【債券必須知識】イールドカーブの形状解説と事例
※当記事は2022年1月14日にMarket Passにて掲載した記事をnoteに投稿したものとなります。
はじめに
というご意見をいただきます。興味はあるけど何を頼りにしていいかわからない。そんな方に債券の基礎知識としてイールドカーブの形状について解説する記事を作成致しました。
「なるべく簡潔に。具体例を用いて分かり易く。」
を目標に作ってみましたので、お付き合い頂けますと幸いです。
早速イールドカーブの説明から参りましょう。
イールドカーブとは
右上がりのときを順イールド、右下がりのときを逆イールドといいます。通常償還までの期間が長いほど利回りが高く、金融緩和時や平常時には順イールドを形成し、金融引き締め時には逆イールドを形成することが多いです。
イールドカーブの形状変化として、傾きが大きくなることをスティープ化といい、景気後退局面から経済活動が活発になるときに見られます。
逆に傾きが小さくなることをフラット化といい、景気過熱局面から景気減速時に見られる形状です。
相場サイクルとイールドカーブ
通常債券市場ではイールドカーブは現状を示すというよりは、今後起こりうることを想定し、それに備えて形状を変化させていきます。従って、イールドカーブは今後の景気動向、株価推移を考察する上でも重要な指標となります。株価に反映するには少なからずタイムギャップがあると考える筆者はイールドカーブの種類と相場サイクルを下記のようにまとめております。
相場サイクルについては、タイムギャップがあるときも、また同時に起こるときがあります。その時代の金融ショックや、戦争/紛争、コロナショックなどの予期しない危機も影響しますので、必ずしも全ての状態でこのようになるわけではないということをご理解ください。
赤枠で囲んだ相場では主に政府が金融政策、いわゆる金融緩和(買いオペ)や金融引き締め(売りオペ)を行う相場となり、それを見込んで金利は大きく上昇または低下します。
上記に加えてよく見られる形状としてツイストスティープニングとツイストフラットニングがあります。短期的には緩和/引締めを見込み、将来的には引締め/緩和を見込んでいる相場では下記のようなイールドカーブがねじれる現象が見られる傾向があります。
イールドカーブの形状と事例
上記を見ても今ひとつイメージできない方向けにイールドカーブの実際の事例とイベントをまとめた表を作成しましたので参考にしていただければ幸いです。
今日のイールドカーブをみてみよう
では実際に今日のイールドカーブを作成してみたいという方向けにご自身でも見れる方法をご紹介します。もちろん何かしらのトレーディングツールを活用していただくのも一つの手ですが、自身で加工したい際には米財務省の日々の利回りが掲載されたページにアクセスしてみてください。
データをエクセルファイルに落とし、横軸を年限、縦軸を利回りに設定するとすぐ出来上がりです。
さて、特に注目すべきは枠線で囲った2年から10年のゾーンですが、利回り曲線に傾斜がなくまっすぐなのがお分かりいただけるでしょうか。
これがいわゆるイールドカーブがフラットの状態です。
では、イールドカーブを比較してみましょう。
比較対象は年初のものになります。いかがでしょうか。
枠で囲った部分が大きくフラット化しているのがわかります。また、利回りは大きく上昇しているため、前述した相場サイクルとイールドカーブではベアフラットニング状態になっています。
ちょうど、相場サイクルの「逆金融相場」の「株価下落」と一致するのではないでしょうか。
おわりに
さて、イールドカーブの旅にお付き合いいただきありがとうございました。
このイールドカーブの形状が分かれば債券市場の読み解きがスムーズで面白いものに感じていただけることと思います。
皆様の快適なマーケットライフの参考になれば幸いです。
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