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森丘直樹 待望のギターインスト1st アルバム『Beyond All Memory』11/23リリース! SPECIAL INTERVIEW

2014年にギターインストアルバム『GUITAR BATTLE WORK SHOP』への参加でソロ活動をスタートさせた森丘は、「dps」や「WWEEZZ」でバンド活動を行う傍ら、ZARDデビュー25周年、30周年記念ライブにバンドメンバーとして出演したり、マーティ・フリードマンのライブツアー、クラシックコンサートにサポートとして参加するなど、超絶技巧派のギタリストとして常に注目を集めてきた。
そんな彼が、自身の誕生日でもある11月23日に、1stフルアルバム『Beyond All Memory』リリース!(
https://lit.link/naokimorioka
ライブや音源制作を精力的に行なってきたデビューから8年間の集大成となる今作について、今回話を聞くのは音楽評論家であり、ライブハウス「hillsパン工場」の店主でもある斉田才。以前より親交のある二人ならではのリラックスした雰囲気の中、一曲一曲に込めた熱い想いや制作秘話、またリリース日に「hillsパン工場」で開催されるリリース記念ライブへの意気込みについても語ってもらった。

<編集部より一言!!>
今回は、全曲について語ってもらったボリュームたっぷりな充実の内容となっております。
またSPECIAL INTERVIEWの後には、自身の音楽ルーツについて語ってもらった「The musician to the musician」(「別冊music freak magazine for 音都 Vol.2」(2019年3月30日発行号)に掲載した内容)を載せています。
ギタリスト・森丘直樹が誕生したきっかけや、これまでに影響を受けてきた音楽やアーティスト、溢れる音楽愛について熱く語ってくれているので、ぜひ最後までお読みください。

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斉田(以下●):マーティー・フリードマンさんの1st全国ツアーお疲れ様でした。(今年8〜10月開催。森丘はセカンドギターで出演)
森丘:ありがとうございます。コロナ禍の中、無事に誰一人欠けることなく終えられてホッとしています。
●このアルバムが出来て間髪入れずツアーに行くという、いい感じの動きでございますけれども。なんと今回が初のアルバムってことになるんだね。
森丘:
そうですね。前回まではEPだったので。
●しかもこれが初の全国流通になるってこと?
森丘:
はい。
●全部終わってみて、今の心境はどうですか?
森丘:
やりきりましたね。インスト(ソロ)作品としては2016年ぶりなので、6年間の成長というのをうまく入れ込めたかなと感じています。
●だってこれ全14曲ですよ。物凄いボリュームです! まさに渾身の作品となっておりますが、アルバムを作ることになったきかっけはなんだったの?
森丘:
ソロアルバムを作りたいって思いはずっと持っていたんですけど、これまでバンド活動(dps、WWEEZZ)が主だったので、そちらを優先してきました。去年の夏頃ですかね、コロナの影響もあって空き時間が増えたことがきっかけでインスト曲を作り溜めるようになって、ライブで披露出来たらいいなと思っていたんです。でも作っていくうちにどんどん曲が増えていきまして。それならぜひアルバムを作らせて頂けないかと、長戸大幸プロデューサーに直談判に行きました。
●dpsやWWEEZZのバンド活動もあって、それとソロの流れとは自分の中では別なんですか?
森丘:
バンド活動メインの期間は、dpsの時はdpsに、WWEEZZの時はWWEEZZに集中して、それでも時間が出来た時にソロの作品を作っていました。今回はコロナ禍で時間が出来たというのが大きかったですね。
●コロナ禍でみんなライブが出来なくなって、それぞれがその時間をどう過ごすかってことだったもんね。
森丘:
僕はもうめちゃくちゃ弾いてましたね。自分のプレイを見つめ直す機会にもなったので、ある意味いい時間になったのかなと感じています。
●収録されている曲は、去年の夏頃から出来たものが多いってこと?
森丘:
ずいぶん前からライブでやっている曲もありますけど、レコーディングは最近ですね。
●レコーディングって言っても、今の人達はみんな宅録で作っちゃうじゃないですか。これもある程度トラックは自分で作ったの?
