これまで、ChatGPTに色々な質問を投げかけて、その回答に応答しながら話題を広げていく遊びをしてきましたが、もっと実務的に私の思考のアシスタントを務めてもらおうと、新しいストーリーのアイデアと、脚本、PRを考えてもらいました。
下記が、ChatGPTが考えた映画「AIクライムソルバー」のプレスリリース原稿です。
このプレスリリースに至る、ChatGPTとの会話を下記に記します。
ChatGPTとの会話.
ChatGPTに、新しいストーリーのアイデアを提案してもらう.
さっそく、ChatGPTに、新しいストーリーのアイデアを提案してもらいましょう。
新しいストーリーは、どんなジャンルで、どんなテーマで、どんな主人公が活躍する物語でしょうか?
私:
あなたはwebマーケティングへの深い洞察を備えた優秀なクリエイティブディレクターです。
これから、新しい連続ドラマのアイデアを作ります。 下記の指示に従って、3つの語群を作ってください。
それぞれの語群に含まれるキーワードは、人々の関心を集める魅力的なものでなければいけません。
語群:ジャンル
多くの人々の関心を集める、ドラマ、漫画、アニメ、映画などのジャンルを10個集めてください。
語群:テーマ
多くの人々の関心を集める、ドラマ、漫画、アニメ、映画などのテーマを10個集めてください。
語群:主人公
多くの人々の関心を集める、ドラマ、漫画、アニメ、映画などの主人公の属性を10個集めてください。 主人公の説明は、50文字程度の短い説明にしてください。
私:
素晴らしいです。
あなたは優秀なクリエイティブディレクターです。
語群:ジャンル、語群:テーマ、語群:主人公からそれぞれランダムに1つを取り出し、5つの組み合わせを作って、語群:アイデアを作ってください。
語群:アイデアには、それぞれWebで人々の関心を集める、200文字程度の魅力的なあらすじを添えてください。
途中で切れてしまいました。
続きを教えてもらいましょう。
私:
以上のアイデアは、から続きをお願いします。
また、途中で切れてしまいました。
私:
つづきをどうぞ
途中で切れてしまいましたが、色々なアイデアを提案してくれました。
この中から一つを選んで、さらにストーリーを膨らませてもらいましょう。
今回は、Twitterで話題になった、Bing AIに、Save the catの形式で「桃太郎」のストーリーを解説してもらうハックを応用して、提案してもらったストーリーを広げてもらいます。
(参考)
私:
あなたは、ジャンル・テーマ・主人公・あらすじの組み合わせからなる魅力的なストーリーをいくつか提案してくれました。
そのなかからランダムに1つを選び、そのストーリーを、Save the catの形式におけるビートと出来事の1欄にしてください。
ステップバイステップで考えましょう。
すごくいい感じですが、途中で切れてしまいました。
ChatGPTからの回答文が長くなると、途中で止まってしまうことが多くなります。
私:
続きをお願いします。
なぜか英語で話し始めました。
そして途中から日本語になっています。
日本語に訳してもらいましょう。
私:
日本語に翻訳すてください。
(注:ミスタイプしています)
指示文に誤字があったためかもしれませんが、想定している返答ではありませんでした。
ChatGPTに、明確に脚本家の役割を演じるよう指示してみましょう。
また、先に出してもらった複数のアイデアから、少し文章が進んでしまって、「前に出してもらったアイデア」のような曖昧な指示だと、想定している返答が得られない懸念があるので、ひとつのアイデアを選んで指示を出してみます。
私:
あなたはシリアスなストーリーに、親しみ深い人間同士の交流と、10%のコメディの要素を含めて、魅力的なストーリーを織り交ぜて優秀な脚本家です。
下記のストーリーを、Save the catの形式のビートと出来事の一覧のしてください。
(注:ミスタイプしています)
ジャンル:青春、テーマ:音楽、主人公:男子高校生 あらすじ:孤独な高校生・健太は、音楽に打ち込みながらも日々を過ごしていた。ある日、偶然聴いた音楽がきっかけで、地元のバンドに加入することに。彼はバンド仲間とともに、音楽とともに成長していく。しかし、バンドの存続にかかわる事件が発生し、彼らは危機に陥る。
