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紫金山-ATLAS彗星(C/2023 A3)を迎え撃て!

10月に見られるという話題の彗星, プラネタリウムのフリーソフトStellariumで見え方を予測してみました. (上の↑タイトル画像は見えない時刻の彗星の超クローズアップです. あしからずご了承を. m(. .)m)

昨年春ごろから話題になっている紫金山(Tsuchinshan)-ATLAS彗星(C/2023 A3)は, 2023年1〜2月に中国のTsuchinshan(紫金山)天文台と南アフリカの小惑星監視施設ATLASで発見され, 当初は今年の秋に1等級の大彗星として夕空を飾ると予測されていました. その後, 太陽に近づいてくる過程でボロボロと削げ落ちるように痩せてしまって, せいぜい4〜5等か(それでも明るい方だけど)とも言われていましたが, 最近ちょっと持ち直して(?), 3等級くらいの予測になっているようです. 明るさの変化の経過やらいろいろ考慮して今後の明るさを予測するらしく, 予断を許さない彗星はまさにミズモノ. (実際, 成分は雪だるまみたいに水が多いそうです)

以下の星図たちはStellariumによるシミュレーションのスクリーンショットで, 彗星のデータは2024/9/20時点のものを使っています. 場所は出雲としているので, 他の地方では東の方なら少し早い時刻, 西なら少し遅い時刻の状況になります.

見え方の予測(10月12日〜21日)

10月12日の18:00ごろ, 夕方の西の空が水平線まで澄み渡るようなよほどの好条件であれば, たぶん見え始めている金星(宵の明星, Venus)とうしかい座のアークトゥルス(Arcturus)の間にぶら下がるように, 近日点を回ってきた彗星が見える, かも知れません. 光度の予測は2.8等. 夕焼けが残る空にこの明るさの彗星(ボワっとしてる)が見えるかどうかは... 肉眼では無理っぽい? 双眼鏡があれば…どうでしょう?

10/12 18:00ごろ(場所:出雲), 光度の予想は2.8等.
日没後星が見え始める頃, 彗星は西の低空(高度10°以下)に見えるはず. 見えるかなぁ〜??.

その3日後の10月15日, 18:20ごろ(光度3.2等), もう少し暗くなった空で金星とアークトゥルスのちょうど中間あたりに, これは見えそう! (高さは15°くらい)

10/15 18:20ごろの西の空(出雲), 光度の予想は3.2等.
彗星は西の低空に光る金星とアークトゥルスの中間くらいのところに見える.

この時は, f=290mm, APSCセンサの画角に球状星団M5(Rose cluster)とオルバース彗星(13P)もいっしょに入る撮影チャンスでもあり, まさに「お帰り紫金山-ATLAS彗星! 歓迎撮影会」みたいな様相が期待されます! (無事近日点を回ってきてくれ〜☆祈☆)

10/15 18:30ごろ: 赤枠はSD60SS+0.8xレデューサ(D=60mm, f=290mm F4.8), APSCセンサによる画角.

さらにその後の経過の予測は…

彗星は東へ東へと動いていくので, 日没後に見える高さは高くなって行き, そして沈むまでに時間の余裕ができます. 明るさは暗くはなりますが, あわてずにゆっくり探して見られるという点では見やすくなるでしょう.

10月18日 18:30ごろ(光度3.8等) 

10/18 18:30ごろ(出雲), 光度3.8等: 日に日に左上の方へ移動していく.

10月21日 18:30ごろ(光度4.3等)

10/21 18:30ごろ(出雲), 光度4.3等. へびつかい座の「おむすび型」の中へ入っていく.

ということで, 10/15前後の太陽に近いときが明るく見頃, でも日没後の短時間しか見られない. その後は太陽からだんだん離れて暗くなるけど, 見える時間には余裕ができて, 十分暗くなってから落ち着いて探せるので, 双眼鏡や望遠鏡があれば見つけやすい, という感じと思われます.

ただ.… 月がわりと大きくて, 10月15日の月齢が12.4, 17日が満月です. 空の反対側なので多少マシとは言え, 月明かりの影響は覚悟しておく必要あり. 満月を過ぎると月の出が遅くなって(19日の月の出が18:30ごろ), より暗い空で彗星が見られるようになります.

あの新星は?

ところで, 今年のもうひとつの話題といえば再帰新星のかんむり座T星(T CrB). 以前から今年の6月〜9月の間に新星爆発を起こす可能性が高いと言われていて世界中の人たちがかんむり座を見つめていますが, 9月も下旬に入った今も音沙汰がありません. 爆発が起これば肉眼で見えるほど明るい時期はほんの数日とのこと. もしも彗星が夕空に現れる頃に爆発が起こったら, こんなショットが撮れるかも…

10/15 18:30ごろ(出雲), 赤枠は35mmレンズ, APSCセンサの画角; 彗星からかんむり座まで入る.

妄想はふくらむ(笑)

さて, 今のウチにシゴトを片付けて, 10月にはほうき星を追いかける時間がとれるように.…(汗汗;;)


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