コロナ時代一区切り、ある看護師の所感。

新型コロナウイルス感染症が、感染症法の位置付けとして5類に移行した。
あくまで感染症法における位置付けが変わっただけで、ウイルス自体の感染力が弱まったとか感染対策しなくてよくなったとかいうわけではないんだけど、
でもある種の区切りを迎えたわけで。

私たち、本当にがんばったから、ちょっと振り返ってみる。
COVID-19っていうくらいだから始まりは2019年だけど、日本に流入したのは2020年なのでそこから3年。長いね。


2020年


こんなこと書くと職場バレしそうなんだけど、うちの職場は感染症用の病棟がありまして。ベッド数2床。
本当は1類相当の感染症が発生したときのために用意されている病棟なんだけど。
地域でも有数の総合病院なので、県内で発生した患者は最初の頃はうちで受けていた記憶。

各病棟からローテーションで感染病棟勤務のスタッフを出していて、ある時選ばれて2週間だけそこで勤務。
酸素投与の必要もない、そこまで重症じゃない患者さんたちだったので、落ち着いてみていられたものの、自分も感染したら怖いなという気持ちもあった。

面会ができなくなった、外出外泊ができなくなったのが結構大きめの変化。
ご家族が荷物を届けに来たときに、リハビリのふりして廊下に連れ出して偶然を装って遠目で会ってもらったりしてた。
今から検査行くのでここ通りますね〜、たまたまですよ〜!とか。

プライベートはたくさん我慢して、所謂ステイホーム期間は外出も外食も我慢して。
少しずつ緩めたけど遠出はしなかった。そんなことしてもらってきたら、医療従事者なのにってものすごいバッシング浴びそうだったし。そんな時代。


2021年

部署異動。ICU。
異動当初はちょうどCOVIDの患者さん多め。ECMO。
別の記事でも書いたことがあるけど、そもそもICUを希望していたわけじゃない上にコロナコロナはしんどかった。

落ち着いたと思ったところで夏の第5波。
この頃が本当に地獄。辞めたくて仕方なかった。
容赦なくECMOの受け持ちつけられて。多い時5人くらいは重症の人がいて。きつかったなあ。

大人数で集まってBBQしたとか、遠出したとか、連日飲み歩いてたとか、そんな人たちばっかりで。
感染源がそことは言い切れないとはいえ何とも言えない気持ちだった。
私は飲み会もせず県外にも出ず耐えてるのに、なんで?って。我慢したライブだってあった。
こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど、遊び歩いて感染した人のことみなきゃいけないのがしんどかった。

SNS見るのもつらかった。遊んでる人はたくさんいて。
重症化することだってあるって分かったのに、現に私はECMO離脱できない人たちみてるのに、なんで平気で遊んでられるんだろうって。
自分がよければいいとかいう問題じゃないし、軽症ならとか無症状ならとかいう問題じゃない。
あなたが更に誰かにうつすかもしれなくて、その人が重症化するかもしれなくて、人の命を危険に晒すかもしれないのに、そのこと分かってるのかなって。分かってないんだろうけど。

私にとって、この3年で一番しんどかった年。
歌とか「ありがとう」とかなんとかパフォーマンスよりも、みんなが自粛してくれる方がよっぽど嬉しいのにって思ってた。


2022年

脱獄。一般病棟へ。
コロナが発生したら専用病棟へ移動してもらうので、基本的に受け持ちの必要なし。
緊急入院の患者さんのPCR結果が出るまではフルPPE対応なんだけど、それ以外では着る機会がなかった。

年末に自分が罹患。
咽頭痛から始まり、夜には発熱。療養期間の中頃からは症状が咳と鼻汁に移行。
未だに咳は続いてます。後遺症?


2023年

年明けてからやたら陽性さん引き当てた。
緊急入院の人がPCRの結果陽性で、急遽専用病棟に移動してもらったこともあった。
定期入院の人も陽性で手術延期になったりとか。
謎の引きの強さがある。

5類になったことをきっかけに専用病棟は閉鎖。
今後病棟で発生したら、個室隔離して病棟管理。

1つの大きい変化は面会制限の緩和。
これは患者さんにとっていいことだと思う。
1日2人まで、15分以内の決まりはあるけど、まったくできないよりいいよね。


私たち、耐えたよね。耐えたよ。
ただの風邪って言われたり、しんどいなんて言おうものなら自分で選んだ仕事だろなんて言う人もいたり。
(私が言われたわけじゃないけどTwitterで散々見た)

波が来るたびに、そうじゃなくても、医療現場は逼迫してて。手術制限とかもあったし。病床数とか。

飲食業とか、エンタメとか、そういう職種の人も大変だったと思う。その他インフラ系の人たちも。
そうじゃない人たちだって、日常生活に制限が設けられて、我慢を強いられることがたくさんあって。

日本中みんながんばった!

でもやっぱり、医療従事者みんながんばったよ。
まだ終わってないけど、一区切りとして。
皆さまお疲れ様でした。

とは言ったものの。
むしろこれからが…という気もしている。

冒頭にも書いたけど、感染症法上の位置付けが変わっただけでウイルスの感染力が弱まったわけじゃない。
そこを勘違いしてみんなが気を緩めたら、一気に…ということだって考えられるわけで。
消毒液とかパーティションとかもなくなってるっていうじゃない。こわいね。
5類になったって感染したら療養期間は発生するわけです。
これは季節性インフルエンザだって同じ。最近インフルが影を潜めてたような感じだけど、みんな覚えてる?

まだまだ気は抜けません。
みんなこれからも頑張りましょう。

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