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設定・舞台の新規性

 とあるnoterさんの記事で、週刊マガジン原作公募の中間選考通過者の特徴に、選考通過作品には

設定・舞台の「新規性」がある

という考察を見かけました。
たしかに賞レースに応募するのに、新規性は重要な要素だと思います。

が・・・

選考通過者の設定や舞台を見ても、新規性が感じられないんですけど~
という感想を持ちました。

多分、年齢や読書量の差なんでしょうけれども・・・
私がこれまで読んできた書籍量は、1万冊を超えます。
(編集さんだって結構な分量を読み込んでいるとは思いますが)
その中で様々な設定・舞台に触れてきましたので、

どの作品を読んでも・・・あの作品の変型判だな

としか思えなくなっています。
※)逆に言えば、自分の作品も何かのアレンジだよな、と思ってしまうので、新規性を感じることは無いです。小手先で少し変えてると感じるぐらいです。

例えば、選考通過の一番最初にあった作品である

「アンドロイドは青空を見上げるか」
エンジニアを目指す貧乏学生のカイがごみ捨て場のアンドロイドを拾うお話。

は、つい最近アニメ放映されていた

「シンデュアリティ ノワール」
墓場のような遺跡で、メカマンのカナタが、ノワールというアンドロイドを拾うというお話。

と、設定は似ていますね。
もちろん、活躍する場、舞台は違いますし、細かな設定も違います。
(だから、別作品と考えています。)

とはいえ、圧倒的な目新しさは感じません。

2作品目を見ても・・・
「世界を救えない俺達の幸福論」
人類にとって恐るべき強敵が出てきて、それを倒す特別部隊が登場するというもの。

これも、ありきたりな設定です。
アメコミのアベンジャーズとかでもよくあるパターンです。
1行目の作品以上に新規性を感じられません。

※)なお、注意してほしいのは選考作品をけなしたいのではなく、
「選考基準の最重要ポイントが設定の新規性にある」
というのは違うのではないか? という素朴な疑問に対する検証のために取り上げているだけです。

選考基準の中には、たしかに設定・舞台の新規性も含まれているのだろうと思いますが・・・

選考通過作品を見る限りでは、
求められているのは、「新規さ」や「奇抜さ」ではなく・・・

今、作品化したら「売れるだろう」と思われる設定・舞台

なんだろうな、と思いました。
つまり、選考を通った作品は、現在のマジョリティ(メジャー)の系譜に位置するのだろうということです。

その一方、他のnoterさんの考察では、

ジャンル被りがない

という指摘がありました。
なるほど。たしかに、選考作品内でのジャンル被りは極小ですね。
ここは凄く納得しました。

その一方で・・・
ここ最近のライトノベルを見ても、

  • 異世界転生もの

  • 復讐型の俺ツエー系

  • 評価が低いのに本当はスゴイ系

  • のんびりスローライフ系

  • 男女ともにハーレム的展開のもの

が主流派を占めているので、ジャンル被りはさほど危惧すべきものでもないかな? と思ったりしています。
これらのラインナップを見ると、読者が求めているものって、新しさではないんじゃないんじゃなかな? と思います。
出版社も新しさではなく売れるものを求めているんだろうと思います。
だから、

「現実世界での憂さを晴らしてくれる読み物」

に需要が集まり、主流になっていると。

個人的には、そういうのも大事だとは思うのですが、文学界はもう少し多様性を発揮してほしいよなあ、と思ったりしています。

新しい才能の開拓

をうたっていたわけですが、蓋を開けてみれば、本職(すでに出版等の経験がある人)が多く、設定自体も最近のトレンドを踏まえたもの。
新しい才能の開拓であれば、もう少し多様性をもたせてもいいんじゃないかなあ? と思いました。

まあ、私自身も近年の昭和レトロをイメージしてスポーツ名門校の復活劇を設定にしていたわけなので、新規性には乏しいんですけどね。。。

で、結論なんですが、選考基準のポイントは、

情景が作画担当者さんにスムーズに伝わるものか?

だったのではないか?
と感じました。
そのことから、

むしろ、即戦力を求めているのかな?

とも。
だから、本職(出版経験者)が多数選ばれたのだろうと。
その点でいうと、私のは小説であり原作ではありません
また、本職としての即戦力でもないです。
こうなると選ばれないのが当然というお話なんですね。

次回が存在するのかどうかは不明ですが、応募を目指す人は、

  • ここ2~3年は続くと思われるトレンドを設定に据える

  • 作画しやすい情景描写をふんだんに入れた表現方法を心がける

この二つで決まるかな? と。
今回の選考作品を見ると小説的な文体の完成度は低いです。
逆に、作画のしやすさという点では優れている作品が多いです。
ジャンルが根本的に違ったな、これは・・・と思いました。

いずれにせよ、作画しやすいという土台を作り、売れると思われる設定にする。

これで、合格線上に浮上しやすくなると思います。

まあ、落選しておいて偉そうに語っても仕方ないんですけどね。w

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。