森丘:
そうですね。ギターとベースは自分で弾いて、打ち込みも全部自分でやって、9割くらいは一人で自宅で作りました。あとはドラムをWWEEZZで一緒にやってる山村佳範(以下まむ/@wweezzyamamura)にお願いしたり、ミックスで細かいところを調整したりするのはスタジオでエンジニアさんと一緒に行いました。
●森丘さんの作品って速いのもあるし、変拍子もあるし、どうやってまむに渡すの? 自由に叩いてくれって言ったって、すっごい難しいよね。
森丘:
僕楽譜も書かないんですよ。デモ音源だけ渡して、「これでお願い」みたいな。結構アバウトですね(笑)
●かなり手数が入ったドラムで、本当に二人でやってるような世界ですよね。
森丘:
そうですね(笑)
●まむとは高校時代からの仲なんだよね? 当時バンドも一緒にやってたの?
森丘:
はい。僕が高校の1学年上になります。学内のバンドも一緒にやっていましたし、卒業してからも外でバンドを組んだりもしていました。
●そうでないと、あんな阿吽の呼吸みたいなドラム出来ないよね。展開がめちゃくちゃある曲もあるし。
森丘:
確かにそうですね(笑)

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●作り溜めてという作品だから、アルバムとしてのトータルコンセプトみたいなものは始めはなかったの?
森丘:
確かに色んな時期に作った曲を集めているんですけど、一貫して自分のインストを作る時のテーマは、「ギターを弾かない人にも伝わるようなメロディや、風景が浮かぶ曲」っていうのを意識しているので、そこはどの時期に作っても一貫している所です。
●メタルロック道は外せないって所はあるよね。
森丘:
それはそうですね。根本はそこなので。
●そこってのはずっと聴き続けてるんですか?
森丘:
昔に比べたら聴く回数は減りましたね。それよりかは今流行っている曲だったり、全然ギターが入っていないような曲も好んで聴いています。
●その影響あってか、以前に比べてバラエティに富んできた感じがすごくしました。メタルだよなとか、早弾きは外せないよなとか、変拍子が入ったり、プログレ的な曲もありつつ、インストなんだけど歌物で使えるじゃんって新境地を窺わせる曲もあるよね?
森丘:
実はバンドの時期に作った曲もあるんですよ。
●やっぱりバンド活動がソロにも活かされてるんだろうね。ギタリストの枠に止まらず、コンポーザーとしての森丘直樹が出てますよね。ところで、タイトルは直訳すると、「すべての記憶を超えて」とかそういう意味になりますか?
森丘:
本当にそんな感じですね。すべての思い出を超えてとか。タイトルは最後につけました。個人的に特に推したいのが最後の2曲「Memories」と「Beyond All Time」なんですけど、それを並べ替えてアルバムタイトルにしましたね。
●確かに森丘さんの今までのあらゆるものが詰め込まれたというか、集大成的な作品になってますね。
森丘:
ソロ作品が6年空いた中で、ロックバンドをやらせてもらったり、他のアーティストのライブに出させて頂いたり、これまでやってきたことを全部ひっくるめて、またそれを超えられる作品にしたいという思いを込めて、このタイトルにしました。
●使用機材についてなんですけど、これはもちろんギターリードアルバムってことで、ギターは色々使ってるの?
森丘:
実は2本しか使っていません。僕はESPにエンドースして頂いているのでどちらもESPなんですけど、1本目はこの前新しく作って頂いた赤い色の7弦ギター「スナッパー7」(シグネチャーモデル)で、バッキングはそれを使用しています。もう一本はアーティスト写真にも映っている青いギター「ミスティーク(旧アモロス)」で、こっちでリードを弾いています。
●7弦ギターって、低い音が入ってるってこと?
森丘:
そうですね。低い弦が1本入ってます。コード弾くにしても7弦の音を入れるだけで結構引き締まったりもするし、音圧も上がりますね。
●リードが2本入ってたりする曲もあるじゃない。アンサンブルとか。
森丘:
主旋律に対してハモりを考えるんですけど、どう考えても弾けない運指とかも出てきちゃうんですよ。そこはもう気合いで。
●やるの?!
森丘:
はい。自分の中で主旋律が100%完成してるので、その後に入れるハモりは自分の努力次第でなんとかするしかない!って気合い入れて弾きます。
●すごいな、それ。アンプは?
