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小学生へのお返事

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昨年末12月13日に訪問した学校さんから感想文が届きました。
青い付箋が貼ってあるものには質問が書かれてます。というボランティアセンタースタッフの注意書き…

って、びっしり‼️
日頃『どうしても聞いてみたいことがある人。今日のお話で分からないところがあった人は…なんでも書いてね』
と言っているんですが…
これはかつてない難関…
頑張ってお返事考えねば‼️

というわけで書きました。私、頑張りました。毎回思うのですが…

わかりやすく書くのって難しい。

八王子市立〇〇小学校 4年生のみなさんへ

先日(2021年12月13日)は、私のお話を聞いてくださり、本当にありがとうございました。
ボランティアセンターのスタッフさんから、みなさんが書いてくれた感想と質問のお手紙を送ってもらい、みなさんのお手紙を、ひとりひとり、ていねいに読ませてもらいました。
たくさんの感想を書いてくれた人。
たくさんの質問を書いてくれた人。
私の健康を心配してくれる人。私を応援してくれる人。
どのお手紙も本当に嬉しいです。ありがとうございます。
書いた文字の数は少ないけど、気持ちを込めて一生懸命お手紙書いてくれた人もいて、書くのは大変だっただろうなと思いました。
みんなみんな、ありがとうございました。

さて、皆さんからの質問がたくさんありました。
同じような質問の人が何人かおられたので…大きくまとめてお返事します。
ひとりひとりのお手紙に、ちゃんとお返事出来なくてごめんなさい。

(1):UD(ユニバーサルデザイン)のことについて。
みなさんのいるこの町、この地域には、たくさんの人が住んでいます。子ども、お年寄り、外国の人、私のような車いすの人。
それぞれ、困っていることも違えば、何が便利なのか、ということも違うのですが…
なるべく、たくさんの人が便利に楽しく暮らせる町にしよう、というのがユニバーサルデザインの考え方です。
だから、車いすのmitsuguさんにとって便利かどうか、というだけではなくて、皆さんのように、普段は車いすに乗らない人も同じように便利なものでなくてはいけないのです。

最近はインターネットで検索すれば、UD(ユニバーサルデザイン)の例はいくらでも出てきます。そういうお勉強は、これからも授業でやる時があるでしょう。
だから私からは、こんなものもUDになるの?
というものをいくつか出してみようと思います。

①ICカード
PASMO Suicaなどのカードの事です。
電車やバスに乗る時だけでなく、自動販売機で飲み物を買ったり、お店で買い物ができたりします。
手や指先が不自由な人は、お財布からお金を出したり、切符を買ったりするのが難しいのでとても便利です。

②自動ドア
ちょっと探せばどこにでもある自動ドアです。手を使わずに開け閉めできるので便利ですが…特に身体の不自由な人のために作られたものではありません。
最初に、ビルの玄関などに付けられるようになって60年以上の時間がたちますが、自動ドアもみんなが便利に使えるものの代表です。

③エレベーター エスカレーター
エレベーターもエスカレーターも、今、みなさんが町でよく見るような形のものが、最初に作られるようになってから、だいたい130年くらいの時間がたちますが…
足の不自由な人、身体が不自由な人が使うと便利だね!と言われるようになったのは30年前くらいからです。
元々は、ホテルやデパートなどでたくさんのお客さんを建物の上の階や下の階に運ぶためのものでした。
エレベーターやエスカレーターも『みんなが使うと便利なもの』として昔からあるものですね。

④ウォシュレット
おうちのトイレにウォシュレットが付いているよ。という人は多いと思うんですが…
実は『ウォシュレット』という名前はTOTOという会社が付けた商品名…あだ名みたいなものなので、機械としての正しい名前は『シャワートイレ』と呼ばれます。
一番最初は、病院などで使われていました。
手や腕を怪我した人がお尻をきれいにできるように…と考えられた機械でしたが、お尻がとても清潔になるのと、使っていて気持ちがいいというので、
だんだんと改良されて、普通のお家にも簡単に取り付けができるものが売られるようになりました。
⬆以上、頑張って探さなくても、実は便利に使ってる(UDだった)というものでした。
これはほんの一部です。あとは、みなさんで調べてみてくださいね。

