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MPS-ABCで禁止されている農薬『ベイミル(ベンレート)』と代替方法

MPS-ABC(国際環境認証)では、日本国内で普通に使用されている農薬でも、国際的には安全が認められないとしてMPSでは使用禁止されている農薬(MPSブラックリスト)があります。

 ベノミルは米国やEUでは既に登録失効しており、MPS-ABCでは使用も保管もしてはならない禁止農薬に指定されています。しかし日本国内の農薬登録は有効で、野菜の種子消毒や果樹の果実腐敗対策などに使用されています。ホームセンターの家庭園芸コーナーにも置かれているメジャーな殺菌剤なので、うっかり使用することがないよう気をつけてください。

 花き類ではフザリウム菌による萎凋病の対策として使われることが多いようです。実際のところそれほど卓効というわけではないのですが、代替となる殺菌剤が少ないため防除薬剤として紹介されることが多く、防除手段がなくなって不安に感じる方もいるかもしれません。

ベノミルを含む農薬(使用禁止農薬)

× ベンレート水和剤
× ダコレート水和剤
× キャプレート水和剤
× ニマイバー水和剤
× ベンレートT水和剤(種子消毒用)
× プライア水和剤(北海道限定販売)
× シャルマット水和剤(芝草用)
× 「ばらの病気に予防と治療」GFベンレート水和剤(家庭園芸用)

萎縮病対策のポイント

 萎凋病は品種により抵抗性の強弱が大きいため、事前に種苗会社から情報を得るなど品種選定がまず重要です。次に、病原菌は土壌や土埃、濁り水などで拡散しますので、これらを通じて感染しないための対策が必要になります。また萎凋病は潜伏期間が長いので、苗の段階で感染しないよう清潔な環境を保つことが大事です。生産者のなかには育苗中の灌水は必ずケミクロンGで消毒しているという方もいました。根に傷ができるとそこから病原菌の感染が起こるため、特に植え替え直後は注意が必要です。

ベノミルを使用しない萎凋病対策

〇 抵抗性の品種を栽培する
〇 罹病株や残渣の処分など圃場衛生を心がける
〇 育苗用の培土は必ず滅菌済みのものを用いる
〇 資材および用水は消毒して使用する、特に育苗期間中に感染が起こらないよう十分注意する
〇 病原菌は酸性の環境を好むので、土壌pHを中性に保つ
〇 根痛みを防ぐため植え替え作業は丁寧に行う、また、土壌の極端な乾燥を避ける

ベイノルの代替となる農薬

ベノミルはベンズイミダゾール系(FRAC分類:1)の殺菌剤で、同系統の農薬としてチオファネートメチル(トップジンM)があります。効果のある病害に多少の違いはあり、萎凋病にベノミルと同じ使い方ができるわけではありませんが、代替剤として覚えておいても良いでしょう。

ベイミルと同系統の殺菌剤
〇 トップジンM水和剤
〇 ホーマイ水和剤(種子消毒用)

MPSニュース5-6月号

文:彦田岳士(MPS-ABC コーディネーター)

(MPSニュース 2020年5-6月号 掲載記事)

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