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インドネシアの鉄道

 インドネシアの高速鉄道が順調らしい。

上の記事を書いた人は、下の記事も書いていまして・・・

まあ、貶したり褒めたりで忙しい感じですが・・・

結局のところ、

価格勝負するには大規模生産しかない

という当たり前のお話に帰するわけです。
中国の場合、国内の市場規模だけでも相当にあります。
ですから、製造企業の規模、生産能力、投下資本が日本よりはるかに大きいのです。
半導体事業と同じで、大規模生産以外に価格競争力を保持できない以上、常に何らかの需要を捻出可能な国と、完全自由で需要など創出しない国では、そもそも勝負にならない(価格面では)のです。

小規模生産しか出来ない国では、何をすべきか?

ブランドやニッチを磨く

これしかないわけです。
鉄道車両についても同様で、ななつ星が成功したようにブランド化していくしかないわけです。

そして、日本の鉄道は、輸出するほどの製造企業を保有していません。
国内需要を満足する程度しか生き延びておらず、しかも、

ブラック企業レベルの残業時間数(月100時間残業)となっています。

一時期の輸出ブームの頃には、月200時間残業が当たり前の世界でした。

で・・・外注先を増やそうとしていたのですが・・・

安すぎて無理

という状態だったのです。
弊社にも依頼が来たのですが、金型が40面ぐらい必要でして、総額で1000万円。

これを自腹で準備しろと言われました。

で、生産での費用回収が可能かどうか?
年間発注量を尋ねると・・・年間受注金額で200万円しかありませんでした。
つまり、金型代金を償却するまでの5年間、一円も工賃を稼いでいない計算になるわけです。
少なくとも30年、下手すりゃ4~50年レベルで考えないと厳しいお話です。

なぜ、こんなことになっているのか?
舞台裏を聞いてみると、そもそも金型を起こしたのがバブル時代。
それから20年以上、同じ金型で生産しているそうでして・・・
当時は金型代金も支払ってもらったそうです。
で、コストダウン要請もあり、単価引き下げを経て現在に至る、と。
こうなると、

参入障壁が異常に高い

わけですね。

相場は人件費に毛が生えた程度。
設備更新は考えない。

これが日本の鉄道産業を支えている底辺の実態です。

このままいくと、輸出を行なうどころか、そもそも製造を請け負う会社自体が消滅してしまうのでは?
という状態なのです。

それでもまだ本格的な支障が出て来るまで、あと10年か20年の時間がかかるでしょう。
さらに、鉄道車両の寿命は、30~40年あります。
つまり、早くて40年後、遅ければ60年後ぐらいに致命的な状態になるという感じですね。

今、全面的に単価を見直し、新陳代謝可能な産業形態への脱皮を図れば、間に合うと言えば間に合います。

が・・・国策としてそれをやるだろうか???

となると、50年後、我々が乗車する鉄道車両の過半が海外製という事態になっているかもしれません。

諸行無常と割り切るか、国産復興を目指すか、それは日本国国民の総意にかかっているといます。

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。