モンスターズ・インクの休日(1)

こちらもkindleとオンデマンドで出版したものですが、こちらでも発表させていただきます。この「はじめに」の部分のみ無料です。


はじめに

同じ映画でも、観る人によって好き嫌いが分かれたり、まったく違う感想を抱いたりすることがある。それは、同じ一人の人間においても起こることでもある。いずれの場合も、その人の置かれた状況や人生経験が大きく影響していることは言うまでもない。
かく言う私も、そういう体験を何度もした。いちいち具体例を挙げるとキリがないが、その中でも私にとって最も意味と意義があり大切なものを思い切ってまとめてみたのが本書でる。
ここで取り上げた二本の作品は、共に非常に有名な作品ではあるが、それぞれジャンルはまったく違う。片や黄金時代のハリウッド映画を代表するラヴ・ロマンスの名作の一本であり、無名の若手女優を伝説の大スターへと一気に押し上げた作品。片や技術的にも内容的にも当時のアニメ映画に革新をもたらす作品を発表し続けていたディズニー傘下のアニメスタジオが放った快作で、まさに「大人も子供も楽しめる」充実した出来だったゆえ後に続編(内容は前日譚だが)も作られるほどのヒットを記録した。
ジャンルがあまりにも違うこともあり、この二本の間に共通点(少なくとも私はそう解釈した)を見出した人はあまりいなかっただろう。私も、ある人生経験を積んでいなければ、まず気付かなかっただろう。
だが、私は発見した。もしかすると、それは私の思い込みによるこじつけかも知れない。だが、ここではあえて、それを「意図して行なわれたもの」と仮定して話を進めさせていただく。
そしてその発見は私にとって、単なる「映画トリビア」的なものとは遥かに次元が違う、大げさに言えば、私の人生にとってとても大切なものにまでなったのである。私がこの発見をここまでして綴った動機は、まさにそこにあるのだ。
だから本書は、二本の映画に関する研究書であると同時に、私のエッセイ的な性質も持ち合わせている。それゆえ、話が非理論的になったり、あらぬ方向へ飛躍している部分もあるだろう。その点についてはあらかじめご了承いただきたい。
それから、二作品についてそれぞれ分析している第二章と三章は、読者の皆さんが当該作品を鑑賞していることを前提して執筆しているので、当然、全体が完全なネタバレになっている。本編を鑑賞してからお読みいただきたい。
とりあえずは、意外な組み合わせの二本の映画の共通点を探っていく面白さを感じながら、読み進めていただければ幸いである。


<他の章へのリンク>
(上)
https://note.com/mryk0221/n/n12fa751559ec
(下)
https://note.com/mryk0221/n/n73d318ce3927

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