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自分で将来を選択しているつもりで、自ら将来の可能性を閉ざしてしまっているかもしれない

自分のキャリアを自ら考えるというのは当然のことですが、あえて軸を変えて、自分一人だけで自分のキャリアを考えていたら今の自分はなかったかもしれないという話を書いてみます。

私自身もそうだったのですが、とかく自身のキャリアを考えるときには以下のように考えてしまいがちです。

・昔からこれやってたから今後もやり続けたい
・新卒配属された仕事で成果を出せたので、これ一本を極めたい

要するに「今やっていることが楽しいから、成果が出るているから、そのまま続けたい」ということです。成果が出ているのは素晴らしいことなので、パフォーマンスが出せる職場で活躍できるのは何よりです。でも、人間には現状維持バイアスがあり、基本的には変化を嫌う生き物です。もともとやっていたことが楽しくて成果が出ていることならなおさら、今やっていることを離れて別のことをやろうというモチベーションは生まれにくいものです。でも、果たしていまやっていることが自分にとって最良なのか。今やっていることをやり続けるという決断は、自分の自由意志で選択しているように見えて、実は自らの将来の可能性を閉ざしてしまっている可能性があります。

自分の経験で恐縮ですが、私は今の会社に入った当初、プロデューサーとしてインターネットサービスの運営に携わりました。その後、ディレクターとして要件定義や外部設計なども担当することもありましたが、本質的にはサービスをお客様に提供することをメインとする仕事を担当していました。そのようにして数年間かけて様々なサービスを歴任してきたのですが、ある時、サービスの現場から離れて経営企画や事業企画の仕事を担当することになりました。サービスから離れることで、なんとなくメインストリームから外れたような寂しさを感じたものでした。ですが、いざやってみると新しい発見と学びの連続。管理会計的な予実のコントロールのやり方、中期経営計画の作成、新規事業の立ち上げなど、みるみる新しい経験と知識が脳に流れ込んできました。

当初はサービスの現場から離れたことで寂しく感じていたものですが、なんのなんの、むちゃくちゃサービスに関わる仕事でした。お客様に提供するサービスはプロデューサーやディレクターが作るけど、そのサービスを事業的に維持管理するのが経営企画や事業企画という役割に気づいたのです。そのようにして3年間の事業企画の経験を経て再びサービスの現場に戻ったときは、これまでとはサービスへの向き合い方が変わっていました。これまで考えてもいなった視点から事業が見えるようになり、総合的な経営スキルが大きくレベルアップしていたのです。もし自分の自由意志だけで主体的にキャリアを選んでいたとしたら、おそらくいつまで経っても経営企画の経験を積む機会はなかったと思います。

自分の自由意志というのは極めて主観的なもので、様々なバイアスによって合理的な判断ができなくなってしまっている可能性があります。そんな時こそ他人の目が役立ちます。HRコンサルやコーチはそういった課題を相談するための専門職ですが、身近なところでは上長に期待です。現場メンバーの一人ひとりの得手不得手、今後の成長のための課題やチャレンジ領域などをしっかり把握できているとう前提で考えると、各自のスキルアップにつながる新たな経験の場を作ってあげることができる立場です。一方の現場のメンバーとしては、自身の考えにバイアスがかかっている可能性を理解した上で、現状の業務から離れて新たなチャレンジをすることをポジティブに捉えるよう心がけたいものです。

このように上長と現場の双方が新たな経験を通じたスキルアップの重要性を共通認識とすることによって経験学習によるスキルアップの機会が増えて、結果として組織全体が強くなっていくのではないかと思います。

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