暗闇の洞窟
落ち込んだとき、真っ暗闇の洞窟にいるような錯覚に陥る。
洞窟の奥にいて膝を抱えて泣いているときは、人の笑顔なんかはとても苦痛で、目を閉じてやり過ごすことしかできない。
「ストイックに頑張っていてえらいですね」「結果だしててえらい」「資格勉強計画的に進んでてえらい」「あなたの人生はうまくいっていて、私の気持ちなんてわからないよね」なんて言われるたびに、僕は洞窟で膝を抱える準備をする。
そんな時は、テレビ・スマホ・インターネットから流れてくる、ありとあらゆる明るい話題が僕をイラつかせる。
「人生変わってやろうか?生まれつき左目が見えないし、親父はろくでなしだし、ことごとく教師にいじめられる環境だけど、それでもいい?」といって目の前の奴を黙らせたくなる。
そんなことを口にしないのは、僕の最後のプライドで、やさしさとか、お前らを気遣ったわけではないからなと、心で唱える。
洞窟の奥で膝を抱えて泣いているとき、人間とはさもしいもので、かすかに聞こえる深夜ラジオの笑い声や音楽に心を支えてもらう。
そんな人生。
勉強や趣味や仕事で結果を出すたびに、人の掌がくるくる回り、まるでドリルのようにその人の足元を掘りすすめ、そのままお墓になればいいのになと毎回思う。
何か奇跡で僕が有名になって、今まで馬鹿にしてきた奴らの子供が僕の前に「ファンです」とかいって、現れたら、「君のお父さんのことはよく知っているよ。○○で××で最低な人間なんだ」といってそいつの家庭をぶち壊してやりたいという妄想を2年に1回はする。
昔は2日に1回だったのが、2か月に1回、そして2年に1回になってる。次は20年に1回になればいいなと思う反面、この気持ちは失いたくないなとさみしくなる。
「過去の思い出で笑うことはできないけど、笑い話にはできる」と言っていた人の言葉を支えに生きていく。いやもうすでに死んでいて、記憶を追体験しているだけかもしれない。
明るく、楽しく、笑いながら生きていけないなら、それなりの偽装はできるようになりたい。偽装をしているうちに自分がだませるのが一番だけど、自分は騙せないので、世間をだまし続けて、「もしかすると自分が間違っているかも?」って思えるようになりたい。
そんな気持ちの吐き出し。
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