葛藤する世界情勢の淵源
今年発売された本というわけではないのですが・・・
ウクライナ戦争やイスラエル戦争といった武力衝突。
懸念が高まっている中台紛争。
それらに関する書籍群は多々あるのですが・・・
その淵源は何かな? と思わされました。
宗教対立?
たしかに、その一面はあると思います。
かつての十字軍のように。
が、今の世界不安は、どちらかというとサンフランシスコ体制に亀裂が入り始めているところがポイントなのかな? とも。
サンフランシスコ講和条約によって現代の国境線策定の基盤が出来たわけですが、旧ソ連や中国といった国は、ほぼ参加していない。
米英仏主導で決定しており、中東問題もそこに起因しています。
国際連合という権威によって平和原則が規定される。
こういう路線を作り出そうとしたのが、ウッドロー・ウイルソンでした。
それ自体はまあ分からなくもないのですが、結局のところ、各国の思惑重視でまとまらないというのを初期段階から露呈しています。
そして、今の世界情勢について、紛争のの原因になったのが、ウッドロー・ウイルソンやウラジミール・レーニンによる
民族自決の原則
の宣言にあるように考えています。
古今東西の歴史を調べてみても、一つの国家の中に複数の民族が入り混じるのは、普通のことです。
日本もまたアイヌや琉球民族を巻き込んでいますし、それ以前にも渡来人(中国や朝鮮等)を受け入れています。
というか、日本民族自体、混血して誕生したとも言われています。
ですから、民族自決を言い出すと 国家が分裂します。
内紛や戦争の口実となってしまうわけです。
普通、ウイルソン大統領は国連の提唱者であり平和の使者的なイメージで語られることが多いのですが、この書籍では、その虚飾が剥ぎ取られていきます。
※)倉山氏の筆致はちょっと過剰な気もしましたが・・・
ただ・・・超大国の最高指導者であるがゆえに、その正義感や理想が具現化してしまい、ゆがんだ世界が生まれたということは知っておいて損はなかったと思います。
そういう意味で、今年、私が読んだ中ではベストの本と評価しておきたいかな、と思いました。
しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。