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だらしない夫が好き

なわけありません。

今日は自分以外の誰かと生活することで起こる考え方や行動の違い、そこから生じるフラストレーションとその現状をどう乗り越えていくかをお話ししたいと思います。

私の朝は寝起きから背中に長女をおんぶし、次女を抱っこして階段を降りる事で太ももの大腿四頭筋が悲鳴をあげそうになるところから始まるのですが、夫のお弁当と長女の朝食の準備をするためキッチンへ向かうと、ほぼ毎日のように流し台には前日の晩に夫が晩酌で使った食器とビールの空き缶がそのまま置いてあります。

夫のお弁当と長女の朝食を作り終えたら、長女がご飯を食べている間に洗濯物を干し、アラームが二十分鳴り続けても全く起きない夫を起こします。

私に起こされた夫はわたわたと身支度をし出勤していくのですが、夫が着替えのために脱いだパジャマはソファーにかけっぱなし、スリッパもソファーの横に乱雑に脱ぎっぱなしです。

夫が帰宅した後、ふと玄関を見ると履いていた靴も朝のスリッパ同様、そのまま揃えることなく脱ぎっぱなしです。

ついでに言うなら毎週火曜日の朝は前日の晩に夫が読んだであろう少年ジ○ンプがテーブルの上に乗っています。

夫との出会いは私が高校三年生の夏、夫が高校一年生だった十六年前まで遡ります。私たちは学生時代にほんの少しだけ付き合いましたが、私が就職先を東京に決め、遠距離恋愛ではやっていけないと判断した為に一度別れています。そしてまた縁があってこうして一緒に生活を共にするようになりました。

ただ、世間一般的に考えられる夫婦の形と私たち夫婦は違い、私たち夫婦が一緒に暮らし始めたのは長女が産まれるほんの一ヶ月前だったという事です。

これは結婚をすると決めた私の最後のわがままが理由で、私たちはお互いが転勤のある会社に勤めていて車で二時間とかかる距離に住んでおり、仕事が好きだった私は「結婚しても子供を産むまでは、いつか辞めなければならない仕事を自分の納得のいくところまで続けたい」と言って別々に暮らしていたからです。

一緒に暮らすまでがそういう経緯だったこともあり、入籍後も夫と一緒に過ごすのはお互いが休みの週末だけで、夫にこういうちょっとしただらしないところがあるという事を私は知りませんでした。

私は「就寝前には部屋をきれいにして翌朝は気持ち良く迎えたい」「着ていたパジャマも洗濯に出すなり折り畳んで所定の位置に置いておきたい」そんなタイプです。スリッパも靴も言うまでもありません。

私は夫と生活を共にした事で、毎朝のルーティンの中に“自分が使ったわけでもない食器を洗う”“自分が飲んだわけでもないビールの缶を濯いで捨てる”“無造作に脱ぎっぱなしにされたパジャマとスリッパを片す”という項目が増えたのです。

全て合わせても時間にして十分とかからない事ですが、ここまで読んでみると私は夫に対して不満が溜まっているように見えます。けれど、私は夫のこの行動に対して何かを口にした事はありません。

ではどうして私は夫に対して何も言わないのでしょうか。

それはとても簡単な事なのですが、

“他人と一緒に生活をするということは自分の中で決まっている枠から物事がはみ出る事もある”

私はその事をよく理解しています。

例えば私が夫のだらしないところで挙げた“パジャマをソファーにかけっぱなしにする事”についてですが、私の中では夫に対して“パジャマをソファーにかけっぱなしにする”という表現ですが、夫の中では“脱いだパジャマはソファーにかけるもの”という表現になります。これが私と夫の考え方の違いです。

脱いだパジャマについて私の中では“洗濯するか畳んで所定の位置に置くもの”という行動になり、私の中にある枠となるわけですが、夫の中ではこれも“脱いだパジャマはソファーにかける”という行動になり、夫の中で決まっている枠なのです。

私はソファーにパジャマがかけっぱなしになっていると部屋が散らかって見えたり、お風呂上がりに着替えやすいようにと、夫が手に取りやすいよう浴室から出てすぐの洗面所に置くのですが、夫からすればこれは私が勝手に夫のパジャマを畳んで私の思う所定の位置に置いているだけなのです。

事実、暑がりな夫はお風呂上がりは季節問わず下着一枚でリビングまで歩き、汗がひいてきたところでパジャマを着る為、夫が思うパジャマのベストな所定の位置はソファーなのです。

こういったひとつひとつの考え方や行動の違いをきちんと理解していないと「どうして毎日ここに置いてるのに」とお互いに不満が募り、「私はあなたが手に取りやすいように洗面所に片付けるようにしているのに!」「俺は何も頼んでいないじゃないか!」「ソファーにパジャマがかかっていることで部屋が散らかって見えるのよ!」「帰ってきてすぐ風呂に入って着るものなのにどうして散らかって見えるんだ!」となってしまうわけです。

そう、夫は何も頼んでいないし、仕事で家を空けている時間が多い夫にとっては帰ってきた時に自分のパジャマがソファーにかかっていようが全く気にならないのです。

わかりやすく脱ぎっぱなしのパジャマで例えてみましたが、もしあなたがパートナーに対し「○○したいのに相手が○○だから○○できない!」とフラストレーションを感じていることがあれば、あなたが相手に対して行っているその行為を一度やめてみてください。相手は何も気にしていないはずです。

そして仮に相手がその事に気付き何かを言ってきた場合、このパジャマの件で例えますが「手に取りやすいようにと思って洗面所にパジャマを置いてたけど、あなたは暑がりで下着一枚で部屋にくる事が多いし実は不便だったりする?」とあなたが思っている事を素直に聞いてみてください。

もしかしたら「そういえば毎日畳んで整理してくれてるね、ありがとう」なんて言ってもらえるかもしれません。これは最上級の返答なのでそうそう言ってもらえないかもしれませんが、言ってもらえたら次の日からまた畳んで整理してあげたくなりますよね。

そしてまた疲れたらたまには片付けなくたって良いんです、夫は何も気にしてないのですから。

些細なケンカや口論は全て売り言葉に買い言葉です。言い方や物の考え方を少し変えるだけで人間関係は良い方向へと向かいます。攻撃的な口調で相手を傷付けてしまう前にぐっと堪えて一呼吸おいて何て伝えれば自分の気持ちを正確に伝えられるかを考える事が大事なのです。

私の夫のように朝も人に起こされなければ起きれないのならば、晩酌の時間をもう少しだけ短くすれば良い話ではあるのですが、それは“妻がきちんと起こしてくれる”という妻への小さな信頼のもとで成り立っている夫の行動なのです。

晩酌の食器も夫が洗うよりも私が洗った方がきれいで水の節約にもなります。これは少し都合の良い方にこじつけかもしれませんが、少年ジ○ンプも夫はきっと“妻は漫画が好きだから”と置いておいてくれているのかもしれません(笑)

彼氏彼女やパートナーと些細な事でケンカしてしまった時、私のこの夫がパジャマをソファーにかけっぱなしにするという問題を思い起こしてみてください。

私は夫のだらしないところが好きなわけではありません。けれど、それこそが私に気を遣わずに夫が家で快適に生活できている証拠なのです。

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