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「クリティカルイシュー」と「トリビアルイシュー」

本記事は「クリティカルイシュー(critical issue)」と「トリビアルイシュー(trivial issue)」の2つの概念を提供します。

イシュー(issue)

本題に入る前に、まず「イシュー(issue)」という言葉の意味を説明します。

名詞としての「イシュー(issue)」は「発行物、刊行物」という意味がありますが、「問題点、論点」のような意味としても使われます。

📕 英語「issue」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

日本語で「問題」と聞くと、「クイズの問い」や「起きてしまった厄介なこと」という印象を持ちますが、その他に「解決するべき対象」という広い意味も持ちます。「問題点、論点」としての「イシュー(issue)」は、「解決するべき対象」の意味合いが近いです。

日本語としての「解決する」は、「厄介なことを無くす」の意味が印象として強いです。しかし、「イシュー(issue)」が持つ「解決するべき対象」の「解決する」は、「詳細を明らかにする」という広い意味も含みます。さらに、ここで言う「詳細を明らかにする」という説明には、「未知であることを知る」という調査・検証や「決定されていないことを決定する」という意思決定の意味合いも含みます。これらの意味の熟語を並べると「解決・解明・決定」です。

実際に、Gitリポジトリのホスティングサービスである Github には issue を投稿・追跡できる場があり、ここには「起きてしまった厄介なこと」や「不満なこと」の他に、「改善案」や「明らかにしたい疑問」など、「解決するべき対象」が広く扱われています。

クリティカル(critical)

「クリティカル(Critical)」という言葉には「批判的に(良いか悪いかの評価、判定を行うように)」という意味がありますが、「決定的な、重大な、重要な」という意味としても使われます。(近年、日本語圏での「批判」という言葉には「否定」「非難」という意味合いを強めた使い方が目立っていますが、どうも、critical にもそのような意味合いで使うケースがあるようです)

📕 critical とは 意味・読み方・表現 | Weblio英和辞書

「critical - おとなのための英単語帳」による解説では、

criは「分ける」なので、単に重要というのとは違って「分かれ目」「ここが大きく左右する」の意味で重要ということ。

と説明しています。つまり「クリティカルである」と「クリティカルではない」で命運が分かれるようなイメージを持つ言葉です。「命運が分かれる」という字面をそのまま解釈すれば、まさに「生きるか死ぬか」くらいの重要さ加減として解釈されますが、そのくらいのイメージで理解しても良いでしょう。

トリビアル(trivial)

「critlcal」の「重要な」の意味の対義語として、Googleの辞書では「unimportant(重要でない)」が説明されていました。

📕 critical opposite - Google 検索

しかし、本稿では「クリティカル(critical)」と対になる概念として「トリビアル(trivial)」を採用したいです。

「trivial」を直訳して「些細な(ささいな)」「つまらない」と説明され、「unimportant(重要でない)」の類語となります。日本語の「些細な(ささいな)」から受ける印象は「大げさではない」というだけのことが多いです。

しかし、本稿で説明する「トリビアル(trivial)」の意味に近い日本語として「瑣末(些末)(さまつ)な」を選んで説明します。

「瑣末(些末)(さまつ)」は「些細(ささい)」と、ほぼ同じように「小さい」「細かい」のような意味で使われますが、「瑣末(些末)(さまつ)」は「本質から外れた」という意味が強調されます

📕 「瑣末」の意味と使い方を解説!「瑣末」を使った例文を紹介 | 言葉の意味を深掘る

上記の参考ページにおいても、「瑣末(些末)(さまつ)」の類語として「トリビアル」が挙げられています。

「クリティカル(critical)」が持つ「命運を分けるくらいに重要な」という意味を「本質」と捉えるならば、「トリビアル(trivial)」は「命運とは関係の無いくらいに重要ではない」という意味として理解ができます

クリティカルイシュー(critical issue)

本稿で読者に与えたい概念の1つとして「クリティカルイシュー(critical issue)」があります。直訳すると「重要な問題」ですが、この日本語としての「重要な問題」という表現からは印象しにくい意味が「クリティカルイシュー(critical issue)」には含まれます。

上記ですでに説明したことを適用すると、「クリティカルイシュー(critical issue)」は「命運を分けるくらいに重要な解決・解明・決定の対象」という意味になります。また、「命運を分ける」は、言い換えれば「成功と失敗を分ける」と言い換えることができます。この説明を使えば「クリティカルイシュー(critical issue)」は「成功と失敗を分けるくらいに重要な解決・解明・決定の対象」となります。

ただし、この説明には「何が成功するのか」という説明が抜けています。しかし、「クリティカルイシュー(critical issue)」という言葉が持つ意味は、「何が成功なのか」については限定していません。成功の対象は、この言葉を使う側によって決定されます。つまり、何を成功とするか、つまり目的の定義によって、何が重要なのかが変わります。

例えば「盛り上がる飲み会を実施する」という計画では「盛り上がること」「気持ちが良い状態で終了する」「そもそも、ちゃんと実施できること」というあたりの結果が成功になるでしょうか。(「盛り上がる」とはどういう状態か?というクリティカルシンキングについてはここでは触れません)仮にそうした場合、「参加メンバーを誰にするか」「どのお店で実施するか」「何曜日の何時からにするか」あたりのイシューが、クリティカルイシューとなりそうです。

トリビアルイシュー(trivial issue)

「トリビアルイシュー(trivial issue)」は「クリティカル(critical)ではないイシュー」と捉えると、意味がわかりやすいです。

すでに、「トリビアル(trivial)」の意味は「命運とは関係の無いくらいに重要ではない」として理解できると説明しました。「命運」を「成功と失敗」の説明に言い換えると「成功と失敗に関係が無いくらいに重要ではない」になります。この理解を応用すれば「トリビアルイシュー(trivial issue)」の意味は「成功と失敗に関係が無いくらいに重要ではない解決・解明・決定の対象」となります

つまり、とあるイシューについて、そのイシューを解決・解明・決定したとしても、何ら成功に貢献しないようなイシューであれば、それは「トリビアルイシュー(trivial issue)」であると言えます。

例えば、先程の「盛り上がる飲み会を実施する」という計画の例を再び取り上げますと、「お店の座布団の色は何色か?」「集合時間は、19時ぴったりにするか、それとも19時5分にするか」などが「トリビアルイシュー(trivial issue)」になりそうです。

どのイシューがクリティカルかトリビアルかは、目的に依存すると説明しましたが、この飲み会の例においても、例えば、実施目的が「地ビールを味わう」だったとすると「お店で地ビールを扱っているか」が、クリティカルイシューとなります。(「なんでもいいからお酒が飲めれば良い」という集まりなら、「お店が地ビールを扱っているか」というイシューは一転してトリビアルイシューとなります)

余談:人生のクリティカルイシュー

もし、人生の成功を「なんとなく良い気分で居続けること」と捉えた場合、何がクリティカルイシューになるでしょう。

あなたが今悩んでいるそれは、人生のクリティカルイシューですか?トリビアルイシューですか?


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