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「くすぶり世代」論

混迷と不安定の時代を生きる「くすぶり世代」

くすぶり世代」とは、私たちエムエスディが名付けた世代で、後期ポスト団塊ジュニア世代とプレッシャー世代を指す、1970年代後半からゆとり世代が始まる前の1987年までに生まれた世代のことです。
エムエスディはこの「くすぶり世代」を中核ターゲットとした企画を行なっています。
ここからの世代論はエムエスディが提唱する”ひとつの”見方ですのでその点ご容赦ください。

「くすぶり世代」とは?

未成年の時に国鉄の民営化・ソビエトの崩壊・東西冷戦の終焉・バブル崩壊・阪神淡路大震災・オウム真理教事件・平成不況による金融再編といった多くの変化と動乱を体感しています。

成年以後も就職氷河期、リーマンショック、東日本大震災、そしてウイルス感染症による緊急事態宣言など、時代を経るごとに大きな社会の変化に翻弄されてきた世代です。

同時に長野冬季オリンピックの開幕、サッカーフランスW杯への初出場を決めたジョホールバルの歓喜、日韓W杯の開催、洞爺湖サミット・沖縄サミットの開催といった、国際イベントにおける日本のプレゼンスが上がった時代でもありました。

トヨタ・SONYをはじめとする日本ブランドの海外での成功、野茂英雄・中田英寿・小野伸二・田臥勇太といったスポーツ選手の海外進出の成功を目の当たりにし、「日本人は海外で戦える」という感覚を植え付けられてきた世代でもあります。中学私立受験が活発化した世代に当たり、小学生の塾通いと受験競争が熾烈化した時代でもありました。

デジタルアダプティブ世代

通信手段では
  公衆電話→ポケベル→PHS→携帯電話→スマホ

音楽では
  レコード→テープ→CD→MD→HDDレコーダー→スマホ→音楽サブスクリプションサービスの利用

Windows95のリリース、学生時代にインターネットが普及した世代でもあり、アナログとデジタル、双方の時代を経験してきた世代です。
SNSの黎明期をつくったのもこの世代でMixiのファーストユーザーの世代に当たります。
Amazon、楽天、ラクスルといったeコマースのファーストユーザー世代でもあり、新しいサービスへの順応力が高く、時代の中で技術の進化と変遷に適応し続けてきた、デジタルネイティブとは言えないですが、デジタルアダプティブな世代とは言えます。

アダプティブ思考

集団から個人・家庭から個人へと、教育や就業における価値観の変化が進んだ時代でもあり、新しい社会が求める理想像と、以前の価値観が根強く残る社会の中で、調和と反発の間をさまよいながら折り合いをつけて生きてきた世代です。
家庭を持ってからも「保育園落ちた、日本死ね」のまさに当事者世代です。社会の助けが充分に得られない中でも、子育てや育児など独力で折り合いをつけ、アダプトしながら生きてきた世代と言えます。

受験戦争・就職氷河期・働き方のあり様・男女の労働機会の変化・家庭での役割分担の変化など、社会が求める変化と、その変化を無言の中で拒み受容してくれない旧来の価値観がはびこる雰囲気との間にある歪みと、折り合いをつけながら生き抜いてきた、バイタリティがありかつアダプタビリティ(受容力)のある世代です。

なぜ”くすぶる”?

ファッションや音楽など、ストリートカルチャー・ギャル文化・キムタク世代・アムラー世代・Cancamの全盛期時代を過ごしていたくすぶり世代は、新しくて”キラキラ”した時代をその身にしっかりと体感してきた世代です。
でも今となってはその輝きが過去のものだったと感じている人が多いように感じます。もしかすると、この点はバブル世代との大きな違いかもしれません。バブル世代の人たちは、バブル時代のことを今のことかのように美しくお話をされるのが印象的です。

くすぶり世代は旧来の日本の成功を導いてきたバブル世代・団塊ジュニア世代の価値観と、現代において自由に個の人生を生きるミレニアル世代・Z世代の間にいて、その価値観に折り合いをつける調整や対話の労力、すり合わせに多くの時間と労力が裂かれている印象があります。

モーレツ上司の気持ちも分かるし、その上司が発する現在ではハラスメントに近い過度な表現も、受け流す力もある。同時になかなかそのテンションにはついていけない若者の気持ちもわからなくもない。

子どもの学校に目を向けると。

自分達が生徒だった頃は厳しい先生がいて怒鳴られたこともあって、時には手が出る先生もいたりして。

でもそれで秩序が成り立っていたことも知っている。

今の先生は親や子どもに翻弄されていて大変そうだな、と感じるし、同時に学校はこんな緩い感じで本当に大丈夫なのかな、という不安も感じたり。

上司と部下、組織と個人、仕事と家庭など、他者の間に入って調整することが多く、その意欲ややる気を、自分のためにまっすぐに向けることができない、自分の力を充分に発揮できずにくすぶっていると感じられる面が多々あります。

現在30代後半から40代前半のくすぶり世代はまだこれから先20年以上は、高齢者になりません。くすぶり世代はこれからの20年間を、今の中途半端なままで逃げ切れるほど容易ではないことに気がついています。

