる感じになる演出が最高でした。だって、視界に突然現れる国崎ジャージの背中の鮮やかな黄色、これよりアガるもの、そうそうないのではないでしょうか。

ネタをずっと頭の中で反芻しています。
「習い事」がすごかった。ヨネダのおふたりとも、なんちゅう卓越したリズム感の持ち主なんだろう。ただのトランスでもない複雑なリズム。言葉が場で渦を作り巻き込まれて、どうしようもなく笑ってしまうあの感じの最先端で、もう幸せすぎました。
どのネタももっとずっと見ていたかった。
寿司を!寿司を100人前握りきるとこまで見たかった!(68個でした)。

そしてランジャタイの「永野」が・・・四重構造くらいでしたか?普通にすごすぎん?
こんな複雑な表現が徒手空拳でできるって、いったい国崎さんて何なんでしょう。視点の移動の表現がとにかく見事ですよね。
自分の身体が、今どういう形になっていて、どういう状態にあるのか、
正確に理解して、正しく体を動かすことのできる才能のある人なんだろうと思いました。(だから、YMCAのCの面白ポーズがめちゃくちゃ決まっている!)
また、このネタ、ここ数ヶ月のM-1ツアーの中でどんどん洗練されており怖いほどです。タカトシ寄席の時に見て、伊藤氏の良さに会場中が息を呑んだんですが、それがまた進化していたように見えました。演出を担当しているであろう伊藤氏の、鋭さ有能さが底知れないです。
国崎氏は国民的愛嬌の権化として最終的に西田敏行くらいのとこまでいくんじゃないかと思わされました。

全体90分程度だったと思うのですが、濃密な時間でした。ヨネダ2000のおふたりの輝き紅潮した笑顔、そうそうお目にかかれるものではなかったなぁ。多幸感がすごかった。早くはじまってほしいけど始まってほしくなくて、ずっと終わらないで永遠に続いてほしかった。

トークの際、ランジャのお二人とも気のいい優しいお兄さんぶりを発揮しておられました。思えば、男女芸人が並ぶと自然と発生する「先輩後輩」「自分ブス/デブやな」「このなかで好きなタイプは」云々の空気が、どこにも一切なかったな。すごいことだな。と思い返してます。
Spank Happyの再始動の際に菊池成孔さんが、
「(新生スパンクハッピーは)年齢差があって男女なのに、分業されていないことの新鮮さを目指す」というようなことをおっしゃっていたが(そしてそりゃもう素敵に実践されてたが)その「新鮮さ」が満ちていました。

コンプライアンスに気を遣っているというつまらん話ではなく、演者がジェンダーレスだという話でもない(ヨネダのおふたりはめちゃガーリーだし、ランジャタイは、あぁ〜しらきさんおっしゃるところの「成人男性」)。
4人とも物腰が上品で優しく、強烈なキャラ感があるけれど、それではとても隠しきれてない途轍もないパワーとスマートさが溢れ出てしまっていて、歳や性別を云々してる暇なんかない!という感じが会場全体に自然に共有されており、それがとても現代的で、つくづく良い時代になったなと思いました。

こんな奇跡のような時間をこの世に生み出してくださり、関係者の皆様、本当にありがとうございます。セブンイレブン発券のチケットを額装する日が来ようとは思いませんでした。大事な宝物にします。

願わくばお金をもっともっと払わせてください、
これが3,000円なわけないだろ!と思います。

これからもヨネダ2000とランジャタイの一挙手一投足を固唾を飲んで遠くから熱心に見守らせていただきたく存じます。