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MPS-ABCで禁止されている農薬『クロロパシノン(クロロファシノン)』と『ジパシノン(ダイファシノン)』(殺そ剤)

MPS-ABC(国際環境認証)では、日本国内で普通に使用されている農薬でも、国際的には安全が認められないとしてMPSでは使用禁止されている農薬(MPSブラックリスト)があります。

殺そ剤は法律上のルールにも注意が必要

 クロロパシノン(クロロファシノン)とジパシノン(ダイファシノン)はMPS禁止農薬に指定されている殺そ剤(ネズミ駆除剤)です。それぞれ「ネズコ粒剤」、「ヤソジオン」という商品名で農薬登録され販売されていますが、MPS参加圃場では使用しないでください。

 殺そ剤を使用する際には、MPS禁止農薬の指定だけでなく法律上のルールについても注意が必要です。正式に登録され使用が許可されている殺そ剤には以下の3種類があります。

殺そ剤の種類

農薬
農薬取締法で規定。農作物等(樹木なども含む)のネズミの防除に用いる。農耕地・山林・貯蔵施設など適用場所が規定されている。
医薬部外品
薬事法で規定。人または動物の保健のためのネズミ駆除に用いる。使用場所の規定はないが、ビル管理法より住宅・ビル・商業施設などでは医薬部外品を使用する。
動物用医薬部外品
薬事法で規定。特に動物(家畜など)の保護のために用いる。適用場所の規定はないが、牛舎や鶏舎などの家畜管理施設では動物用医薬部外品を使用する。

 それぞれ従う法律の目的が異なるため、製品規格や使用方法を定める上で配慮されている事柄に違いがあります。ごく大まかにまとめると以下の表のようになります。

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 本来は建物内で使用する医薬部外品の殺そ剤は、野外で自然環境に悪影響を与えずに使用するための配慮が十分になされてはいません。そのため、農薬以外の殺そ剤を農地や山林で使用することは認められていません。

 また、これらの法律に則り登録されていない製品は品質および安全面が担保されておらず、農薬取締法、薬事法ともそのような製品の販売や使用には罰則が定められています。農薬取締法では、いわゆる「無登録農薬」を販売した法人には1億円以下の罰金、使用した個人にも3年以下の懲役または100万円以下の罰金と非常に厳しい罰則が規定されています。医薬部外品の殺そ剤も農薬ではありませんので、農地等で使用した場合は処罰の対象になります。

除草剤にも同様の注意が必要

同様な注意が必要なのは除草剤です。「除草剤」と表示して販売されている商品には以下の3種類が見受けられます。


① 使用できる農作物の指定があり農薬登録されている除草剤
② 農作物には使用できないが公園・道路など適用場所が指定され農薬登録されている除草剤
③「農薬ではありません」と表示して販売されている「除草剤」


 これまでの説明で明らかなように、③の「除草剤」は品質および人や環境への安全性の保証がなく、使用した人は農薬取締法違反で罰せられます。販売者は「農薬ではありません」と表示することで自分だけ処罰を逃れるつもりですが、これは「確定的故意」にあたるでしょう。


 MPS-ABCには「それぞれの国で正規に登録認可された農薬を使用すること」というルールがあります。法律違反のリスクもありますので、登録農薬の使用を徹底してください。

MPSニュース10月号_最終

文:彦田岳士(MPS-ABC コーディネーター)

(MPSニュース 2020年10月号 掲載記事)

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