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歴史ショートショート(小説) まとめマガジン

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1分~数分で読める歴史ショートショート(小説)をまとめました。 お気軽にお読みください。
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記事一覧

『ユダの娘』

 押し寄せる兵たちのざわめきが、遠くさざ波の音のように聞こえる。  かすかに、火薬のにお…

美新流
2か月前
4

『昔人の訪れ』

 一 「わが殿は、つかれていらっしゃるのではないだろうか?」  丹波亀山城の天守二階にあ…

美新流
2か月前
3

『二枚の鏡』

 江戸幕府老中・青山忠俊の肖像画は、見る人に強烈な印象を与え、不思議な感慨を抱かせる。 …

美新流
2か月前

真間の手児奈伝説異聞『恋ひてしあらん』

 一 「殿は、またふさいでいらっしゃるのか?」  阿保(あぼ)親王に仕える帳内(とねり)・藤…

美新流
2か月前

『武夫の道』

 一人の少年が、一本の真っ暗な道の上にたたずんでいた。 「あれ? 自分は今まで、いったい…

美新流
2か月前
5

『満月の夜』

 十六夜の月が、煌々と酒杯を照らしている。  今宵は神無月にしては寒くもなく、ゆるやかな…

美新流
2か月前
3

『刀身と鎌』

 東海道五十三次のうち、八番目の宿場町である大磯では、旧暦五月二十八日に降る雨を、「虎ヶ雨」という。  仇討ちで有名な曽我兄弟の兄、曽我十郎祐成の愛人だった遊女、虎御前が、十郎の命日に流した涙が、毎年のように雨となって、しとしとと降るのだという。  その虎ヶ雨に降られ、急ぎ足で東海道を下り、大磯の、とある旅籠の戸を叩いた男がいる。  身なりからするとれっきとした武士のようだが、伴も連れず、一人旅であるところからすると、それほど身分の高い武士ではないのかもしれない。 「ごめん!

『憂国の宴』

(いったい自分は……、これ以上、何をすればよいというのだろうか?  だが、今のままでは心…

美新流
2か月前

『三つの時』

「申し上げます! 寄せ手が城内へ侵入! 二之丸門は破られようとしております!」 「申し上…

美新流
2か月前
1

『希望の光』

「宙(そら)にまします我が母よ。  この土地はとても暗く、そして、とても淋しい……。  なぜ…

美新流
2か月前