G-1.0の感想ネタバレあり

新しいゴジラの映画を見に行った。


ゴジラを観るのは二度目だった。

元々ゴジラはじめ特撮に縁遠い子供で、流石にテーマソングくらいは耳にしていたものの作品を見たことはなかった。興味を持ち始めたのは庵野秀明の展示会で彼の特撮への偏愛を知ってからだった。
庵野とゴジラといえばまさにシン・ゴジラという打ってつけの作品があったがとうの昔に上映期間を逃したきりであった。監督の作品は絶対に映画館で見たかったのと作品の評価の高さから見る機を完全に失っていたのだった。

そんな中今月頭くらいに知人からシン・ゴジラを勧められた。今観るかどうか流石に逡巡した。シン・エヴァの体験が強く強く残っていてスクリーン上で監督作品を見たい気持ちが高くあったのだ。庵野信者の私にとってシン・ゴジラが名作なのは分かりきっていたのであとはTV画面上で妥協するかどうかだった。正直かなり迷った。
本筋とはずれるが、その時ちょうど鬱気味で夜の時間を持て余していた。暗いことを考えるより少しでも楽しいことをしていたかったため、結局気分転換を兼ねてレンタルで観ることにした。

シン・ゴジラは凄く面白かった。
その感動を知人へ共有したところ、では新しく公開されたゴジラ-1.0を一緒に観るのはどうかという話になった。
山崎貴監督の作品で、当然だがシン・ゴジラとは切り口が大きく違う。また、聞くところによるとサメ映画のようなパニック要素も強いようだ。
特に特撮好きでもスリラー好きでも、ましてやゴジラ好きでもない自分が庵野監督の解釈から外れたゴジラを楽しめるかは分からなかったが、折角の機会なので行ってみることにした。

正直言って邦画は好きじゃない。観ないし、観ても刺さらない。
以前「告白」という作品を観たことがある。原作小説を読む手間を省こうとダイジェスト版のつもりで手に取り、主演の女優さんの演技はそつがなく丁寧だと思ったが、当初の意図通り本筋以上に刺さるものはなかった。「テルマエ・ロマエ」は面白かったがそれも原作ありきだと感じる。純粋な作品として素晴らしいと感じたのは「万引き家族」くらいだ。

と、今いくつかタイトルを挙げてみたが、正直これが今まで鑑賞した邦画の全てと言っていいくらいである。是枝監督が好きなことは分かったが、それ以上のことは何も知らない。シン・ゴジラが特別だっただけで、自発的に観たい!と思うことは殆どない。今回も誰かと劇場に行くことが既に楽しみで、何を観るかはそんなに重要じゃなかった。



鑑賞終了。以下ネタバレ


鑑賞後に適当にまとめようと思って書いたツイートが以下。(校正あり)

ゴジラ -1.0を観た。シン・ゴジラみたいに再解釈とかメタとかオタクっぽいのを味わう感じだと思ってたら硬派な特撮VFXだった。戦争から始まり義理人情戦艦航空機と伝統的な邦画要素てんこ盛りで良かった。(ゴジラのデザインは現代的だったけど)
ストーリーで特にネタバレを恐れるようなことは無いけど物語の着地点だけは自分の目で確かめるべきだと思った。(言ってることは違うとはいえ構造はドラクエ映画と似てた気がする) 個人的にはなるほど止まりだったけど、収まりが良く万人に勇気を与えられるようなオチだったと思う。
VFXのクオリティが凄く良かった。そういうの好きな人には胸を張ってオススメできる。そうじゃない人も楽しめると思うけどゴジラや戦争っぽい雰囲気が苦手だと無理かもしれない。

前書きに取り掛かっているうちに内容がうろ覚えになってきたので簡単にまとめる

良かったとこ

・主人公の家族が血縁を持たないステップファミリーだった

メイドインアビスを見てから血縁を超えた繋がりにより強い思いを感じ取るようになった。別に親子関係でなくてもよくて、擬似家族というか、後天的な繋がりにグッとくるようになった。(チェンソーマンの早川家とか)
ゴジラ-1.0においてもそうで、序盤こそ躊躇や譲歩があるものの最終的には典子と明子がそれぞれかくり世とうつし世の綱として浩一の動機になっていたのが良かった。
作中では戦後まもなくの混乱で…という感じではあったが、私には少し気を衒ったように見えた。つまり、監督がそう書きたいからそうしたように見えた。(舞台装置として見た時に、家族の在り方があまり効果的でないと思ったため。)
確かにドラマティックではあったが、別に縁戚とかでも自然だし、浩一の心情やゴジラの恐ろしさを煽り立てるのに差し支えはなかったはずだ。
もし監督が擬似家族の美しさに惹かれて描いたのなら、それは嬉しいことだなあと思った。なんだっていいんだけど。

・軍艦と戦闘機がいっぱい。かっこいい

名の知れた機体が色々出て活躍してくれる。戦闘機(名前忘れた)が離陸して足を畳むシーンがかっこよくて好き。

・テーマが簡潔である

特攻を免れた主人公がラストに特攻を果たしつつ命からがら生還しヒロインも存命でハッピーエンドという感じでテーマの提示が非常に簡明。
(ただ肝心のテーマ自体には共感し難かった)

・ゴジラがかっこいい

かっこいい。昭和にしてはサイバーすぎやろとは思うけど生物だからね。進化の過程だから。キャラデザとか令和デザインとかない。ゴジラのVFXが最高すぎ。特撮趣味はないのでロマンとか分からないが、ソフビの雰囲気を残しつつ迫力をもって吠える暴れる姿に痺れた。

・重要人物が少人数に抑えられている

でかい話なのに主要グループを家族3人(とおばさん1人)+わだつみ4人+その他に抑えて話を回せててすごい。


イマイチだったとこ

・悪役(ゴジラ)の掘り下げがなかった。

なぜゴジラが生まれたか、ゴジラはどんな生き物か、何のメタファーなのか、なぜそう動くのか、という説明や考察が作中になかった。
ゴジラは謎に蹂躙してくるし我々も思考停止してゴジラを倒しにかかる。ただ、技術も時間も余裕もない中では倒すので精一杯だと思うので後者は特に違和感ない。
私はアクションシーンが得意でなく、説明で気を逸らさないと疲れてしまう。今回も作中の大半を占めるゴジラの戦闘場面で疲弊しきってしまった。
同行した知人曰く今作のゴジラは戦争のメタファーらしい。なるほど。なら尚更考察はあるべきだったと思う。


・ベタすぎ

邦画が苦手な理由が詰まっていた。あと朝ドラぽい。具体的に苦手な部分を挙げるとキリがないのでもう全体的にと言うしかない。


以上です。
全体的によく纏まった良作、だが自分はあんまり好きじゃない、という感じです。
破綻や不都合はなく全編通じて楽しめると思います。

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