ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視41「メグレと田舎教師」(2002)
原作:『メグレと田舎教師 Maigret à l'école』(1953)
脚本:ピエール・グラニエ=デュフェール、ミシェル・グリソリア
監督:イヴ・ド・シャロンジェ
本編:84分
あらすじ
「あなたはぼくの大好きな英雄の一人です。どうかぼくの村へ来て、父を助けてください」というジャン・ポールからの手紙によって、メグレはシャラント県サン・タンドレ村を訪れる。
レオニーという老婦人がカービン銃で殺され、ポールの父親である小学校教師・ガスタンが捕まっていた。
ガスタン一家は村人から嫌われており、それは子ども達の世界も一緒だった。
息子・ポールも学校で友達を作らず、放課後も一人で過ごしていた。
閉鎖的な村で起こった殺人事件。外から来た人間に厳しい環境で、メグレは真実を求めて捜査を行っていく。
視聴記録
オープニングで、ジャン・ポールからの手紙と村に来るメグレを描いているため、原作の第一章に当たる部分はカットされていますが、それ以降はエピソードの見せ方の違いがあるくらいで、大筋は原作に忠実なドラマでした。
しかし、本格的に捜査を始めてからは、メグレがぶどう酒や牡蠣、子ども時代を思うことなく集中して捜査を行っていくため、普通の捜査ドラマ感が強まっています。
そのため、原作独特の空気感はあまり感じられません。
ドラマとしては、短めの時間の中で集中して捜査していることや、いつもとは違う景色をメグレが動き回ることで、最後まで弛緩することなく事件を描けており面白かったです。
ホテルに戻ったメグレが村人の誰かに石を投げられ、ホテルの主人に「村人全員のせいで悲劇が起こった」と閉鎖的な村の環境について厳しく言葉をぶつけたり、村の外から来たテレーズとの会話などで、<排他的な村社会>を分かりやすく描いています。
人物描写も、原作の複雑さは薄まっていますが、この作品の中で綺麗にまとまっていると感じました。
テレーズやマリアを原作よりしっかり者として描くことで、子どもへの一筋の救いも追加しており、最後はジャン・ポールへアドバイスするメグレと、それを受けたジャン・ポールの手紙で終幕となり、綺麗にまとまっているのも好きなポイントです。
原作とは、同一の物語を使っていても軸足が違いますが、それぞれに良さがあると思います。
第25話の「聖歌隊少年の証言」と同じく、子どもとの交流が濃い目に描かれるエピソードは面白いです。
ちなみに、原作でも第二章以降には出なくなるガスタンですが、ドラマではメグレが留置所に会いに行っている描写が何回かありますが、遂に写真以外の登場がないという、より影の薄い存在になっています。
キャスト
ジュール・メグレ/ブリュノ・クレメール
クザヴィエ・ブレッセル/ジャン=クロード・ドレフュス
ガスタン夫人/Carole Richert
ジャン・ポール・ガスタン/Ilroy Plowright
マルスラン・ラトー/Stéphane Jobert
ジョゼフ・ラトー/Kevin Jacob
ルイ・ポーメル/Philippe Duquesne
テレーズ/Eva Mazauric
マルセル・セリエ/Vivien Picouleau
マリア/Lucia Sanchez
ヴァロワ/Thierry Levaret
同一原作の映像化
ルパート・デイヴィス主演シリーズ(英)
シリーズ2 第9話「The Liars」(1961) ※日本未紹介
ジャン・リシャール主演シリーズ(仏)
第13話「Maigret à l'école」(1971) ※日本未紹介
マイケル・ガンボン主演シリーズ(英)
シリーズ1 第3話「メグレと漁村の教師」(1992)
原作感想
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