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2年連続の実質賃金減少

 辛坊治郎氏が吠えていましたけれども・・・

増税やステルス増税ばかりの自公連立政権では、そうなるしかないですよね。
経団連と連合が賃上げだーと騒いでいますが、その分、下請けへの値下げ圧力はますます激しさを増しています。

中小企業は生産性向上の足を引っ張っている

とは、よく言われることなんですが・・・

同じ業務で毎年値下げを食らうという状態で生産性が上がるということは、よほど改善余力がある案件だと言えます。

少し考えればわかると思うのですが、

毎年、卵が値下げされていますか?
毎年、白菜が値下げされていますか?
毎年、飲食店の品物が値下げされていますか?
毎年、洋服店の服が値下げされていますか?

下請けでは普通に起きていることが世間では起きていません。

これほどの値下げ圧力の中、生産性が上昇するということは、単価下落を上回る効率改善が出来ているということになります。
やってみれば分かりますが、そうそう都合よくいくものではないのですよ。

となると、何が起きるのか?

経営者や営業マンが懸命に価格据え置き交渉に奔走するか?
あるいは、品質を下げて見て見ぬふりをするか?

この二択になります。
弊社は、価格据え置き交渉を熱心に行なっていますので品質は担保されたままですが・・・
その分、転注で仕事が減り新規案件の確保に奔走するという自転車操業を行なっています。

他方、値段も下げるが品質も下げて生き延びている会社もたくさんあります。

ここ最近では、

自動車産業での不正問題

少し前は

鉄道車両の不正問題

材料メーカーの不正問題

等々が、明るみに出ました。
下請けではない上流層でこういった事例が発生しているわけです。
末端で、値下げに応じている企業が、どれほどの不正を働いているのか?
私の想像を絶するものがあると思います。

不思議に思うのは、日本円が大幅に安くなり、購買力も失い、人件費もさほど上がっていないのに、いまだ日本での生産回帰の流れが弱いことです。

これはなぜなんだろう???

可能性として、激烈な単価競争で疲弊しきった国内には非効率的な生産設備しか残っておらず、海外の最新鋭設備の前に膝を屈しているのかもしれません。

うちの会社も設備は老朽化が進んでおり、自分たちでメンテナンスを行ないながら精度を維持しています。
機械メーカーさんからは、この設備の限界性能を発揮できている数少ない会社さんの一つですね、と言われるぐらいです。

それって、褒められてるの? 貧乏で設備更新も進んでないという揶揄?

まあ、加工内容や形状次第ですが、ミクロン単位の精度保証もしているものはありますし・・・
恒温室もないので温度測定と熱膨張率計算だけで、よくもまあここまで出せているよなあ・・・と思うこともしばしば。

ま、こんなことはウチだけがやっているわけではなく、下請け町工場であれば大なり小なり、どこもやっていることです。
バブル崩壊、円高、リーマンショック等々で淘汰される中を生き延びてきたのですから。
そういった企業群ですら最近のネット世論ではゾンビ扱いです。

経営者が無能だからだーとか、オンリーワン技術がないからだーと言われますが、どこの経営者さんもギリギリの中で創意工夫を重ね、しのぎを削りあっているのです。
もちろん、系列でぬくぬくとした環境の下、怠惰に過ごす経営者や技術陣もいるにはいますが・・・
ゾンビ企業になるのは系列にも入れず自前の技術を懸命に磨いて生き延びを図ってきた会社がほとんどです。

でまあ、そういった企業群がいよいよ本格的に潰れだしているわけです。
その結果、今まで入手出来ていた品物が急に廃番になるケースが増えてきております。
需給バランスによりどこかで歯止めはかかるかもしれませんが、そのうち、あちこちでアレがない、コレがない、ということになり、コロナでもないのに欠品だらけの世の中になるんじゃないかな、と思います。

かつての日本人であれば、無いなら無いで自作していました。
現代の日本人は、・・・現代のブラックボックス化され複雑化した製品群の影響もあると思いますので、かなり厳しい状況に追い込まれるような気もします。
昭和レトロではないですが、一昔前のアナログな製品を自作して生活するという世の中になるのかもしれません。

実質賃金の目減りが2年連続していること、賃上げできる企業とそうでない企業とで二極化が進んでいること、そして、底辺を支える企業を馬鹿にする風潮が強まっていること、を勘案すると・・・

末法の世といわれた中世に逆戻りしたかのような社会構造になるのかもしれません。

日本人として、それでいいのかなあ? と疑問符がついています。


しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。