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小太郎との暮らし
小太郎を保護したのは、2015年4月25日の20時頃でした。
春とはいえ、朝晩は冷え込み、肌寒かったのを覚えています。
当時、異業種交流会の幹事役会で様々な衝突があり、人間関係で苦悩していた時期でした。
本業の方でも色々と抱え込んでいる案件が多かったです。
悩みについて考え事をしていたこともあり、いつもより遅めの帰社となりました。
その途中、小学校のそばで、必死に泣き叫ぶ猫の声に気づいたのです。
ん? 猫? どうしたんだろう? と思い、ライトをかざして様子を見ると・・・
もぞもぞ。。。もぞもぞ。。。
と影が動いていました。
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ちっちゃいなあ・・・
恐らくは生まれて間もない仔猫なんでしょう。
親を探して、転げ回っている感じです。
えらいこっちゃと思いライトを消して、周囲の様子をうかがいます。
数分待ってみましたが、親猫の姿が見当たらない。
いないのかな?
この辺りでは、19時頃に野良猫に餌をあげるオバサンがいるのでそこだろうか?
いやいやいや。
もう1時間は経過しているし、巣に戻ってきていい時間のはず。
引っ越し中? 育児放棄? どっちなんだろう???
と、悩みました。
実は、この辺は遊水池があり自然動物が多いのです。
特に、チョウセンイタチが多数出没するんです。
時にはアライグマが出ることも・・・
仮に引っ越し中なら、仔猫がじっとしていてくれればすぐには襲われないと思うんだけど・・・
あれだけ、泣き叫んでいるとなあ・・・
親猫が戻ってくる前に襲われるかな?
意を決して保護することにしました。
真っ黒な仔猫です。
取り残されている仔猫がいないか確認すると、側溝の草陰でうずくまる白黒の仔猫(のちの小太郎)がいました。
私は、この二匹の仔猫を懐に抱きかかえ、家に連れ帰ることにしました。
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家に着いて、すぐに仔猫たちを温めないといけないと気づきました。
帰る途中で、女房殿に電話をかけ、仔猫用ミルクを買いに行ってもらっているので私一人です。
女房殿が帰ってくるまでの間、どうしたらいいか? を考えます。
そうだ! ということで、二匹を手のひらで包み込んで温めました。
私の手は意外に暖かいのです。
二匹とも衰弱しており、そっと包み込んでも押しつぶしてしまいそうなか弱さでした。
しばらくすると、女房殿が帰ってきてくれました。
さっそくミルクを作り始めます。
猫用哺乳瓶に入れ、飲ませようとしたのですが、二匹とも飲んでくれません。
乳首がゴム臭いのかな? と、ミルクで煮込んでみます。
吸い込む力が足りないのかな? と、乳首の穴を大きくします。
角度が悪いのかな? と、抱き方や哺乳瓶の角度を変えます。
結構な時間がかかりましたが、努力の甲斐あって、どうにか飲んでくれました。
まずは一安心。
その後、思いついた策として、ペットボトルにお湯を入れてタオルで巻いた後フリースで巻き、箱の中に入れました。
疑似母猫です。
二匹とも寄り添うようにして寝てくれたので、ホッとしました。
翌朝、動物病院へ連れて行くことにしました。
一軒目に行った犬猫病院では、けんもほろろに追い返されたため、門真のファーブル動物病院へ行くことになりました。
そこでは親切に診てもらい、カテーテルでミルクを飲ませてもらい、病気の有無を確認してもらいました。
二匹とも先天的な病気はもっていませんでしたが体重が70gしかなく、かなり危険な状態でした。
病院でカテーテルをもらって帰ってきたのですが、その後もミルクやりに苦労することになりました。
とにかく口を開けてくれない。
せっかくのカテーテルも挿入出来なければ役に立たないのです。
悪戦苦闘する中、白黒の子は次第に口を開いてくれるようになり、哺乳瓶で飲ませられるようになっていきました。
一方の黒猫ちゃんは、全然口を開けてくれません。
仕方がないので、鼻をふさいで口を開けさしたりして、無理にカテーテルを挿入しました。
タイミングを間違えると、すぐに口を閉じてしまうので上手く授乳させられない状況が続きます。
来る日も来る日も、2~3時間おきに起きてはミルクを準備し飲ませました。
昼間は女房殿一人に任せることになるので、大変だったようです。
夜は私がメインで担当することになります。
二人ともヘロヘロになりながら、お世話し続けました。
ですが・・・
黒猫ちゃんは、自分でミルクを飲もうとしないことがたたり、衰弱死してしまいました。
夫婦して涙を流しました。
遺体を庭に埋め、手を合わせて未熟な保護者だったことをお詫びします。
翌日、白黒の子を獣医さんに診せて相談したのですが、
「この子は、とにかく舌の使い方、口の開き方が下手。
多分、母猫から育児放棄されたのは、授乳が下手だからだと思う。
無事に生き延びることは難しい。」
と言われました。
それでも。
女房殿と私は、必死で白黒の子だけでも生き延びさせたいと、決意します。
今まで以上に細心の注意を払い、
授乳ノートに何グラムを何時に飲ませたか?
体重の変化はどうか?
を記録しながら、二時間おきの授乳にアタックしていきました。
その結果、次第に安定して授乳できるようになっていきました。
youtubeなどで仔猫の授乳動画があるのですが・・・
ウチの小の場合、参考にならん、となりました。(涙)
とにかく、激しく動き回るのです。
頭を下げ、バッファローの突進のように乳首に突っ込んでいくのです。
当然、乳首に口が行かなくなるので、飲めるわけがない・・・
手で掴んで体を垂直に起こし、哺乳瓶を口元に持って行こうとすると・・・
レインボースプリングみたいに手を乗り越えて落ちていこうとするんです。
これには、ヒョエエ~となりました。
仕方がないので、夫婦二人がかりで持って飲ませました。
一人の時は、膝を立てた状態で太ももの上に乗せて、膝上までせりあがってくる所で首を抑え、無理矢理乳首と口の位置を合わせるという荒技でした。
ほんと、ここまで授乳が大変な仔猫って、そうそういないんじゃないでしょうかね???
