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アルミの特性 (2)

 アルミは熱伝導性が良いという特性のおはなしの次は、アルミは遮熱性が高いというおはなしをしたいと思います。

熱を伝えやすいのに、どうして熱を遮るの?

と、不思議に思われた方、鋭いですね。
実は・・・

熱の伝わり方は、3種類(伝導・対流・輻射)

あるのです。
どういうことか、簡単に説明していきます。

1)熱伝導とは?

熱伝導は、「固体」であることと「つながり」が必要

熱伝導とは、何らかの物体同士が接触することで、
温度の高い方から低い方へ熱が伝わることを言います。
反対側から表現すると、
温度の低い物体が温度の高い物体から熱を奪うということです。

アルミは、接触した時に、熱をやり取りするのが上手(手渡し上手)な金属だということです。

熱伝導の特徴は、”固体の内部”を熱が行き来するということになります。

2)熱対流とは?

熱対流は、流体のふれ合い

熱対流とは、流体(液体や気体)と固体、もしくは、流体同士が触れ合うことで、温度の高い方から低い方へ熱が伝わることを言います。
熱伝導と同じで、反対側から表現すると、
温度の低い物体が温度の高い物体から熱を奪うということです。

熱対流の特徴は、”物体の表面”で熱のやり取りをすることです。

3)熱輻射(熱放射)とは?

熱輻射は、放射線による熱の移動

熱輻射(熱放射)は、少し特殊です。
熱を媒介する物体が存在しないからです。
熱を持った物体は、放射線(赤外線)を発します。
この放射線が、何らかの物体に当たった時、物体の元素を振動させ温める働きをします。

このように、赤外線で熱を伝えることを熱輻射と言うのです。

熱輻射(オーブン)とよく似たものに、マイクロ波(電子レンジ)があります。
電子レンジの場合、水分子を強制的に振動させ、熱を発生させます。
細かい原理は、脇に置くとして、ざっくり言うならば、

  • 様々な元素に働きかける赤外線。

  • ピンポイントに水分子に働きかけるマイクロ波

として理解しておけばよいかと思います。
(詳しくは、固有振動数のおはなしを理解する必要があります。)

断熱性と遮熱性

さて。ここで、もう一つ予備知識を仕入れておきましょう。

1)断熱性とは?

断熱性とは、熱伝導や、熱対流による熱の移動を断つ性質のことを言います。

2)遮熱性とは?

遮熱性とは、熱輻射による熱伝達を遮る性質のことを言います。

つまり、アルミは内部や表面で熱を伝える能力が高く(熱伝導性(熱対流も)が良い)、外部からの放射線を反射する能力が高い(遮熱性が高い)ということになるのです。

意味が、分かりにくいですよね?

分かりやすく言うと、

アルミは、放射線(光や電磁波)を跳ね返す力が強い

ということです。
これを端的に裏付けているのが、【】です。

銅鏡

古来、鏡と言えば銅鏡や、ガラスに銀を吹き付けて作るものでした。
工業技術が発達し、アルミの精錬が容易になったことで、真空メッキ法により、ガラスにアルミを蒸着させて鏡を作るのが一般的になっています。

こう書くと意外に思われるかもしれません。
アルミって鏡になるぐらい反射率高いの? と。
普通に我々が目にするアルミサッシとかアルミ製品を見ていてもピンと来ないと思いますが、全金属の中で、アルミの反射率は屈指のレベルにあるのです。

反射率の比較

金属の反射率

可視光を反射するには、銀がダントツ一位の成績を収めています。
一方、アルミは広範囲に優秀な成績を収めています。
特に、紫外線領域までカバーしている点が優れています。

このように、アルミはどんな波長の光でも反射する力が極めて高いのです。
逆に、この反射率の高さが、アルミを ”レーザー加工” しづらい理由でもあります。
(レーザー光が反射され、レーザー発振子本体が焼かれるトラブルに・・・)

ということで、これほどまでに光を反射するアルミは、赤外線も反射してしまうことになるのです。
熱輻射では、赤外線が物体に作用することで熱が伝わるわけですから、反射してしまうと熱が伝わりません。

だから、アルミは遮熱性が高い金属になるわけです。

一度、お試しいただきたいのが、夏場の屋外駐車をする際の日よけです。

  •  車内に置くタイプ

  •  車外に貼るタイプ

の二種類があるのですが、両方で比較してもらえれば、その差を痛感できると思います。
車内タイプは、アルミで反射されてもガラスと空気層を温めることになりますので、遮熱効果が弱まります。
車外タイプは、しっかりと熱輻射を反射してくれます。

理想は、フロント・サイド・リアの全ての窓と天井を完全に覆ってしまうことです。(窓を覆っても、天井の鈑金が焼けて車内を熱くするので・・・)
市販品の多くが、フロントウインドウを覆うものなので、完璧な遮熱性を発揮する商品はまだ見かけたことがないです。
それでも、外に貼るタイプの方が確実に良くなりますので、今年の夏は、ぜひ、皆さんもお試しください。
(猛暑らしいので・・・)

う~ん・・・オチらしいオチが思い浮かばずに終了です。(汗)

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しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。