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作曲より作詞の方が100億倍ムズい理由

今までコンペや楽曲制作の依頼、個人の創作活動にて作曲も作詞もある程度場数を踏んでおりますが、作曲より作詞の方が断然難しいといまだに思います。

今回はそんな自分の考えを書いていこうかと思います!

それではいきましょう!

1.全員がライバルと思え!

まず作詞をする上で最低限必要なことは何でしょうか?

それはつまり読み書きができることに尽きます!

人間であればほとんどの人が少なくとも母国語の一言語は自由自在に操れるはずです。
文章力や語彙力の差は多少なりともありますが、
大体は生まれた頃から育ての親の言葉に触れ、学校で語学教育が行われるものです。

なので作詞ってやろうと思えば誰でもすぐにできちゃうんです!

しかしだからこそ競争率も高い。
作詞やったことないようなタレントさんでも「作詞してみました!」と安易にやっていることもありますよね。

正直にいうとめちゃくちゃな文章のやつも見受けられます(笑)

でも言葉は感覚的に操れるように小さい頃から学んでいるので比較的簡単に作詞ができてしまうわけですね。

一方、作曲はどうでしょう?

音楽の授業は誰しも受けたかと思いますが、
語学教育ほど必要ではないし、学習時間も短いですよね?
これが結果的に音楽をやる敷居を上げているのです。

だからちょっとプラスで勉強が必要です。
例えば音符やコードが読めるとか、楽器が弾けるとかの必要最低限の敷居が作詞より高いのです。

少しできるようになれば「すげー!」と称賛されることもあるし、音楽は限られた人間にしかできないので素人はアレコレ口出しできません。

これがいい意味で天狗になればどんどん成長していく人もいるでしょう。

しかし作詞は言葉を使える人間が全員ライバルと考えられるため、いい感じの歌詞が書けたと思っても「それ、おかしくない?」とか批判を受けやすい状態にも陥りかねません。

そして競争率の高い中、
「自分には作詞は向いてないのかな」
と逆にハードルが高い状態になってしまうのです。

例えるなら、
お金の価値はある程度貧富の差があるからお金に価値があるのであって、
みんなが同じだけお金を持ってたら価値は下がりますよね。

作詞活動はある程度抜きん出ていないと非常に厳しい世界なのです。

2.カオス理論以上だと考える

音楽というのはある程度正解が決まっています。
なので理論的に解決しやすく数値化すれば成り立つのが作曲です。
身も蓋もないことをいいますが、純正律であればたかだか12音を組み合わせるだけです。
しかも音がぶつかれば音楽として成立しないため、正解、不正解が割と明確。

一方作詞はというと、
主語、述語、修飾語、動詞、助動詞、補助動etc...
各名詞や熟語と組み合わせて文法に当てはめれば正しい文章は作れます。

しかしそれを歌詞にする場合、正しさだけではうま味があまりないのです。
それに言葉を扱う上で難しい点がいくつかあります。

先ずは「助詞」の使い方です。
例えば「は」や「が」を主語や述語とつなげる際に明確な答えはありません。人によって正解は千差万別です。

次に言葉選びです。
特に日本人が書く歌詞はひらがな、カタカナ、漢字、英語などを含むアルファベットとさまざまな組み合わせを考えなければなりません。
それに「ここはひらがなにすべきか漢字にすべきか」とかも明確な答えはありません。カタカナにするか、アルファベットにするかもありますね。
それらを加味するとまさにカオス理論。もといそれどころではないです。

なぜこんなことになるかというと、

音楽=自然の摂理に則った人工的産物
言語=人間が独自に作り出した概念

となるからです。
これが数値化、科学的根拠が通用しやすい作曲とそれ以上のセンスが求められる作詞の違いなのです。

3.意味不明でも解釈可能

世の中には俗にいわれる “電波ソング” があります。
電波ソングとはアイドル、またはアニメやゲームで歌われている楽曲を示すのですが、
曲自体を聴いてみると音楽としてはしっかりルールに沿ったものが多い一方、歌詞はほとんどが支離滅裂で語彙も文法もへったくれもありません(笑)

しかしこれが成り立つのです。
音楽の場合、「支離滅裂でメロディとかコードとかぶつかってても関係ないし!」というわけにはいきませんよね。誰も聴きませんそんな曲は。

電波ソングの歌詞は楽曲のある程度の質の高さの威を借りて、
どれだけ恥ずかしいものでも、支離滅裂でもいい感じに仕立ててくれるからです。

実際どうでしょう。
電波ソングの歌詞を本当の意味で理解している人はまずいないのではないでしょうか。「ヘンテコだけど○○って解釈もあるよね!」感満載ですよね。

結局なにがいいたいかというと、
電波ソングの歌詞はそもそも文法や語彙、ひいては造語まで使い始める勢いなので本来の正しい熟語や文法のルールは完全に無視しているため、
さらにセンスが問われるという状態になるわけです。

4.まとめ

作詞をするには多くのライバルとセンスを競い合って自分が抜きん出なければ賞賛されません。コンペであれば尚更です。

「音楽だって音色やピッチの加減を含めれば正解はないじゃないか」と思えますが、実はこれらも音楽理論や音響学にもとづけばある程度セオリーは決まっていますので結構マニュアル化は可能です。

一方作詞は言語なのでマニュアル化はほぼ不可能です。
せいぜい文法くらいでしょう。電波ソングにおいてはそれすら無視です。

昔、とあるインタビューでユーミンこと松任谷由実さんも「作曲より作詞の方が難しいですね」と答えていたのを聞いたことがあります。
当時は「なんで?」と疑問に思っていましたが、
いまとなってはまさにそうだなと痛感しています。

以上を踏まえまして「作詞家として勝負する!」って方は作曲家以上にいばらの道なのでそれは覚悟して臨んでください。

私ももし作詞のみで勝負していたら全く売れなかったと思います。
だからこそ奥が深くもある詩の世界、
これからも音楽や音響とあわせて研究していきたい所存です。

では今回はここまで。

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