⑵:質問へのお返事
何人かの人が書いてくれた私への質問にお返事します。

①私の身体のこと。
私が車いすに乗っているのは、脳性まひ、という障害が原因です。
みなさんは、おじいさんやおばあさんが具合が悪くなって倒れてしまい、目が覚めたら手足が不自由になったり、口が上手く動かなくなった…というお話を聞いたことはありませんか?
脳に栄養や酸素を送る血管が傷ついてしまうことから起きる事故ですが、大体はお年寄りがなることが多く『脳こうそく』という名前で呼ばれます。
この『脳こうそく』が、小さな赤ちゃんの時や、まだお母さんのお腹の中にいる時に起きると『脳性まひ』と言う名前で呼ばれます。
同じ脳性まひの人でも、身体のどこが動いてどこが動かないかは色々です。
杉浦さんのように、車いすに乗っている人から、杖をつけば立って歩ける人まで、たくさんの人がいます。できることできないこともみんなバラバラだったりします。

②車いすに乗っていて困ること。
いくつかあります。
・ずっと座ったままでいること。
私の乗っている車いすは、長い時間座っていても疲れが少なくなるように作られていますが、それでも一日乗っていれば、やはり疲れてしまい、腰や背中、足などが痛くなることがあります。
お家にもマッサージの先生が来てくれたりします。
たくさんお出かけした次の日などは、疲れて動けなくなりますね。
・車いすが動かない時
電動車いすのバッテリーが切れた。モーターが壊れた。タイヤに穴が空いちゃった。など、お出かけできなくなるのが一番困ります。車いすは身体の一部ですから、これがなければ、どこにも行けません。
・町の段差や階段。
車いすでは階段は上がれませんし、一段が15センチ以上ある段差も上がれません。
段差のあるところにはスローブ。階段のあるところにはエレベーターがないと不便です。
私の電動車いすは、車体の重さが100キロ以上、人が乗ったら200キロ近くになりますから、大勢の人に持ち上げてもらわなくてはいけません。
だからなるべくたくさんの道路や建物にスローブやエレベーターがついていて欲しいですね。

③車いすに乗っていて嬉しいこと。
私は病院に入院していたこともあり、家の中で過ごすことが多い子どもでした。
だから、小学校に入る前、初めて自分の車いすをもらった時は嬉しかったですし、今でもお出かけは好きですよ。
あまり沢山お出かけすると身体が疲れたり体力が落ちて具合が悪くなったりしてしまうけど、それでも外に出るのは楽しいです
辛いこともたくさんありますが…小さな部屋にじっとしていては、辛いことさえも経験できないで…
なんにもないまま1日が終わります。なんにもないより、少しでも何か変化があったほうがいいですよね。

④車いすに乗ってなかったら、何がしたいか
ごめんなさい。私は赤ちゃんの時からずっと身体が不自由だったし、どこに行く時も車いすを使って来ました。だから、車いすに乗っていない自分の姿。車いすがいらない自分の生活というものを考えることができません。
でも、他の人と同じように身体が動いたら、きっと色んなことが出来ただろうなと思います。

⑤お風呂にはどうやって入るのか。
おうちのお風呂も、私が入りやすいように改造してます。湯船の隣の洗い場に、ピッタリ収まるくらいの大きなスノコがあり、スノコの高さも湯船と同じ高さになってます。スノコの上に上がってしまえば、あとは自分で出たり入ったりできます。
身体を洗うのは難しいので、人に手伝って貰います。
私よりもっと身体が不自由な人は、お風呂用のクレーン(リフト)を使うみたいです。

※先生方へ
ネット検索で『入浴用リフト』と検索してみてください。いくつか写真や動画が出るはずです。子どもさんに見せてあげてください。

⑥電動車いすのこと。
私が乗っている電動車いすは、アメリカのインバケア社(Invacare Corporation)という会社の製品です。(型番:TDX-SP-2)最高時速は約6キロ。
大人の人が早歩きするくらいのスピードで動けます。
普通の車いす(手動)には6歳の頃から乗っています。
最初の電動車いすに乗ったのは20歳くらいの時でした。
操作に慣れて上手に動かせるようになるまで、3ヶ月から半年くらいかかりました。毎日毎日たくさん練習しました。
今は自分の身体に元からくっついているように動かせますよ。

※先生方へ
車いすのメーカーInvacare Corporationと型番TDX-SP2で検索すると、私の愛車と同じものが出てきます。
子どもさんにも見せてあげてください。

⑥お手伝いの人がいなかったら…

私の身の回りのお世話やお手伝いをしてくれる人(ボランティアさんやヘルパーさん)は一人だけではないんです。
『この曜日のこの時間はこの人が来ます』というふうに決められています
もし、決められた人が来れなくなっても代わりの人が来てくれる用意がされています。
困った時はヘルパーさんやボランティアさんだけでなく、時には周りにいる知らない人も、私を助けてくれます。
今まで数えきれないくらいのたくさんの人にお世話になりました。
その人たちには、どれだけお礼を言っても足りると言うことがありませんね。

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