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長野キャンセル問題

 長野県が防護服の注文をキャンセルした件で地裁の判決が下りました。

「医療用防護服、8万着購入することを検討している」
その後、やりとりを続ける中で、長野県はこんな書類を企業に渡した。 「物品購入状況説明書」だ。
企業からの調達を前提に、県の担当部署が「契約書等を準備しています」という内容が書かれていた。
ところが、長野県が医療機関に問い合わせた結果、意外に需要が少ない。県はあわてて「5万着はキャンセル」と伝えた。

記事の引用

下請法にもあるのですが、「物品購入状況説明書」なる書面を出したのであれば、内示に当たるとして契約がなされたとみなされてもおかしくはないです。
※)当該企業規模と発注側が地方行政であることから下請法が適用されるわけではないのですが・・・

「内示」は形式的には正式な発注ではないので、正式な発注があるまでは3条書面を交付する義務はないというのが原則です。
ただし、「内示」であっても、提示された時点で下請事業者が製造等に着手しなくてはならない状況だとすると、その「内示」は実質的に発注であると解釈される可能性があります

下請法条文解説

この時点までだと、3条書面が発行されていない点から判断が分かれる可能性はあります。

もう一つ看過できないのが、「契約書等を準備しています」との記載があった点です。
これは、実質的に契約するつもりだが、まだ書面が出来ていないだけという意思表示に受け止められておかしくないです。

したがって、裁判のように信義則の観点からだけで長野県側に問題があるとするよりは、もう一歩踏み込んだ判決が出てもおかしくなかったと思います。

長野県側は控訴するよりも代金を支払って物品を購入し、売却を進めていくことで損失を少しでも小さくしていくべきだろうなと思いました。

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。