おかげさまで、授乳動画がないという哀しいことになってしまいました。
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こんなにも苦労はさせられましたが・・・
獣医さんの予想を覆して無事に成長していきます。
生後二週間ぐらいまでは、ほとんど便が出ずに心配しましたが、お尻マッサージとかで開通するようになりました。
このぐらいの頃に女房殿が名前を付けようと言い出し、小太郎と名付けました。
(名前を決めたのは女房殿です)
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生後一か月ぐらいには、体重も500gを超えました。
ところが、急に耳が熱く食欲がない感じになったのです。
すぐに病院に連れていくと、風邪でした。
お薬をもらいミルクに混ぜて飲ませるとすぐに熱が下がり、元気になりました。
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生後二か月を過ぎたあたりから、離乳食に挑戦していくことになります。
が・・・全然、食べてくれません。
困ったなあ~と夫婦して頭を抱え込みます。
一応、ミルクはしっかり飲んでいたので、様子を見守ることにしました。
で、生後三か月が近づいた女房殿の誕生日にトラブルが発生します。
その日は、友人の居酒屋さんでお誕生日用の特製弁当を作ってもらい、夫婦で乾杯。
食後、小太郎にミルクをあげていると・・・
ガシガシガシ・・・ブチッ!?
哺乳瓶の乳首をかみ切ってしまいました。。。
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深夜のミルクが飲ませられない!? と大慌てで哺乳瓶を買いに行きました。
そろそろ離乳食を食べて欲しいな~とカリカリをふやかして与えるんですけど受け付けてもらえません。
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女房殿が、ならば仕方がない! ということで、思い切ってカリカリのまま餌を与えます。
え? 大丈夫かいなあ~と、心配しながら見ていると、
カリカリカリ・・・
あれ? 食べてるやん!?
ということで、ウチの小太郎くん。
離乳食なしで一気にカリカリデビューとなりました。w
ホント、色んなところでミラクル起こすなあと驚いたものです。
いずれにせよ超過保護に育てたこともあって、私と女房殿にべったりな子に育っていきました。
猫って、こんなにかまってちゃんなんだと感心するぐらいで、私が動くと、ついて回ります。
自分が散歩したい時は、ニャーニャーと泣き叫んで、私を呼びつけます。
寝てようが、風呂に入っていようが、お構いなしです。
ま、そこも可愛いところなんですが・・・
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そして、生後半年ぐらいで去勢手術を受けさせたのですが・・・
一気に臆病な猫になってしまいました。
人を見ると怯える怯える。
抱っこも嫌がる嫌がる。
かなりのトラウマになったようです。
予防接種に連れていっても震えて動けなくなりますし・・・。
この辺、可哀想なことをしたなあと思います。
ただ。去勢しないと雌猫恋しさに脱走してしまいますし、病気も出やすくなるので色々と大変です。
人間の都合といえば都合なので、身勝手なのは重々承知。
それでも、野良に戻すわけにもいかないし、一生大事に面倒を見ていくと考えれば、去勢するしかないと決断しました。
これほどまでに人を怖がるようになるのは計算外でしたが・・・
それでも一年が過ぎ、二年を超え、日々の暮らしの中に小太郎の存在は大切な存在として溶け込んでいきました。
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夜中に、ウンチで起こしに来る小太郎。
夜明け前に、ご飯を求めて起こしに来る小太郎。
朝方に、バルコニーのお散歩をおねだりしてくる小太郎。
玄関から、外を眺めたがる小太郎。
外に出た後、汚れた脚を拭かれるのを嫌がる小太郎。
家の中、私を従えて得意げに歩いていく小太郎。
会社から帰ると猛ダッシュで迎えに来る小太郎。
台所で、さあ撫でで~と、ころりんこする小太郎。
トイレから出ると匂いを嗅いで、ウ~ン、バタンと倒れ込む小太郎。
ゲームをしていると背中にツメを突き刺してくる小太郎。
おもちゃで遊ぶと、何メートルも遠くへいき、態勢を低くして準備する小太郎。
抱っこが苦手で、3秒しか抱っこさせてくれない小太郎。
私の洋服が大好きで脱いだ服の上で熟睡する小太郎。
テーブルだろうが、タンスの上だろうがお構いなしに飛び乗り走り回る小太郎。
冬はストーブを独占してしまう小太郎。
夏はフローリングでスフィンクスのポーズで体を冷やす小太郎。
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私たち夫婦にとって、かけがえのない家族になってくれました。
小太郎と暮らすようになって、少し人格が丸くなったかな? と思います。
夫婦の仲も小太郎中心で回っているような気がします。
小太郎には、これから十年二十年と長生きして欲しいな、と願っております。
女房殿からは、甘やかせすぎ。おやつあげすぎ。言うこと聞きすぎ。
と叱られる毎日ですが・・・
まあ、そんなこんなで保護猫との暮らしは楽しいのですよ。
小太郎と出会う前、必死になって何とかしようとして、空回りして苦しんでいたことを思うと・・・
人間は犬や猫と暮らすことで、人間らしさを取り戻せるのかもしれません。
小太郎。我が家に来てくれてありがとう。
楽しく暮らしていこうね。
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ということで、完全に親バカな猫にデロデロになっている変なオッサンの投稿でした。
ちゃんちゃん。
しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。