JRの指定席券売機が使いづらいと感じる理由
JR指定席券売機のUIについてtwitterで盛り上がっていたようで、まとめを見てみたら超納得の内容でした。
大きめの駅に行くと新幹線のきっぷなどを買える指定席券売機がありますよね。私も何度となく使ってきたのですが、これまで全く疑問を抱くことがありませんでした。でも冷静に考えたらこれって認知バイアスであることに気づきました。そもそもこの券売機、JRの特急に乗車するために必要な一定の知識があることが前提になっているのです。
■前提として求められる知識
・新幹線や特急に乗るには乗車券のほか特急券も必要
・特急券には自由席と指定席がある
昔は新幹線のきっぷを購入するのはみどりの窓口だったので、窓口で発券担当の方と会話しながらきっぷを発券してもらいます。そうすると、乗車券や特急券、自由席や指定席の違いなどを知らず知らずのうちに意識するようになります。でも、初めて新幹線のきっぷを買う人がいきなり指定席券売機で買おうとすると、何が何やらで悩んじゃうと思うのです。
まずトップナビゲーションで「指定席 or 自由席」と表示されていたとしても「いやいや、東京から大阪に新幹線で行きたいだけなんだけど。新幹線のきっぷはどっちのボタンを押せば買えるの?」と思っちゃいそうですよね。そもそも、お客さまの頭の中では以下のように思考が流れていくのではないかと思います。
■新幹線のきっぷを買う時の思考の流れ
1)東京から大阪に行きたい
2)新幹線で行きたい
3)何時のどの便に乗りたい
4)指定席がいい
5)2人がけの席の窓側がいい
この流れに沿うのであれば、トップナビゲーションは「どこへ行きますか?」になるはずです。ではなぜトップが「指定席 or 自由席」なのか。事業者視点で考えてみるとなんとなく想像できます。自由席のきっぷであれば発駅と着駅、新幹線の「のぞみ」か「ひかり」かさえわかれば、すぐに料金を決定して発券できます。でも指定席だったら列車と号車ごとの空席をJR乗車券発券システムMARSに照会して、指定された席を確保する必要があるわけです。だから券売機のトップナビゲーションはバックエンドで座席確保が必要かどうかを選択させるために「自由席」か「指定席」を表示されているのではないかと勝手に推測しています。機能ベースで考えたときには納得の仕様ですが、お客さまはバックエンドシステムへのリクエストなどは意識しないわけですから、いきなり自由席か指定席と聞かれても「??」となっても不思議じゃないと思います。
といった感じで券売機のUIを他人事のように勝手気ままに評論してますが、いざ自分の足元を見たときに私はお客さまのためのUIを考えきれているか?と自問してみると、自信がなくなることがあります。開発しやすい機能などから順次実装していったりすると機能オリジンなUIが仕上がったりするものです。
UIを作るときは、何はともあれお客さまの思考に沿ったものを作ることが最優先。あとから要素を追加するときは改めて全体を見直してみないと、知らぬ間に機能オリジンの継ぎはぎUIが出来上がってしまう可能性があるので要注意です。
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