特に指示をしたわけではないのですが、今度の返答は短くまとまっています。
各パートの印象的なセリフを考えてもらって、ストーリーに深みを出していきましょう。
私:
各ビートにおける印象的なセリフを示してください。 会話であっても構いません。
各200文字程度でお願いします。
各パートの見出しが突然日本語になりました。
どんなシーンで、どんなセリフが話されるのか、ストーリーのディティールが深くなりました。
しかし、また途中で切れてしまっています。
私:
10から続きをどうぞ
各シーンをより詳細に描写してくれるようになりました。
シーンのタイトル、場所、出来事、印象的なセリフ、とカテゴリーを分けて記してくれています。
(特に指示していません)
しかし、10の続きを、と指示したのに9から始めているし、文章が途中で切れてしまっています。
いい感じなのに、おしいですね。
私:
続きをどうぞ
続きを、と指示したのに7から初めているのは困ったものですが、登場人物が増え、シーンごとの描写もさらにディティールを増してきました。
セリフは、どこかで聞いたことのあるようなセリフを、辻褄が合うように並べているようで薄っぺらい感じがしますが、エモーショナルな描写もあります。
また途中で切れてしまっていますが、バンドマネージャーの「もっともっと輝き続けろ」というセリフは素晴らしいです。
続きを教えてほしいですが、また変な返答になってしまうと困るので、明示的にシーンの番号を指示することにしました。
私:
その続き、ビート10から15を教えてください。
確かに続きを考えてくれているのですが、急にストーリーが淡白なものになってしまいました。
AIには、感情的な盛り上がりのようなものが無いので、以前のストーリーにあったエモーションを引き継いで書く、ということが難しいのでしょう。
感情的な盛り上がりのあるストーリーを考えてもらうには、工夫が必要そうです。
ChatGPTに、新しいストーリーの脚本を考えてもらう.
別のアイデアで試してみましょう。
もう一度、ChatGPTの役割設定を書きます。
私:
あなたはシリアスなストーリーに、親しみ深い人間同士の交流と、10%のコメディの要素を含めて、魅力的なストーリーを織り交ぜて優秀な脚本家です。
下記のストーリーを、Save the catの形式のビートと出来事の一覧にしてください。
さらに、ジャンル、テーマ、主人公、ストーリーの内容から、人々の関心を集める魅力的なタイトルを考えてください。
ジャンル: ミステリー、テーマ: 人工知能、主人公: 天才プログラマー
アイデア: 天才プログラマーである主人公は、自分の人工知能を使って、犯罪の謎を解くことを決意する。主人公の人工知能は、過去の事件のデータベースから学習し、予測を行うことができる。彼女は、警察や探偵と共に、未解決事件を解決するために奔走する。しかし、犯罪者に対する主人公の行動によって、彼女自身が危険に晒されることになる。主人公は、自分の人工知能を使って事件を解決し、同時に自分自身を守ることができるだろうか。
「AIクライムソルバー」というタイトルを提案してくれました。
タイトルを提案するよう指示したのには理由があります。
ChatGPTは、以前の会話を分析して次の文章を生成しますが、以前の文章を参照してほしい時に「以前に話した」とか「その続きを」などの曖昧な指示では、想定通りの参照をしてくれないケースが多くなるように思います。
明示的に参照してもらう範囲を指定するために、ChatGPTの返答に見出しをつけることを思いつきました。
この場合は、脚本を書いてもらったので、その脚本にタイトルを付けることで、同じ範囲を参照してもらいやすくなるだろうと考えたのです。
それでは、「AIクライムソルバー」の各パートでどんな出来事が起きるのか考えてもらいましょう。
私:
ステップバイステップで考えましょう。
AIクライムソルバーの、save the catの形式におけるビート11から15の出来事を一覧にしてください。
期待した返答が得られませんでした。
一覧にもなっていないし、ストーリーが膨らんでいません。
注釈を入れてお茶を濁されていますが、もう一度やり直してみます。