森丘:
アンプは普段のレコーディングもライブも「ケンパー」というデジタルの物を使っています。色んなアンプの音を取り込める物を使っていますね。
●あれ、みんな使ってるよね。しかし、あんな太い音を出せるなんて、やっぱすごいよね。
森丘:
それは結構褒めて頂くことが多くて。やっぱりデジタルを使うと線が細くなって、頼りない音になりがちなんですけど、「音太いね」って言われることが多くて。嬉しいですね。
●レコーディングで大変だった点はありますか?
森丘:
レコーディング中は自分で録った演奏をかなりシビアにジャッジして、少しでも気に入らない箇所があればもう一度弾き直すので、自分が納得できる形になるまでが大変なんですけど…曲ができあがっていく過程が好きなので、基本的に楽しみながら取り組めました。
●実はもっといっぱい曲があって、14曲にしぼるのが大変だったとか?
森丘:
実はもう1枚アルバム作れちゃうくらい、まだストック曲があるんです。で、次アルバム作ろうとしたら、そこに向けてまた新しい曲を作るじゃないですか。だからずっと減らない状態が続いちゃって、それ今ちょっと悩んでます。
●それは、どの状態まで出来てるの?
森丘:
フルで完成している曲が14曲ありますね。
●アウトテイクじゃなくて、新曲14曲もあるってこと! すごい制作意欲だね〜。では、この辺で全曲紹介に行きたいと思うのですが、まず1曲目「Red Alert」。これは、アルバムのイントロダクション的な位置付けで作ったの?
森丘:
去年12月に「hillsパン工場」で4、5年振りにライブをさせて頂いたんですけど、その時にオープニングを作ろうということで作った曲です。ライブが始まる時の高揚感を意識して作った曲で、やっぱりアルバムにも収録したいと思って1曲目に持ってきました。
●普通はSEが終わって、次の曲からドーンといくんだけど、これはギターソロも入っていてちゃんと曲になってるよね。出だしから気合い入ってるなって(笑)
森丘:
そうですね(笑)。オープニングでアルバムのなんとなくの雰囲気が見えるものをって意識したので。
●そういうことなんですね。曲順は色々考えたと思うけど。
森丘:
めちゃくちゃ悩みました。
●サブスク時代だけど、アーティストとしてはやっぱり通して聴いてほしいもんね。で、2曲目「Insane Notes」はハードなナンバーが来たね〜!
森丘:
これも1曲目同様、去年のライブが決まった時に「オープニングに相応しい曲が欲しい」って所から作り始めました。イントロが結構難しいフレーズなんですけど、やっぱり“掴みが大事”って所で引き込む感じのリフを考えて、あとはライブ映えを意識して各メンバーのソロを配置しました。ギターソロ、ベースソロ、ドラムソロと全員のテクニックが見えつつ、曲としても楽しいという事を意識しましたね。
●へ〜、ライブを意識したらこういう曲が作れちゃうんだね! これは森丘さんのいかにもなハードな世界ですよね。
森丘:
そうですね。これこそザ・メタルですね(笑)
●森丘さんの曲は単語を調べないと分からないタイトルが多いんですけど(笑)。「Insane Notes」の「Insane」は非常識とか、狂気とかいう意味がありますが、“常識破りな曲”って感じですか?
森丘:
そうですね(笑)。「Notes」は、“音符”という意味もあるんですが、“メモ”って意味もありまして。僕、結構付箋にメモを書いて机にバーって貼り付ける癖があるんですよ。この曲を作ってる時もメッチャ付箋が並んでたんです。「イントロこんな風にして」、「真ん中は複雑なキメがあって」とか。並んでる付箋を見て、「イカれてるな〜」って自分で思っちゃって(笑)。そこから「Insane Notes」というタイトルをつけました。
●今回、いい意味でイカれてる曲いっぱいあるよね(笑)。「これ、どこでどう行くの? 構成が難しすぎて分からん」みたいなスリリングな曲。特に長い曲とか。
森丘:
それが出来るのもインストの醍醐味かなと思って。歌物でこれやっちゃうと訳分からないじゃないですか(笑)
●そうだよね。この辺はプログレメタルの影響受けてるよね。
森丘:
はい。大好きなんで。
●3曲目「DIVINEWORK」は、メタルというよりももうちょっと古い系のハードロックに近いような感じに聴こえました。歌えるメロディっていうんですかね。
森丘:
おっしゃる通りで、これはdpsの時に作ったんですよ。かつてサンテレビで「音都」という番組をやっていた時に『神業コーナー』というギターのテクニックを紹介するコーナーがあって、その中で集大成にあたる曲を作ったのがコレなんです。当時は2分ちょっと位しかなくて、それを自分のソロ活動で使っていけるようにという事で、今回フルサイズに作り上げました。
●だからちょっと教科書的にじゃないけど、70年代頃からの流れが見えるような、2000年代のメタルだけじゃないテイストを感じられるんだね。
森丘:
ちょっと懐かしいテイストという感じですよね。個人的に、この曲のメロディはドライブに合うような気がしています。
●そもそも森丘さんの音楽ルーツは、お父さんが聴いていたKISSとかだもんね。
森丘:
そうなんですよ。今日もTシャツ着てきました!

