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LAXでパスポートを紛失した話

この下書きをロサンゼルスから東京に向かう機上で書いている。1週間の予定で行ったアメリカ出張が3日間延びただけの話だが、海外で万が一、パスポートを紛失してしまったときのタスクリストを残しておこうと思う。

今回の帰国は、ポートランドからロサンゼルスを経由して東京(羽田)に飛ぶ予定だった。ロサンゼルスの空港(LAX)での乗り継ぎターミナルで事件は起きた。トイレに行って、最後の買い物をして43番ゲートに戻って搭乗しようとしたらパスポートを入れたパスポートウォレットが無い!

ここからは自分が取った行動をそれぞれ説明する。読みやすいようにまとめているが、実際には右往左往してムダな動きをたくさんしている。

パスポートを探す

無くしたと思われる場所、トイレの清掃係やお店の店員に聞く。Lost & Found(落とし物)に行けと言われる。いや、そんな時間ないって。近くの空港の警察ブースで聞いたり、TSAのブースで聞いたり。しかしどこにも無い、朝早かったせいか詳細な記憶も無い。

搭乗予定の飛行機に先に行ってもらう

最終搭乗コールだったので搭乗をギブアップすることを搭乗ゲートのアメリカン航空のスタッフに伝える。数日先の便に変更してくれて、予約券みたいのをもらえた。そして自分がチェックインしていたスーツケースを下ろす手配をしてくれた。これ重要。荷物だけ日本へ行ってしまうので。あとは自分がいるターミナルの手荷物受け取り場所に行くだけ。

アメックスの海外窓口に電話する

何をしてよいかわからなかったが、まず思いついたのがアメックス。「渡航証明書」という書類を現地の大使館や領事館で取得すると帰国ができることを教えてもらう。

空港の警察のLost & Foundに直接確認・電話する

あとでオンラインでClaimする。これは必ずしたほうがよい。理由は後述する。番号の入ったメールが届くので控えておく。LAXではパスポートの紛失はCustomsが担当している。空港のCustoms窓口に行ったり、毎日電話したりして自分のパスポートが届いていないか問い合わせたが、届いて無いとのこと。

航空会社のLost & Foundに直接確認・電話する

こちらもあとでオンラインでClaimして、番号の入ったメールを取っておく。

その日の宿を確保する

今回は土曜朝に紛失したため、週末の間は領事館がお休み。月曜に領事館で渡航証明書をもらい、火曜日の便で帰国する最短日程で合計3泊した。ただ、週末にパスポートが見つかってそのまま帰国できる可能性もあるので、まず一泊を予約して滞在を延長、というようにした。SPGアメックスでマリオットBonvoyメンバーになっているので、空港近くのウェスティンをアプリで予約。無料の空港シャトルバスでホテルへ。ここでまた難関だったのがパスポートがないこと。チェックイン時にIDの提示を求められて、パスポートを無くしてここに来たことを伝えてもダメ。マネージャーらしき人が出てきて、マリオットBonvoyのゴールドメンバー(SPGアメックスの特典のひとつ)のメンバー番号をアプリで見せることで宿泊許可がおりる。最後に”Good luck with your passport!”と優しいお言葉。ウェスティンにしてよかった(いろんな意味で。後述する)。あとで気づいたが、パスポートの写真をスマホで見せればそれだけでOKだったかも。

領事館に電話する

週末でクローズしているので自動音声対応だが、緊急番号を選んだら直接話すことができた。渡航証明書に必要な戸籍謄本や写真について、帰国便の詳細についての説明。開館時間は9:30で、渡航証明書の発行は午後になること。受付で本人確認が必要なので、免許証がない場合は当日に来館時間をもう一度電話で教えてほしいとのこと。詳細は領事館のサイトでも確認できる。

Police reportをもらいに行く

いわゆる紛失届け。渡航証明書の発行に必要。これが最難関。自分の場合は結局、空港近くの警察署でなんとか出してもらえた。担当してくれた警官には空港のCustomsに行けと言われたが、すでに連絡してPolice reportは警察でと言われていたので、警官が直接電話でCustomsと話すようにやんわりと提案。これが決定打となり、Incident reportを書いてもらえた。最後に自然と”Thank you, sir.”と口から出た。なお、無料。

上記のパスポートの写真、空港のLost & Foundや航空会社でオンラインでclaimした番号がわかるメールなどを見せたら交渉に役に立った。最悪、調書がもらえない場合は担当警官の名刺でもよいって別の領事館の公式サイトに書いてあったので、念のため警官の胸のネームプレートにある氏名をこっそり暗記した。空港警察のLost & Foundの人からはオンラインのClaim番号だけでも領事館で認められるって言われたけど、心配なので自分はPolice reportを全力で取りにいった。あと、空港警察のLost & Foundのサイトで調書をオンラインで取得できる場合もあるみたい。自分の場合はフォーム提出時にエラーが出てできなかったけど。

提出書類を揃える

本籍地がわかるものが必要。自分はパスポートと一緒に運転免許証も紛失したので戸籍謄本が必要に。日本にいる家族にお願いする。領事館にFaxするのだけど、日本から送るのは煩雑で不安があるので、スキャンしたPDFをメールしてもらい、それをホテルのビジネスセンターで印刷し、置いてあったカバーレターのテンプレを使ってFaxした。宿泊したウェスティンにはFedexが運営するちきんとしたビジネスセンターがあって、クラウド経由の印刷に対応したプリンターがあってとても便利だった。支払いはカードが使える。写真はいわゆる日本のパスポート写真が必要。CVSやWalgreensのようなドラックストアで撮れると友人に教えてもらい、車で連れて行ってもらった。アメリカではセンチではなくインチだからサイズが違うのではと気になっていたが、ほぼ同じサイズのものがあった。CVSでは「カメラのキタムラ」みたいにお店の人がデジカメで撮ってくれる。14ドルくらい。ついでにターゲットでハサミを買ったが、写真は切らなくてよかった。領事館で提出した際に切ってくれるので。

領事館へ行く

ロサンゼルスの場合はダウンダウンにある。空港周辺のホテルからはUberで30分くらい。立派な高層ビルの1F受付で入館シールをもらい、ガードマンに付き添われてエレベーターへ案内される。17Fにある領事館の入り口でセキュリティチェックを受けて中へ。ここからはほぼ、日本の市役所やパスポートセンターと同じような手続き。案内の方が丁寧に教えてくれる。必要書類に不備がなかったので、午後に渡航証明書が発行されることに。15時に戻るようにと言われる。昼食を取ったり、図書館で時間を潰したりして夕方までには無事に渡航証明書をもらえた。手数料は23ドル。

最後に

たくさんの人のおかげで無事に帰国の途につくことができた。ずっとサポートしてくれた家族に感謝。そして会社の同僚にも。いくつかの幸運に恵まれたこともたしか。まず、パスポートを紛失したところから割と近い場所(車で30分)に領事館があったこと。そして、さらに近いところ(車で20分)に現地の友人が住んでいて、すぐに駆けつけてくれたこと。あの広いアメリカで!ひとつ目は物理的な困難を、ふたつめは精神的なダメージを和らげてくれた。友人には本当に感謝している。トム・ハンクス主演のターミナルって映画はまだ観ていないけど、ヘタをすると帰国難民になる可能性もあったわけで。帰国をサポートしてくれた日本総領事館にも感謝している。日本に生まれてよかった。あとアメックス、アメリカン航空、ウェスティンの皆さんにも。これから一生ついていきます。最後に、このまとめが同じような困難にあった人の役に立ちますように!