春
春がこんなにも寂しい季節だとは知らなかった。
世界の外に出てしまった僕は、不気味な静けさのなかでぽつりと、空の向こうに咲く花をただ眺めている。
人生を装おうとし続けていることが本当に馬鹿みたいだ。いまこうして生きていることそれ自体が、自分への裏切りに思えてくる。
なのに僕はまだ生きている。何も忘れることができずに。
記憶はここにしか存在しないのだろうか。初めからここにしか存在しなかったのだろうか。
僕はまた誰かを信じることができるようになるだろうか。
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