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●いいね〜。メタルの人達はルーツというかさ、ちゃんと下地があって新しくなってる感じが受け取れるんだよね。まっそう言いながら、次の曲はまた全然違うんだけど(笑)。これはまた「Crash And Chaos」というタイトルもすごいですね。
森丘:
この曲も結構ライブ映えを意識した曲なんですけど、それこそ真ん中辺りにはギター、ベース、ドラムでひたすらリフを刻みまくるコーナーがあったりして。それは、「基本的にギターソロを弾きたい」っていうこれまでのソロ作品ではやってこなかった事ですね。
●ダークな感じがしたんだよね。最近のゲームでこういう世界観あるじゃない。森丘さんもゲーム好きだから、そういうの意識してサントラ的なものを作ったのかな?とか思ったんだけど。
森丘:
確かに。「進撃の巨人」を漫画で読んでるんですけど、あの辺もダークヒーロー的じゃないですか。そっちの世界がすごく好きなので、こういう感じになったというか。
この曲は自分の中でストーリーがありまして。元々警察官とか正義の人が事故を起こしてしまって、悪の方に行ってしまうみたいな。で、自分の中に葛藤があってといった物語を想像して曲にしてみました。
●確かに、「抜け出すぞ〜」みたいなフレーズがあった!
森丘:
そうなんですよ。でも最後はカオスで終わっちゃうんです。バッドエンド的な感じで。
●あ〜、それは今っぽいね〜。
森丘:
昔だったらハッピーで終わりたかったんですけど。
●「鬼滅の刃」にしろ、「呪術廻戦」にしろ、「チェンソーマン」にしろ、『正義と味方』の描き方が昔と違ってきてるよね。エグいというか、エロいみたいな。そういうのがかっこいいなとか思うんだけどさ。
森丘:
僕もそういう世界観すごく好きなんですよ。ちなみにこの曲はサビでキャッチーなメロディが出てくるんですけど、そこは事故を起こしてしまった主人公を周りの家族とかが慰めるシーンになっているんです。そういうのが浮かんで曲になることも多いですね。
●5曲目「Liana」はギターが歌ってますね。ロマンティックな曲になっておりますが、女の人の名前がタイトルになってるの?
森丘:
ちょっとミーハー的な所があって、響き的に海外の女性の名前にしたらかっこいいなと思いまして(笑)。ちゃんとした意味もありますけど(笑)
●クラプトンの「レイラ」とか、ああいう曲をついつい思い浮かべちゃうね。で、このブルージーな感じ! やっぱりバンド活動を経験して良かったですね、いい感じに幅が広がって。
森丘:
この曲はインスタ等でギター動画を見ていたら、最近ネオソウルってジャンルが流行っていて。彼らはバックトラックがなくてもギター1本でコードとメロディを奏でるみたいな事をやっていて、自分もそれに挑戦してみたいと思ったんです。イントロはギター1本で弾いてるんですけど、まさにネオソウルの影響が大きいですね。
●だからか〜! ソウルとかブルージーとか、黒人音楽系を感じさせるよね。森丘:ジミヘンの「リトル・ウィング」とかもそうですもんね。
●そうだね。で、クラプトンの「レイラ」もエピソードあるけど、森丘さんも特定の女の人を思い浮かべてなんてエピソードがあったりするんですか?森丘:それは残念ながらないですね(笑)
●そっか〜。

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