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アンバランスな米国経済

 経済指標上、米国経済は堅調であるという報道が多いです。
その一方で・・・

と、もはや異常としか言いようがない格差社会になっており、ホームレスの増加が深刻な問題となっています。

資本主義というのは、資本が雪だるまのように肥え太ることを指向する考え方です。

資本主義に対峙する考え方として社会主義があるのですが・・・
古今東西、純粋な社会主義国家と呼べる国は存在したことがありません。
ソ連? 中国? キューバ? 北朝鮮?
いずれも、寡頭制独裁制であり、社会主義国家ではありません。

民主主義選挙に則り支配層を替えることが出来る社会主義国家

これ以外を社会主義国家と呼んではおかしくなってしまうからです。

ということで、個人的にはいまだ社会主義が資本主義に敗北したとは考えてはいません。

実際、資本主義の問題が米国を筆頭としてドンドンと噴出しています。
資本主義国家が本来為すべきなのは、雪だるま式に太る資本家をダイエットさせることです。
すなわち、累進課税で資本を回収し、市場を形成する民衆に還元する行為です。
資本家にとっては、自らの努力で勝ち得た果実を奪われ不愉快に感じる行為になりますが、巡り巡って、自分たちが活動する社会の躍動性を維持する意味があるのだと認識すべきです。

金は天下の回り物

と言います。

世界中の資本家が、金の亡者になり果てようとしつつある。
人間なんてものは、

起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半

せいぜいこんなもんです。

使い切れない富を死蔵しても意味がありません。
将来の不安を解消するだけの財を成しえたのであれば、次は、自分や子孫たちが暮らす世界を良くするために富を使えば良いわけです。
永遠に見ることが無い子孫の代にまで財産を残そうと蓄財に励む行為が、子孫が暮らしにくい社会を作ることになっている。
そんな単純なことも理解できない似非成功者が蔓延る状況。
それが現代世界といえるのかもしれません。

日本の大企業の内部留保は500兆円を超えました。
GDPに匹敵する金額です。

これだけの金額のうち、本当に必要な内部留保がどの程度なのか? は、専門家の計算に委ねるしかないものの・・・

その多くが、従業員の給与として支払われるべきものや、設備投資や研究開発に投資されるべきものだったと思います。
※)株主配当は、近年、海外投資家の圧力でしっかり出していると思います。

こういうのを自浄努力だけに頼っても難しいのです。
最低賃金を引き上げたところで意味はありません。

正規雇用人数に比した内部留保上限枠を設ける法整備

が必要です。
企業が内部留保の制限枠を増やすには、正規雇用を増やすしかないようにするのです。
こうすれば、正規雇用の人数が増加し、安定的に生活できるとして結婚しやすくなります。
そうすることで、少子化対策の一助になるわけです。

日本が資本主義を採用する国である以上、政府は税制により、強者へのハンデキャップをつけて弱者再生の道筋を示さなければなりません。

グローバル社会なので企業が逃げるという意見もあります。

ならば、逃げたければ逃げればいいと言える国を作らないといけません。

そう言い切るためには、

分厚い中間層を有し、個人消費が旺盛な国家になること

が至上命題になるはずです。

良く考えれば理解できることです。
なぜ、銀座に高級クラブが出来るのか? 
なぜ、ど田舎に高級クラブはないのか?

答えは、顧客の有無です。

どんなに賃貸料が高い銀座であっても、高級クラブはど田舎へ出ていきません。
これと同様、どんなに法人税が高い国であっても、潤沢な消費者が存在する国からは企業は出ていかないのです。
※)チャイナリスクがあるのに中国に移転するベンツを見れば良く分かるはずです。もちろん、ドイツ国内にも問題があるわけですが・・・

企業が出ていく国というのは、顧客がいない国です。
また、しっかりとした関税をかけない国でもあります。

グローバリズムの美名の下で、得をするのは多国籍企業だけです。
でも彼らもいつしか富の収奪を行なう場を失い、没落していくことになるでしょう。

持続可能な社会を目指すのであれば、富の源泉である中間層を破壊すべきではないのです。

米国では国内の中間層を相当に破壊してしまいました。
だから、海外(特に日本)の中間層の富を収奪すべく牙をむいたのです。
今後は、中国の中間層を狙おうとするでしょう。
が、中国は資本主義による収奪に激しい拒否を示しました。
それが米中の対立を生む根源になっています。

収奪先を失いつつある米国としては、西側陣営だけで中間層を再構築しないといけない事態に陥っています。
一方、急成長を遂げたものの歪な形の中国もまた経済の舵取りで苦境に陥っています。
どちらも大穴が開いた状態で、進んでいるわけです。

私たちは今後、新しい経済の形を生み出すのか?
旧態依然とした形で東西冷戦を再構築していくことになるのか?

どのようになるのでしょうねえ・・・
戦争だけは回避したいところです。



しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。