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人を幸せにしないシステムから全力脱出を果たした眞子さん

■心から祝いたい眞子さんの結婚

眞子さんと小室クンの結婚が決まった。


椰子の実が1年以上かかって漂着するくらい日本から遠く離れた南洋の小島でこのニュースを聞いた私は小躍りした。


「振り切り勝ちだね、眞子ちゃんおめでとう! 会ったことないけど、おばさんは周囲から結婚を猛反対されてた姪っ子がついに親を説得できたみたいで心から嬉しいよ」


■皇室を離れるために全力で王子にしがみついた眞子さん

振り返ればこの2年近く、コロナのおかげで帰国もままならず、「私がこれまで納めた税金全額返せ!」とはらわたが煮えくり返ったアベノマスク事件以降は意識して日本の状況に疎くなるようにしていた。


結果、首相になった菅元官房長官の辛気臭い顔を見る機会もほぼなく、清々しい気分で暮らしていた私ではあるが、唯一の例外は、眞子さんと小室クン関連のニュース。


おばさんの余計な心配とはいえ、ひょっとしてひょっとしたらひょっとしたはずみにロミオとジュリエットのような悲恋劇に終わってしまったらどうしようと、どきどきはらはらしながら見守っていたのだ。


小室クンがニューヨークで学生生活に入っても、これまでと変わらず淡々と公務をこなす眞子さん。周囲の大騒ぎをよそに当人たちは黙して多くを語らず、代わりに父の秋篠宮や母の紀子さんや妹の佳子さんまでが折りにふれて(結婚を)否定したり肯定したり。仲睦まじくみえた家族の関係が大きく揺れ動いている様子が垣間見えた。


最近は、小室母の元婚約者からもこれといって新しい話は出てこなかったけれど、小室さん不在中に何度かマスコミの前に姿を現して話題を提供してくれたのは小室母の方。


新しい発見は、
「お母さん、けっこうセンスいいわ」
だった。


お母さんといっても私より若干年下。盛りを過ぎたとはいえまだまだ女現役である。年相応のお肌やスタイルは脇に置いておくとして、あのセンスでああいうシンプルな服をすっと着こなしていたら、若かりし頃はさぞかし目立ったんじゃないだろうか? 夫亡き後も恋人が複数できたり、小室クンが今どき珍しい強度マザコンなのもよくわかる気がする。


眞子さんはマザコン小室クンをこの母からも奪い取ったのだ。


ちょっと話がそれてしまったが、何を言いたいかというと、経緯を見守っていた私にわかったのは、ついに結婚にこぎつけた今回の大立ち回りの主役は、小室クンでもなく二人の愛でもなく、皇室という「イエ」を離れるために体を張って戦った眞子さんその人だったのだろう、ということだ。


だから「眞子さん、小室クン、おめでとう」ではなく、シンプルに「眞子さん、おめでとう」。


まだまだ若い小室クンには眞子さんとではなく違う未来もあったとは思うけれど、お母さんから全力で育てられた後は、眞子さんにも全力でしがみつかれ、捕捉されてしまったのだ。そして結婚内定。


もう逃げられない。あきらめなさい。


■「こんな人たちに私の一生を捧げるの?」という心の声が聞こえる。

そもそも婚約内定後に小室家の借金問題が暴露されてハチの巣をつついたような大騒ぎになった頃も、世間は小室さんの「玉の輿」婚であると素直に信じていた。私も同じだ。


が、時間の経過とともに秋篠宮や紀子妃、そして眞子さん本人の談話がぽつぽつと出てくるにあたり、実はどうも逆じゃないかと思えるようになってきた。


小室クンが眞子さんを好きなのはわかる。


でも、これだけ日本でぼこぼこにされた後、太平洋の対岸のさらに向こうのニューヨークで、(プレッシャーを背負った苦学生とはいえ)自由な生活を再び手にし、弁護士試験さえパスすれば、たとえ眞子さんと結婚できずとも、あのルックスであの人当りでしかも有名人。決して暗い将来は待っていないだろう、と思われる。


いっぽうの眞子さんはどうだろうか?


一世代上の女性たちを見れば、このまま皇室に留まった場合、自分自身にこれからどういう未来が待っているかはだいたい想像がつく。


民間に嫁いで穏やかに暮らしている元皇族といえばサーヤ、元紀宮がいらっしゃるが、36歳と晩婚で子宝には恵まれなかった。20代半ばにはマスコミの結婚報道が過熱しあまりの騒ぎに本人がやめてほしいと異例の要請をしたが、確かにあの状況では決まるものも決まらないだろうと私も思ったものだ。


案の定、それからご結婚までの道のりは長かった。


伯父にあたる現天皇陛下の浩宮時代のご結婚も困難も極めた。


20代には次から次へとお妃候補の噂が浮上すれど断られ続け、キャリア一筋だった雅子妃を拝み倒して結婚したのが33歳。しかし雅子妃は現在の眞子さん騒動とは比較にならないほどの激烈なバッシングを受けてノックダウン。それでも決死の覚悟で体外受精をし愛子さんが産まれるも、今度は男を産まないと非難の嵐。

20年以上にわたって地獄のような日々を過ごされてきたのには心よりご同情申し上げたい。


現皇室中で、世間スタンダードの「幸せな結婚」を手にしたのは眞子さんのご両親くらいだろう。それでも結婚前には紀子さんを貶めるようなさまざまな噂が巷に流れたものだし、雅子妃バッシングが一息ついた今は猛烈な紀子妃バッシングが起きている。


