公益資本主義のフレームワーク

「公益資本主義」は資本主義の枠組みにおける「分配」の問題を解決しようとする取り組みと理解する。

「公益資本主義」における分配の対象先は「社中」と定義される。一般的には「マルチステークホルダー」と類似するが、利害関係はない仲間という意味であえて「社中」という用語を使っている。
「社中」のガバナンス、すなわち、あらゆる「社中」を意識したガバナンスがその根幹にある。

さて近年、「リスク」対応の多様性が問われ、企業の開示制度に具体的に取り入れられている。
企業は、気候変動(TCFD)、生物多様性(TNFD )、人権、人的資本、といったマルチステークホルダー、公益資本主義的には「社中」を意識した開示項目が制度化されている。

「成長」というキーワードにしても「共に成長する」→会社単体ではなく「社中」と共に成長すること、を「公益資本主義」だけでなく、「社会制度」も意識するようになってきた。

「適切な分配」と「成長」の両者を考える場合、企業開示のフレームワークでは、例えばGRIフレームワークによる付加価値分配の見える化がよりベターなのかもしれない。
また、「イノベーション」は「社中」の安心・安全をドライブする。

前提となる社会構造として、「分厚い中間層」を「適切な分配」によって生み出す。

資本主義の特性として、貨幣による交換価値の増大を導く傾向があり、ゆえに「金融」資本主義がはびこってしまう。
しかし、人間にとって必要なのは「貨幣による交換価値」ではなく、「実施的な使用価値」であり、そのためには「イノベーション」と「成長」が必要、という「公益資本主義」のフレームワークに導かれる。

ポスト資本主義では、全く異なる価値概念が定義されるであろうが、この現実の資本主義社会において社会的便益を最大化する方法論として「公益資本主義」は有益と考えるのである。

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