くすぶり世代の特徴

くすぶり世代の特徴としては以下のようなことが挙げられます。

  • 技術や環境、また人への適応力がある

  • 古くから愛されてきたものと新しくて価値あるもの、双方の良さをきちんと評価できるフラットな価値観を持つ

  • 責任感があり、割と自分を犠牲にしがちである

  • 自己評価を高く持ちたいが、持つだけの根拠がないと感じるためやるせなさを感じる時がある

  • 今のままの人生でいいのか、不安な人が多い

  • 一方で大きく方向転換するには、多大な犠牲が必要となると感じているため二の足を踏みがちである

  • 周囲に気を配っていることに気がついてもらえないこともある

  • 自分勝手な振る舞いや行動は避けたがる

  • 何をするにしても背景にきちんとした社会的理由が必要

  • 買い物・消費にも、きちんとした理由づけが必要

くすぶり世代は、人生を投げ出せない責任感と、その裏腹の人生に対するやるせなさを感じている人が多い印象があります。

誰も自分を理解してくれない

会社の中では管理職と現場のつなぎ役にあたる世代となっています。

以前の成長期の日本(「**課長島耕作」を参照)では、30代を過ぎる頃には徐々に権限も増え、働き盛り・伸び盛りの時代として、将来を嘱望される時期、仕事の面白みと充実感を存分に味わえる時期だったようです。

しかし現在の、社会や経済の成長が不安定な時代では、調整と折り合いの管理に多くの時間と労力が裂かれがちです。

(自分だからこそまとめられる)という自負がある反面、ふとした時に(何のために、誰のためにこれやってるんだっけ?)という疑問と、それでも止めることのできない自分自身に対する徒労感に襲われてしまうということがあります。

これは仕事に限らず、家事育児等に奮闘している人たちも同様です。

結局、「誰も自分を理解してくれない」という空虚な徒労感を感じてしまいがちな毎日を過ごしています。

社会の歪みと

その大きな原因のひとつが、社会的価値観の大きな変化のうねりと、これまでの遺産として残存する旧来の価値観の間にある歪み

周囲を見渡せばベンチャー起業家やYoutuberのような自由な働き方が持て囃されたり、キャリアウーマンが褒め称えられたり。

またリモートワークや男性育休などといった「新しい」仕組みがつくられています。

一方で、旧態依然とした、権限を移譲してくれないピラミッド型の意思決定が蔓延る組織、調整調和を強いる仕事の進め方。

家庭では両親が家事・育児に協力的でない共働き世帯、あるいは逆に過度に家事・育児への協力を強いられる奥様主導の世帯。そして家庭大好き自分プロデュースのための名ばかりイクメンパパの存在など、様々な歪みが立ち塞がっています。

そうした歪みがもたらす不安と、自己有用感の低下の中で、自律神経をすり減らしながらなんとか自分を奮い立たせて生きている世代かもしれません。

国が提供する社会保障システムに不備があると感じている

何が幸せなのか分からない中で、今を投げ出せない。そして何が正解なのかすら分からない。

くすぶり世代は日々、不安を感じながらも時間に追われて生きています。飛ぶようなスピードで過ぎていく日々。

その変化に追いつけていない保育・教育をはじめとする国が主導する社会保障システムに不満を感じている方が多いような気がします。
学童や保育のシステムが旧態依然としていて、ネットやタイムリーな予約システムが稼働しておらず学校や保育所に足を運ばなければならないこと、子どもの急な発熱や体調不良のたびに学校に呼び出されること、コロナ禍でリモート学習などが盛んに行われているけれど中身の学習がついてきていないこと、などにも不安が広がっています。子どもの塾通いなどがさらに加熱度が増しているのも、親世代の不安が原因と言えそうです。

くすぶり世代は今後20年の消費と生産の担い手

くすぶり世代の財布の紐は緩くない、と言われます。
一方で、たくさんの買い物の成功と失敗を経験してきた成熟した消費者という側面も持っています。
きちんとした理由があれば、その理由に即してお金を払ってくれるのがくすぶり世代です。
ファミリー層の消費の担い手であるため子ども世代に向けた消費意欲は旺盛です。
同時に親世代である高齢者層の消費の意思決定に強力な影響力を有しています。家族3世代の消費を左右する存在がくすぶり世代

くすぶり世代に火をつけろ

くすぶり世代の火は、くすぶっているだけ。そこにもう一度火をつけることで、消費も元気になり日本が元気になると私たちは考えています。

会社でも、家庭でも、社会でも、くすぶり世代は今後の日本の中核を担う世代です。

あの頃の笑顔をもう一度

今一度、希望と笑顔の溢れる社会を実現するために、エムエスディはくすぶり世代の代表として、くすぶり世代を盛り上げることが最も重要なことだと考えています。

「くすぶり世代」を「輝き世代」に

人それぞれに、置かれた立場や今いる場所も違います。より新しい世代に近いフラットな感覚で生きている人や、より古い価値観の中でも自分のプレゼンスを発揮できている人もたくさんいるように思います。

エムエスディが企画を考える際には、周りにいる人たちの声にならない声、「インサイト」を掘り起こし、「意義あることを面白く。」
共感と面白さを通じて、課題解決を目指していきます。その行先は笑顔で楽しい人生です。

エムエスディは、くすぶり世代が輝き世代となることを目指しています。

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