そんな中、眞子さんは皇室人手不足の影響からか、若干16歳から単独公務を始めたという。


平成天皇の初孫だけあって幼い頃から注目を集めてきた眞子さんは年齢以上に落ち着いて大人びている。それもそのはず、彼女は叔母の紀宮や伯母の雅子妃そして母の紀子妃がマスコミや国民からどういう仕打ちを受けてきたか、一番身近でじっくり見てきたのである。


そして自分の番。


小室家スキャンダルにマスコミや国民は大喜び。結婚なんてとんでもない、と大合唱はもちろんのこと、1億5千万円の税金を使うのだから反対する権利がある、とまるで自分がそのお金を出すような口ぶり。この方々は、これまで皇室の中に閉じ込められて眞子さんがどれほどの不自由を強いられてきたか、そしてどれだけの公務を真摯にこなしてきたか、まったくわかっていないどころか、わかろうとさえしないで、天皇家の主人気どりなのである。


天皇家のメンバーは公務員でも奴隷でもないからね。
国民の象徴だから。
そこんとこ間違えないように。


ましてや昨今は皇室人手不足がますます逼迫し、女性宮家の創設案まで現実味を帯びてきた。バッシングに負けこの結婚をあきらめて、安倍元首相じゃないけれど、自分の一生をこんな人たちのために捧げるの? と眞子さんが絶望したくなってもおかしくないだろう。


眞子さんがこの状況から脱出するためには、極めて運よく捕まえた、類まれなる鈍感力を誇る小室クンと結婚する以外に道はないのだ。

■人を幸せにしないシステム、皇室

今、得意満面で眞子さんと小室クンを叩いている人たちに聞いてみたいことがある。


皇族って苗字ないの知ってる?
皇族って住民票がないって知ってる?
皇族には選挙権も被選挙権もないの知ってる?


つまり、皇室に生まれてしまった人には(嫁いでしまった人にも)、日本国民が当然のこととして享受している基本的人権も、そして民主主義国家の最重要権利である選挙権もないのである。
(その割に相続税は払わされているらしい)


これって差別じゃないですか?


あの極左文学者の中野重治も戦後書いた小説の中で主人公にこう語らせている。

だいたい僕は天皇個人に同情を持っているのだ。原因はいろいろにある。しかし気の毒という感じが常に先立っている。


昭和天皇は最期まで戦争中、「天皇陛下バンザイ」と叫んで死んでいった夥しい数の人のことを忘れなかった。その人たちを記憶にとどめるために樹を植え続けた。


平成天皇は敗戦後に廃止されかねなかった天皇家という「イエ」を護るために皇室の存在意義を熟考し、美智子妃と二人三脚で被災地をくまなく訪ね、世界の戦場で亡くなった兵士たちの鎮魂を祈っては、戦後の皇室を再構築した。


そして令和。


今上天皇時代の最大の特徴は、皇嗣家である秋篠宮家と一体であるということだろう。皇太子不在かつ病弱な皇后という現状では、重要な公務を分担できるのは弟の秋篠宮と紀子妃しかいない。そして次世代の皇嗣は秋篠宮長男である。


兄弟という関係性を超えて、両家はこれまで以上に緊密に協力し合いながら父の明仁上皇から受け継いだ「イエ」を守っていく以外ないのである。


そんな状況下で、もしも今回のチャンスを逃したら、眞子さんは永遠に皇室の中に閉じこめられ、皇室という「イエ」の一員として、それを守るための一兵卒として、一生を捧げなければならない可能性がとても高かったのだ。しかも皇室に留まるかぎり、トルネードのようにいつ発生するか予測不能の世間からのバッシングからも永遠に逃れられない。


だから、眞子さんが世間並みの幸福という切符を手に入れるたぶん最後のチャンスが、小室クンだったんだと思う。

■女系天皇も女性宮家もなくていい。

こういう諸々がしっかり頭の中に入っていた眞子さんはあらゆる困難に立ち向かい、初志貫徹してぎりぎりセーフでアメリカ行きを決め、皇室離脱のチャンスをものにした。


次は佳子さんと愛子さんの番だ。


二人がもし今回の眞子さんのようなバッシングに遭ったらと考えると、今からおばさんはいてもたってもいられない気持ちになる。どんな若い女性にもそう願うように、自分の生まれや運命に悩みながら、それでも前進していこうとしている彼女らの前途を、静かに見守り幸福を願っていたい。眞子さんのような酷いバッシングを受けず、愛する人と出会い穏やかな生活を送れますようにと祈ってやまない。


この気持ちは娘をもつ親である今上天皇や秋篠宮も同じだろう。


決して間違えてはいけないのは、彼女たちは自ら進んで注目を浴びる道を選んだ有名人とは違い、たまたま皇室に生まれてしまっただけの女性たちなのだ。


皇嗣に生まれてついてしまった悠仁さんもお気の毒だとは思う。けれどこれはすでに法律で決まっていて、法律が変わらない限り彼に皇室を出る権利は与えられない。逆に佳子さんや愛子さんには、結婚をせずに皇室にとどまる自由も、結婚をして住民票も苗字も選挙権ももつ普通の女性になる自由が、今のところはまだ保証されているのだ。


だから私は、女性天皇も女系宮家もなくていいと思っている。


人を幸福にしない天皇家というシステムをこれからどうしていったらよいか、当事者である現天皇陛下と秋篠宮氏はよくよく考えられていることだろう。しかし彼らに決定権はない。


個人的には、現在、大方の日本人が自分の「イエ」がいつか消滅してしまうのはやむをえないと考えているように、天皇陛下も秋篠宮も考えていらっしゃるのではないかと推察している。


何といっても天皇家は私たち日本国民の象徴、代表であるのだから。

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