2回目DATEに行ってきたんです。岡村靖幸『セレブリティ』@神奈川県民ホール

 5月26日(日)、まだ5月の下旬なのに気温35度越えという真夏のような暑さの日、私は横浜に向かっていた。

 目的は岡村ちゃんの春ツアー『セレブリティ』を神奈川県民ホールでみるためだった。本ツアーのライブは既に5月10日に中野サンプラザで体験済みであった。なんで一回みたライブをまた行くんだい?、って不思議に思ったこの記事を読んでいるそこのあなた、それは私が岡村ちゃんのベイベだからなのである。とはいえ、一つのツアーに行く回数とか関係なく、彼に強い愛を注ぎながら接している人はみなベイベなのですが。

 5月10日に観にいったときの様子は以前使っていたアメブロのほうに記事をエントリーしているので、ご興味があればよんでくださいませ。下記のリンクから読めます。(めちゃめちゃ暑苦しい内容ですが)

”岡村靖幸『セレブリティ』@中野(2019/5/10)(少しネタバレありです)”

 岡村靖幸のライブは、DATEと呼ばれている。なぜ、DATEなのかは、ライブとは岡村靖幸とオーディエンスとのDATEの場で、単に演者と観客という関係でなく、音楽を通しての濃いコミュニケーションが存在しているから、というとてもシンプルな理由。

 これは音楽業界の中でも割と知られている話なんだけど、やはり岡村ちゃんにあまり興味のない人には不思議なものと捉えられてしまうらしい。でもね、体験するとわかるんですよ。なんで、DATEなのか。観客(ベイベ)の中には男性ファンも沢山いまして、そういう方も岡村靖幸に恋する乙女になっていたりするのです。女性ファンの黄色い歓声が圧倒的に目立つけれど、 時々、野太い声で「やすゆき好きだ~」という言葉も沢山響き渡ったりする。もう男女関係なくオーディエンスを恋する乙女に変身させてしまい、恋人関係になった感覚を持たせてくれるアーティストは日本中探しても彼ぐらいしかいないのでは?って断言してしまいたいくらい。だからライブはDATEというロマンチックな場所になるのだ。

 と、記事タイトルからちょっと話題がそれてしまった。いや、だって、岡村ちゃんって説明が必要なことが多いし、ちゃんと言語化するのが難しい人だから、一旦語り出すともう彼の良さを全て語りたくなるんです。そのくらいとんでもなく魅力あふれる人だってことを言いたいのだ。

 さて、本題に戻り、5月26日のライブのことに触れようか。この日のセットリストは5月10日の中野とほぼ同じだった。でも中野のとはまた違う魅力を放っていた。パフォーマンスもさらに良くなっていた。どのミュージシャンもツアーの初めから終わりにかけて内容がどんどんよくなるというのはあるのだろうけれど、2週間と少しの間にこうもグレードアップするものなのか!と改めて彼の表現の求道には参るばかりである。

 岡村ちゃんのツアーでは、訪れる場所にちなんだ弾き語りソングを披露してくれるのだが、横浜という場所だったこともあり、26日はとてもブルージーな弾き語りをきかせてくれた。音楽の引き出しが1,000ぐらい、いや百万ぐらいあるんじゃない?っていうくらい色んなものを取り出して私たちにみせてくれる岡村ちゃんを横浜でまた発見してしまったのです。

 それが借り物じゃなくて、ちゃんと岡村ちゃんの身体の中で咀嚼されて出てきたものだから、岡村ちゃんのオリジナルのものになる。彼自身のオリジナル曲も今回新たなアレンジのものが多くなり、EDMぽいものや、ゴリゴリFUNK全開なものとか、どんだけ私たちを踊らせたいんだ!っていうくらい痺れるものが多かった。靖幸ちゃんが開いたクラブパーティという色が強い今回のツアーでは、へえ、あの曲をこんなアレンジでやるんだ、何回も聴いてきた曲なのに、はじめて出会ったような感じだわ、というものが多く、彼のアップデート魂に本当に参ったという感じであった。26日にも曲のアップデート感をより深く感じて、この人どこまでいくんだろう・・・って改めて本当に目が離せない存在となったのである。

 和製Princeという触れ込みで日本のJ-POPシーンにでてきた青年は、今やもう和製JBといってもいいくらい、いや、もう『岡村靖幸』というジャンルで世界に広まってもいいくらいの存在だ。ファンのひいき目線というのを差し引いてもね、そのくらい言ってもいいと思っている。

 なんてことを、神奈川県民ホールの3階席で観ながら考えていた。

 それと、26日で楽しめたポイントがもうひとつ。中野サンプラザは1階席だったのでオープニングから立つ人が殆どだったが、26日の3階席は私を含めて少しの人しかたってなかった。私はお調子者なんでオープニングの曲からバリバリ踊っていて、でも、座ってる人も多くて「ああ、空気読めなくてすみません・・・(汗)」という気持ちと「岡村ちゃんがめちゃカッコイイ音楽とデンスでベイベに求愛してるんだから応えないとだめだろ!」という気持ちのせめぎ合いが起きてました。(その割にはずっと立って踊ってたけど・・・)

 でもね、やっぱりさすが岡村さんですよ(ここでなぜ「さん」づけ?)。メインパートが終わり、その後のアンコールへ・・・とステージが進行していくうちに、3階も立つ人が増えて、最後はほぼ全員立ってたんじゃないかな、というぐらいの大盛り上がりになっていた。

 座ってみてた人でも身体をすごく揺らしていた人もいたし。3階席にいた人が岡村ちゃんのグルーヴと徐々に一体になっていく様子はとても感動的なシーンであった。無理強いはしませんが、どうぞ一緒に踊ってくれませんか?という彼の投げたサインをキャッチした人がちゃんといてくれた、ということだと勝手に解釈している。

 今回はレーザービームみたいなライトの演出が効果的に使われていて、3階席からみると、とても岡村ちゃん自身を神秘的なものにみせていたと思う。それがなんか神々しくって、かなり後ろの席でみてたのに、いつも以上に圧倒されている自分がいた。間近の席で見たかった気持ちもあったのだけれど、今年のツアーは俯瞰でみるDATEで正解だったと私自身は思った。

 細かい表情はみえなかったけれど、ステージの演出をどのようにしたら最高のものとなるだろうか、「セレブリティ」というツアータイトルにふさわしいステージにするためにどうしたらいいんだろうか、という研究を重ねに重ねたことの成果を俯瞰でみることで感じとれたのは、私にとってはとても幸福だった。

 そして、表現って誰のためにするもの?っていう問いについての答えを明示してくれているような印象もうけた。そう、表現は投げた瞬間にはもう受け取る側のものになっている、ということだ。

 とっておきのプレゼントを君に渡すよ、というメッセージが3階席の私に届けられたような錯覚をうけ、終演後にまっさきにでた言葉が「ほんとうにありがとう」であった。

 私の『セレブリティ』ツアーのDATEはもうこれでおしまいになったが、あと3ヶ所の公演が残っている。

 あと3公演、岡村ちゃんとベイベさんたちは色鮮やかな愛の交歓をDATEで引き続きするだろう。

 千秋楽まで叫んでください。「また最高って聴かせて」って。

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