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過去の変え方

『ねえ、カナ。過去って変えられると思う?』

ここは学校帰りにふたりで寄る馴染みの喫茶店。ミホはいつも、私にいろんな発見を教えてくれるの。世界の不思議、映画や恋愛、そして心のこと。

『うーん。現実では無理だよね。・・・でもさ、ミホは変えられるって思ってるんでしょ?』

私が話の先を読んで笑いかけると、ミホも嬉しそうに笑った。なんでそんな話をするの?とは聞かない。だって、この会話が大好きだから。わかってるから。

『はは、カナは鋭いよね。過去は変えられないってわかってるよ。変えられるのは、変えられると思ってる人だけなの』

『どういうこと?』

『過去は変えられない。でも過去を変えられると思ってる人は、変え方を知ってるから、だから、変えられるの』

『うん?ミホ。久々にヘンテコ発言してない?』

ヘンテコ発言。それは私たちが理解できない言葉に驚いたときに使う単語だけど、ミホはとっても嬉しそう。

『はは。だよね。ごめん。例えばさ、テストで0点取ったとするでしょ。それをなかったことにはできないけど、そのテストの問題と気持ちを克服することはできるのよね。これって自分で過去を変えたってことにならない?』

『過去への向き合い方次第ってことだね。でもさ、命にかかわるような取り返しのつかない過去は無理だよね? 』

『うん。たしかに一生かかっても克服が難しい過去もあるけど、それは今世だけでは変えることができなくて、生まれ変わりを繰り返して克服していくものだと思うんだ』

『ミホは相変わらずスケールがちがうよね。変えるのは過去の出来事の方じゃなくて、成長をくり返す自分の心の方なんだね』

『そう。だから過去は絶対に変えられないものって、ただそう考えるんじゃなくて、過去に対して真剣に前向きに向き合うことが過去を変えることに繋がっていくと思うんだ』

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