最近はホテルの価格が高騰しまくっているけど、元に戻らない方がいいと思う理由
togetterで「コロナ禍前よりもホテルの値段が高い」というまとめを発見。私の本業に関わる業界ではありますが、ポジショントークなく本音で感じ入るところがあったのでピックアップ。
仕事がら全国の主要な宿泊施設の価格は日々ウォッチしていますが、確かにこの記事にあるように宿の価格はコロナ前よりも高くなっています。
GoToトラベルや全国旅行支援の時期は政府の割引があることをいいことに宿泊施設が便乗値上げをしたという記事を目にすることも多かったですが、一部そういった施設もあったかもしれませんが、大多数の施設においては便乗値上げなのではなく需要急増に伴う適正価格への変更だったと思っています。
というのも、宿泊業界は他業界に先立ってダイナミックプラシングが浸透しているために、需要と供給のバランスで宿の価格は日々変更されるのが当たり前になっています。そうすると、需要増や供給減での価格上昇は当然のこと。最近はコロナ5類移行で外出制約がなくなり、その一方で宿泊施設に従業員が戻らないことで100%稼働できない施設も多かったりしているので、現時点では価格を下げる要素はほぼありません。
イチ宿泊者から見たら「前みたいに安く泊まれるようになってほしい」と思ってしまいますが、日本全体を俯瞰してみたらこの値上げを許容できる世の中になった方がいいんじゃないかと思っています。というのも、デフレや円安を例示するまでもなく、今の日本はあらゆる業界の価格が安すぎで経済全体が縮小均衡に陥っているんじゃないかと感じています。
もちろん、イチ企業、イチ業界だけの急激な値上げだと周囲が追随できなくなることもあるかもしれません。でも、値上げできる業界から少しずつ値上げしていかないとサプライチェーンも含めた全体的な収益力向上、賃金向上といった経済活動の拡大には繋げられないんじゃないかと思ってしまいます。
そう考えると、旅行業界は宿泊を含めたサプライチェーン全体でGDP全体の7%を占める一大産業だったりしますので、この業界から値上げするのは日本全体を俯瞰してみる視点からすると理にかなっているんじゃないかと感じました。
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