Vixenシャトルスコープ80s 〜 The stylish & mysterious
こう見えて天体望遠鏡です. いや, スポッティングスコープかな?
オークションやフリマに時々顔を出すこの品はVixenシャトルスコープ. VixenさんのWebサイトには生産終了品の情報もあるのですが, そこにも情報が見当たらない謎のオールドモデル. 「シャトル」というネーミングの由来も分かりません. まさにスタイリッシュ & ミステリアス(笑)
仕様は口径80mmと100mmがあり, 各々F6, F6.4らしい, フォーカス調整は抜き差しの粗動部とヘリコイドの微動部から成る, そこそこよく見えるらしいということが(中古)ユーザーのブログなどから分かります.
2つめの記事はドイツの方. 黒いバリエーションもあるようです.
海外の天文マニアの情報サイト"Cloudy Nights"にある"My oddest classic scope"(私の変な昔の望遠鏡)や, "Unusual Vixen RFT"(変わったVixenの広視野望遠鏡)という掲示板でも紹介されています. どうやら2000年前後に日本で販売されていたらしいとのこと.
https://www.cloudynights.com/topic/743839-my-oddest-classic-scope/
https://www.cloudynights.com/topic/282419-unusual-vixen-rft/
この独特のスタイルと謎めき方に目が止まってしまうと, オークションに出現したらポチるしかありません(笑). 20年以上の年季ものらしいですが, 今でも軽量コンパクトなお手軽望遠鏡として使えそうな気がします. 当時の日本製ならば, (昨今の中国製にはない)高クオリティも期待してしまいます.
実物を見ると期待を裏切らない丁寧な造り込みでした♪♫
このモデルは口径80mmですが鏡筒外径は115mmもありとても太いです. 昨今の中国製の安価な鏡筒ではあり得ない総金属(アルミ)製で, 先端のリングみたいなフード, 対物レンズセル, 鏡筒本体, 接眼部の接続は全てネジ込み.
接眼部はストローク100mmの粗動ドローチューブ(外径65mm)とストローク18mmのヘリコイドによる微動でフォーカス調整する仕掛け. アイピース取付部は, ヘリコイドの36.4mmネジにツァイスサイズのアイピースアダプタが付いていましたが, 現在一般的なアメリカンサイズ(31.7mm)のアイピースアダプタに取り替えました.
また, 付属のファインダーはプラスチックレンズらしいあまりよく見えないものだったので取り外し, Vixen規格の小アリガタのファインダー座に付け替えました.
さらに, 架台への取り付けは1/4インチカメラネジの座が鏡筒に2本のビス止めで付いていますが, 一般的なVixenアリガタ(ダブテイル)バーを重ねて取り付けました.
アイピース径をアメリカンサイズに若干大きくすると, 天頂ミラーなどの光路長が伸びて使用時にフォーカスがでなくなるのではないかと, ちょっと心配しましたが, ほぼ大丈夫でした. ただ, フォーカス位置が近めのアイピース(SVBONYのプラネタリーズームなど)は, 天頂(正立)プリズムではフォーカスが出るが天頂ミラーだとダメ(ドローチューブをいっぱいに縮めてもフォーカスが出ない)というケースもありました. (天頂プリズムは天頂ミラーと比べてフォーカス位置を後ろにずらす効果がある)
仕上げはフード. あまり天体望遠鏡らしくないスタイリッシュな(?)短いフードでは露よけの役割は期待できないので, 巻きフードを作りました. 巻きフードの材料や作り方は, こちら↓が参考になります.
最後に, この鏡筒のスペックをまとめておきます.
Vixenシャトルスコープ(Shuttle Scope) 80s 仕様
口径: 80mm
焦点距離: 480mm (F6)
鏡筒外径: 115mm
鏡筒長さ: 420mm
フォーカサー: 粗動ドローチューブ外径65mm/ストローク100mm, 微動ヘリコイド(36.4mmネジ)ストローク18mm
鏡筒重量: 1.7kg (次の改造後: ファインダー座をVixen規格に変更, アイピースアダプタをアメリカンサイズに変更, 架台取り付け部をVixen規格アリガタに変更)
90°正立プリズムと8〜24mmズームアイピース(20〜60倍)でも付けておけば, さっと持ち出してすぐに見られるお手軽望遠鏡になりそう. やはりF6の短焦点アクロマートなので, 150倍くらいの高倍率になると長焦点モデルのようなシャープさは出ませんが, 120倍(アイピース4mm)くらいまでなら問題なく楽しめそうです.
【了】