クリスマスおじさん

生まれて初めて本物のクリスマスツリーを買った。いい匂い。この時期になるとベルリン市内のいろんなところでモミの木が売られていて、小さいものから2メートル以上あるものまであり、選ぶだけでもワクワクする。年が明けるとみんな窓から木を投げるらしい。ベルリンからポーランドを抜けてリトアニアまで車で旅行した時に、森の中で背の低いモミの木が沢山栽培されているのを見た。投げられた木はまた森で育てられるのかなあ。それとも古い木は燃やされて、毎年新しく育てられているのかなあ。

週一で教えている子供たちもすっかりクリスマスモードで、この間まで10分間の休憩中、「私ってサラダが嫌いなんだよね〜。」「え〜、でも美味しいサラダもあるじゃん?」「っていうか生野菜とかダルい。」「うちのお母さんよく中華サラダ作るんだけどクソまずい。」みたいな会話を繰り広げていたのが、今週は元気にクリスマスソング(とPAPP)を歌っていた。

1番年下の10歳くらいの女の子に、「サンタさんに何かお願いしたの?」と聞くと、「特にお願いしてないけど、お父さんは趣味悪いからお母さんに選んでほしいって言った。」とのこと。世界中のお父さんたちが一生懸命プレゼントを選んでいる姿を想像して切なくなった。

ところでドイツ語ではサンタさんのことをWeihnachtsmannと呼ぶ。直訳するとクリスマス男。親しみを込めるとクリスマスおじさん、悪意を込めるとクルスマス野郎ってとこでしょうか。ちなみにリトアニア語ではクリスマスじいさんらしい。聖なる感じがしないどころかクリスマス男とかどっちかというと妖怪寄り。いや、日本語のサンタさんもおかしいけどさ、名前覚えてあげようよって思う。名前で思い出したけど、こっちで売ってる北海道原産のかぼちゃが"Hokkaido"と随分雑な呼ばれ方をしているのも気になる。自分が「おい、アオモリ!」とか呼ばれたら嫌だけどなあ。でもちょっと待って、そもそも「かぼちゃ」ってどうよ。原産国のカンボジアが訛ってかぼちゃになったって習った気がする。主婦からは皮が硬くて切るのが大変!と文句を言われ、おとぎ話ではロマンチックに見せかけて馬車としてこき使われ、10月末には好き放題ほじくられた挙句おばけ呼ばわり。そろそろ名誉あるかっこいい名前を与えられてもいい頃だと思う。まあでもかっこいい名前の後にいつも(旧かぼちゃ)がつくと思うとやっぱりややこしいし、「かぼちゃのやつ、本当は売れるために有名な占い師に見てもらって改名したらしいよ」ってじゃがいもやナスあたりからヒソヒソ言われるのは目に見えてるし、その流れで「野菜のくせにオレンジ色とはけしからん」とか「甘いのは野菜としての苦労が足りないからだ」とかあらゆる層からの不満が噴出する恐れもあるので、やっぱりかぼちゃはかぼちゃのまま、ありのままの君でいいんだよっていう、このポップソングにありがちな感じに無理やり落ち着かせようと思う。

クリスマスの話をしようと思ったんだった。それにしても目が痒い。モミの木アレルギーなんて考えてもみなかった。オーナメントが余ったのでアレルギー体質者用のクリスマスツリーも。写真では見えないけど小さな猿も3匹くらいいて、嫌々クリスマス気分にさせられています。

みなさん楽しいクリスマスを!

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