【次の一歩】20節 ジュビロ磐田戦【備忘録】

もはや試合を見返してすらないけど、印象だけ残しておこう。

①スタメン

②試合の流れ

完封で5連勝をあげた長崎と、同じく完封で6連勝をあげた磐田。安定した守備をベースに勝点を伸ばしているチーム同士の争いは、大方の予想通り1点差で決着する事になった。

3-4-2-1の形からボールを握る磐田はダブルボランチの一角、遠藤保仁が柔軟性のある立ち位置を取りながら長崎のファーストディフェンス(都倉・エジガル )を無効化していく。いつもより最前線での規制が効かない長崎はミドルゾーンに4-4のブロックを敷いて迎撃を図るが、ミスの少ない磐田相手になかなかボールの取り所を設定できない。それでも立ち位置に惑わされない(ボールを中心とした)ゾーンディフェンスが機能している事で大きな最後の局面ではやらせない粘り強い守備で対応した。やや手詰まり感の出た磐田は圧倒的にボールを収められるルキアンにボールを集めて打開を図るが、江川が上手く対応して決定的な仕事は許さなかった。磐田を相手にしても簡単に崩れない事を証明できた事は、この試合最大の収穫だった。

一方、長崎の攻撃は思うようには磐田ゴールに届かなかった。前線のプレスが特徴だった栃木に対しては富澤を含めたプレス回避が十分に機能したが、さらに鋭い磐田相手には上手く圧力を外せない場面が目立った。特に今節のルキアンは攻撃より守備での貢献が大きく、プレスの場面では一歩踏み込んだ位置に立って長崎のビルドアップ隊にストレスを与え続けた。それでも時折、磐田の重心を外して大きく展開できた時はチャンスを迎えかけるものの大井・伊藤・森岡で構成された3バックは対人守備が抜群に上手く、もう一つのドリブル、もう一つのパスをことごとく防がれた。

長崎の新しい武器になりつつある加藤聖のアーリークロスも何度か試みたものの堅固な3バックの前に跳ね返され、また相手の立ち位置を動かすようなパス回しも狙っていたようだが同じく磐田守備を打破するには至らなかった。加藤聖のコーナーキックをキャッチされた後の反応で上回られた長崎はカウンターを許し、小川が見事にボールを引き出して6試合ぶりの失点を喫した。終盤にかけて前線にパワーを持たせたい長崎だが都倉・エジガルが退くとむしろ地上を進むより他に選択肢を持てず、玉田のドリブルからチャンスを作りかけたものの最後まで磐田に粘られて0-1の敗戦。

試合後に松田監督や新里も語っていた事だが、結果以上に力の差を見せつけられた内容となった。10回試合しても勝てるチャンスは1〜2度程度だったように思う。鈴木体制で積み上げてきた磐田を前にして、1ヶ月で応急処置を施したにすぎない長崎…昇格レースを考えれば落とせない一戦だったが、むしろ松田監督が就任してから7節負けなしという結果が出来過ぎという面もあっただろう。

③土台の上に何を積み上げるか

相手に主導権を握られ、一瞬の切り替えの遅れから決勝点を奪われた長崎だったが、守備の場面で大崩れするシーンは少なかった。開幕から12試合連続失点、平均失点1.66と守備バランスに大きな問題を抱えたチームだったが、松田浩監督が秩序を与える事で平均失点は0.35まで改善した。4-4-2のオーソドックス型で構え、チャレンジ&カバーを徹底するゾーンディフェンスはある程度の水準に達したと言えるだろう。いわばチームの土台、スポンジケーキが完成したと言える。

このスポンジケーキの上に何を乗せていくのか、苺と生クリームでショートケーキにするのか、チョコレートケーキにするのか、それはシェフの主義によって決まっていく。松田監督は今のところサイド攻撃、カウンター、前線の強さ、プレス外しというトッピングを乗せているが、どの部分もスポンジケーキの出来と比較するとまだクオリティを上げる余地がありそうだ。90分の中で毎試合1〜2点を取るための方策、主導権を握り返すための武器を磨く必要がある。ここは夏の補強もあわせて取り組んでいく事になるだろう。

今のところ、松田監督は堅実な戦い方を志向するタイプに見えるので川崎や横浜Fマリノスのようにポジションを自在に動かしながら相手守備を攻略する方向に舵を取る感じではなさそうだ。どちらかと言えと名古屋のように堅実なゾーンディフェンスからサイドを攻めて行く方がベクトルとして同じ向きのように思う。そう考えると相馬のように相手に仕掛けられるドリブラーが欲しいところだが…今後の動向に注目したい。

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