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アルミの誤解(アルツハイマー)

 とあるお医者さんの記事で、アルミ製品(鍋やフライパン)を使うことで、アルツハイマーになるというものを見かけました。

とても残念で、悲しいです。
厚生労働省では、アルツハイマーとの因果関係について、科学的根拠となるものは、現時点では存在していないと発表しています。
(発表があってから、10年ぐらいは、経過していたように思います。)

なお、一時期、アルツハイマー病とアルミニウムの関係があるといった情報もありましたが、現在は、この因果関係を証明する根拠はないとされています。

厚生労働省発表資料より

お医者さんが言及すると、信憑性が高まってしまうので、悲しいなあ~と思っております。
そもそも、アルミが危険とされたのは、研究用のラット(ねずみ)への大量のアルミ投与試験の結果からです。
ラットに、腎臓や膀胱機能、握力低下が見られたそうです。
(ラットの握力ってどうやって測定するのか? 良く分かりません。ご存知の方がいらっしゃったら教えてくださいね。)
そこから、アルミを摂取するとアルツハイマーになるという都市伝説が広まっていきました。
(う~ん・・・ラットの症状のどの部分から、アルツハイマーというお話になったんでしょう? 良く分かりません。)

いずれにしましても、国際機関・国家機関・民間研究機関のいずれにおいても、アルミとアルツハイマーの因果関係を証明する資料は出てきませんでした。
また、アルミを経口摂取しても、99%以上が、糞便として排出されるという見解で一致しています。
ただし。
それでも、体外に排出されなかった場合には、体に悪影響を与えることは、間違いではありません。
ラット実験のように、排泄関係の臓器に悪影響を与えるようです。

じゃあ、アルミを摂取しなければ、イイんじゃね? と考えてしまいますよね。
ところが、アルミは、自然界に様々な酸化物として幅広く分布しています。
単純に、肉や魚、野菜を食べるだけでも、アルミは体内に入ることになるのです。
さらに、呼吸や水を飲むことでも、摂取しています。
つまり、アルミを体内に摂取することなく生きていくことは出来ない、ということになります。

摂取を止めることが出来ないのであれば、分量を減らすしかないですよね。
では、どれぐらいの分量であれば、摂取しても問題ないのでしょうか?

食品の安全性を評価している国際機関(JECFA:FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)※では、人が一生涯摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される暫定的な許容量(暫定耐容週間摂取量)として、体重1kg、一週間当たり、2mgという値を設定しています。

厚生労働省発表資料より

体重60Kgの人の場合、1週間当たり120mgまでなら、アルミを摂取し続けても一生問題は起きないということになります。
一日換算なら17mgになりますね。

実際問題として、我々が摂取するアルミの多くは、どこから来ているのか?
というと、先程書き出したように、食品そのものか、食品添加物からになります。
特に、食品添加物に、非常に多く含まれています。

膨脹剤  :菓子類(菓子パンや、お菓子類)
色止め剤 :漬物類
形状安定剤:魚介類
品質安定剤:野菜類
着色料  :食品全般

大体こんな感じです。
日本人の場合、食品添加物から摂取するアルミの量は少ないらしく、1日4.5mg~7mgぐらいとされています。

一方、食品添加物大国の米国人の場合、

1日20mgものアルミを食品添加物から摂取している

という試算が報告されています。

さて、ここで、くだんのお医者さんが使っちゃダメ! と、おっしゃっていたアルミ調理器具について試験をした結果について見ていきます。

FDA(米国食品医薬品局)では、表面処理をしていないアルミ調理器具で酸性やアルカリ性の強い食材を用いて調理して、3.5mg
滋賀短期大学研究紀要第38号では、最も過酷な条件でも2mg程度
国立医薬品食品衛生研究所を主体とした研究で、1日当り1.68mgとしています。(こちらも最も過酷な条件)

試験結果は、最も過酷な食材の条件を使い、さらに、表面処理をしていない
アルミを使っています。
自動車の試験でいえば、
ニュルブルクリンクを土砂降りの雨の中、24時間耐久レースをする
ぐらいの過酷さです。
(ホンマでっか? え~っと、何となくです。w)

一応、滋賀短期大学さんのレポートでも、
強酸性の食材をアルミ鍋で煮込むのは・・・穴が開きます
と、報告しておられます。(苦笑)
すし酢を使う事例は珍しいと思いますが、アルカリ性のこんにゃくを煮るというのは、普通にありそうですね。
う~ん・・・群馬県民のアルツハイマー比率が全国平均より高いのかどうか?
気になるところです。

群馬といえば、こんにゃくが有名ですよね!

ということで、調べてみました。
が・・・TOP10までしか見つけられませんでした。
認知症患者数/65歳以上の人数でのランキングで1位は滋賀県2.99%
で、群馬県は、TOP10入りを果たせず、という結果でした。
こんにゃく大国の群馬県がランキング10位以内に入っていないことからも、アルミ鍋とアルツハイマーの因果関係はあるとは言えない状況かと思います。(なんか、非科学的な展開でスイマセン。)

驚いたのが、実験データを公表してくれていた滋賀短期大学さんのお膝元である滋賀県が第1位だったという・・・(真剣に驚き)

なお、滋賀短期大学の実験で用いられたアルミ鍋は、100円ショップで購入したもので、肉厚も薄く、アルマイト処理もしていないものでした。
もう少しお金を出して、それなりに厚みのあるアルマイト処理された鍋を使えば、さらに、アルミを摂取してしまう危険性は下がると思います。

結論ですが、

  • 大量のアルミを摂取すべきではないというのは、ホント

  • アルミとアルツハイマーの因果関係は証明されていない。

  • 一番危険なのは、食品添加物。

となります。
ここから、

食品添加物を減らしなさい。

ということになりますね。
アルミ鍋云々よりも、食品添加物の方が影響力が大きいからです。

今回、アルミ業界で働く人間として、アルミとアルツハイマーの誤解は、解消しておきたいな、と思い、記事にしてみました。

#アルミ加工 #松井製作所

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。