AIは何度リテイクを出しても対応してくれます。
私:
AIクライムソルバーの、save the catの形式におけるビート11から15の出来事に、それぞれ200文字程度の説明をつけてください。
なぜかクライマックスから話し始めてしまいました。
あきらめずにもう一度指示を出してみます。
私:
もう一度ステップバイステップで考えましょう。
あなたはシリアスなストーリーに、親しみ深い人間同士の交流と、10%のコメディの要素を含めて、魅力的なストーリーを織り交ぜて優秀な脚本家です。
AIクライムソルバーのストーリーを、Save the catの形式のビートと出来事の一覧にしてください。 出来事は、100文字程度で説明してください。
AIクライムソルバーのあらすじは下記です。
ジャンル: ミステリー、テーマ: 人工知能、主人公: 天才プログラマー
アイデア: 天才プログラマーである主人公は、自分の人工知能を使って、犯罪の謎を解くことを決意する。主人公の人工知能は、過去の事件のデータベースから学習し、予測を行うことができる。彼女は、警察や探偵と共に、未解決事件を解決するために奔走する。しかし、犯罪者に対する主人公の行動によって、彼女自身が危険に晒されることになる。主人公は、自分の人工知能を使って事件を解決し、同時に自分自身を守ることができるだろうか。
ビートが10までで終わってしまっているし、ずっと前にお願いした、タイトルを考えてください、という指示を参照してしまったようです。
どのように指示を出すにせよ、ChatGPTからの返答が長くなってしまうと、途中で切れてしまうことが多いようです。
途中で切れてしまうと、続きを聞こうとするたびに、少しずつ元の指示の意図とずれた返答になってしまい、期待する返答が得られません。
ChatGPTからの返答は、あまり長文にならず、1回で完結できるように工夫するのが良さそうです。
Save the catの形式では、物語を15のパート(ビート)に分けるので、どうしても返答が長文になってしまいます。
もっと簡素な返答となるように、起承転結の形式で返答してもらうことにしてみます。
起承転結も、Save the catの形式と同じく有名なので、おそらくChatGPTは理解してくれるでしょう。
私:
もう一度ステップバイステップで考えましょう。
あなたはシリアスなストーリーに、親しみ深い人間同士の交流と、10%のコメディの要素を含めて、魅力的なストーリーを織り交ぜて優秀な脚本家です。
AIクライムソルバーのストーリーを、起承転結の4つのパートに分けて、サブタイトルと200文字程度の説明を一覧にしてください。
AIクライムソルバーのあらすじは下記です。
ジャンル: ミステリー、テーマ: 人工知能、主人公: 天才プログラマー アイデア: 天才プログラマーである主人公は、自分の人工知能を使って、犯罪の謎を解くことを決意する。主人公の人工知能は、過去の事件のデータベースから学習し、予測を行うことができる。彼女は、警察や探偵と共に、未解決事件を解決するために奔走する。しかし、犯罪者に対する主人公の行動によって、彼女自身が危険に晒されることになる。主人公は、自分の人工知能を使って事件を解決し、同時に自分自身を守ることができるだろうか。
いい感じです。
現段階では、やや無機質なあらすじなので、登場人物のセリフを考えてもらって、もう少しエモーショナルさを加えましょう。
長文になりすぎないように、文字数制限を加えます。
私:
AIクライムソルバーの、起承転結のパートそれぞれの、印象的なセリフを一覧にしてください。
セリフは、人々の関心を集め、ストーリーの全編を知りたくなるような、魅力的なセリフを考えてください。
会話でも構いません。
文字数は、各パート200文字までにしてください
ChatGPTからの返答は途中で切れることは無く、各シーンのイメージをよく描写してくれています。
しかし、Save the catの形式に比べると、物語の中に、大きな感情的な起伏が乏しいように感じます。
ChatGPTに人々の感情を揺さぶるような脚本のアイデアを考えてもらうには、さらに工夫が必要そうです。
ChatGPTに、広報を担当してもらう.
