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なぜデザイン思考は組織に根付かないのか

マッキンゼーのウェブサイトで「今の日本にデザインが必要」という趣旨の記事を発見。旧来の日本企業がイノベーションを起こしにくい課題に対してデザインの視点が必要とされるという話を体系的に解説されていて、むちゃくちゃわかりやすく納得感に溢れる内容でした。

記事冒頭で「日本では成果がKPIに明確に反映されるプロセスイノベーションに強い」と記載があります。要するに具体的に成果の見える改善などには強いものの、これがブレイクスルーを阻害する障壁になっているとも語られています。改善は今あるものをよくしていくことではあるものの、どうしても既存の延長線上で物事を考えてしまうから、今あるものから離れて思考のジャンプを起こしにくかったりするものです。そういった発想を持つための手法がデザインです。

デザインというと商品の形やウェブサイトのUIみたいなものをイメージされる方も多いと思いますが、それは狭義のデザインであって、結果のアウトプットのことです。では結果を導くためのスタート地点は何かというと顧客視点です。

記事中ではビジネスの現場で以下4点が重要であると語られています。

1.アナリティカルリーダーシップ
2.シームレスな顧客体験の提供
3.機能横断的なアプローチ
4.反復的な開発の重視

端的にいうと既存の考え方、組織の理論から離れて、顧客が求める体験をトータルで提供すべく、日々アップデートを続けていくということで、最近本や記事などでよく目にするデザイン思考の要諦そのものです。でも、こういった考え方を学んで知っていたとしても、実際やってみるとなかなかうまくいかないものです。

わかっていてもうまくいかない理由、それは多くの場合、取り組みが中途半端なんだと思います。会社組織においては既存の事業領域、既存の業務フローがあるわけで、その中でこれまでとは違うやり方をトライしようと思っても、思い通りにやりきれないことの方が多かったりします。これって一言でいえばイノベーションのジレンマといえるかもしれません。それぐらいに、デザイン思考は既存事業や既存業務のことは一旦忘れて、顧客思考ですべてをゼロベースで考えるぐらいの覚悟が求められます。

そして、この考えを推進するためには既存事業をやっている人たちとのコンフリクトも発生しますので、現状維持バイアスを突破するための権限も必要とされるのではないかと思います。

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