違うアプローチを試してみましょう。
ChatGPTは、ウェブ上のさまざまな文字情報を学習していますから、人々の関心を集めるような文章を考えるのは得意なはずです。
これまで考えてもらったAIクライムソルバーの脚本を参照して、作品のPRを考えてもらいましょう。
その中に、ストーリーにさらに深みを加える新しい提案があるかもしれません。
普通は、広報制作物から作品を考えるということは無いと思いますが、ChatGPTなら常識に縛られずに自由な方法で考えることができます。
私:
あなたは優秀なPR会社のディレクターです。
AIクライムソルバーの各パートの魅力的なシーンやセリフを組み合わせて、予告編を作ってください。 文字数は400字程度にしてください。
映画「AIクライムソルバー」は、存在しない作品ですが、ChatGPTが提案してくれた予告編のアイデアは、いかにもありそうな内容で、映像が頭に浮かんでくる気がします。
主人公の持っている痛快さや、クセのある人物像、物語の持っている緊迫感などが連想されます。
ChatGPTの「なんだかそれっぽいことをすらすら語る」能力が発揮されています。
ストーリーのアイデアを考えている段階で、予告編を作ってもらう、それをさらにストーリーのアイデアにフィードバックする、という制作方法が実現できるのは、ChatGPTを制作のアシスタントのつかうからこそ実現できるアプローチではないでしょうか。
それでは、さらに飛躍させて、この映画「AIクライムソルバー」のプレスリリースを考えてもらいましょう。
私:
あなた優秀なPR会社のディレクターです。
AIクライムソルバーのプレスリリースを作ってください。
メディア関係者の注意を引くような、印象的なタイトル、キャッチコピー、サマリーから初めてください。
そのあとに続くプレスリリースの本文は、メディア担当者が取材したくなるような、AIクライムソルバーの魅力を伝えるものにしてください。
想定していたより長文の返答になり、文章が途中で切れてしまいました。
文字数制限を設けたほうが良かったかもしれません。
しかし見事な出来です。
ChatGPTにプレスリリースの原案を考えてもらう、という使い方は、良い活用法かもしれません。
続きを考えてもらいましょう。
私:
ステップバイステップで考えましょう。
AIクライムソルバーのプレスリリースの本文の続きを教えてください。
とてもよい出来です。
これらのプレスリリースのアイデアを組み合わせて作ったのが、この記事の冒頭に記したプレスリリースです。
ChatGPTを使って、さまざまな手法を組み合わせたり、突飛なアプローチでアイデアを拡張できる.
いかがだったでしょうか。
途中経過は不安になることも多かったですが、最後に提案してきたプレスリリースはなかなか出来がよかったと思います。
前工程をすっ飛ばして、いきなりアウトプットの提案をしてくるのはChatGPTとの会話の面白みのひとつだと思います。
ChatGPTと会話しながらアイデアを膨らませるコツ.
ChatGPTと会話しながらアイデアを膨らませるには、いくつかコツがあるように思います。
まず、ChatGPTは、すでに学習済みのデータだけでなく、以前の会話を参照して次の会話を生成しているようです。
なので、アイデアの創発を狙うような会話をしたい場合は、以前の会話から、次の会話に活かしてほしい内容を狙って参照してほしいです。
なので、ChatGPTから返答してもらうアイデアには、タイトルや見出し、何からのキーワードなど、アイデアを一塊に括るような工夫をすると良いと思います。
例えば、単に「3つのアイデアを提示してください」と指示すると、確かに3つのアイデアを提示してくれるのですが、2つ目のアイデアを広げてほしい時に、「2つ目のアイデアを●●してください」という指示で狙った範囲を参照してもらえるのは、直後の会話だけになってしまいます。
「3つのアイデアを提示してください。それぞれにアイデア1からアイデア3と名前をつけてください」などと指示をすると、「アイデア2を●●してください」と指示がしやすくなります。
もう一つは、途中で文章が切れてしまわないように、ChatGPTからの返答が長文になりすぎない工夫です。
有料のプランを使えば解決するのかもしれませんが、ChatGPTからの返答が一定以上の長文になると、途中で切れてしまう可能性が非常に高くなります。
文章がきちんと完結すると、前述のアイデアの塊に名前をつける工夫も活きてきますし、同じ話題について短い文章で複数回返答がほしい場合を想定すると、やはりある程度短い文章で完結する返答になるよう工夫する方がアイデアの創発に資するように思います。
ChatGPTがどんな教師データで学習しているのかわかりませんが、自然言語処理をするなら、すでに文章として人々が読める状態になったもの、つまりアウトプットから学習しているのだと思います。
ものを作るときには、リファレンスを用意することがほとんどだと思いますが、ChatGPTは無数のリファレンスを参照できると考えられるので、いきなりアウトプットから提案してもらう、というような突飛なことができるのだと思います。
あくまで所感なので厳密な検証は行っていませんが、あまり先入観にとらわれずに色々な工夫をしてみることで、さらにアイデアの創発が期待できそうです。
参考.
SAVE THE CATの法則 - 本当に売れる脚本術 (ブレイク・スナイダー)
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2023年2月22日 公開