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#ネタバレ

宝塚歌劇雪組「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」感想

またベルばらかぁ…と思いながら見たことを反省するぐらいには、新鮮な体験だった。始まって慣れるまでは、古典歌舞伎のようなあの独特の台詞回しがむずがゆかった。それはもう、しょうがない。現代劇とは違う演出なのだから、しょうがない。ただその型に対して、今回の雪組は何か真摯さのようなものを感じた。既にあるものを手法としてなぞるのではなく、その型をひっくるめた”役”を自身に落とし込んで発声する、それをものにしていた人が多かったように思う。特に咲ちゃん・あやちゃん・あーさの、物語の主軸とな

八月納涼歌舞伎 第三部「狐花」2回目 感想

1回目の観劇のあと、小説をKindleで買って読み、2回目の観劇を追加。見たいと思った時に取れる幕見席ありがたい。小説から情報量を吸い取ったからか、前回よりも時間の進みが早く感じて見やすかった(笑) 今回は主に小説との違いをメモとして残そうと思います。記憶違いはあると思うので、ご容赦ください。 ■ 『?』 監物が信田の屋敷を襲撃するシーン。襲撃の騒ぎを聞いた美冬が、いち早く赤子の洲齋を逃がす。美冬が”葛の葉”の文を懐から取り出し、洲齋に預ける様子も描かれる。右奥の掛け軸

八月納涼歌舞伎 第三部「狐花」感想

奇妙な縁、深い業の中で、簡単に人を殺し、人が殺される。そして怨念による復讐はカタルシスとなる。けれど今作は、洲齋がその歌舞伎の枠組みの”外側”に居続けたことにより、異質な物語になっていた。監物に「恨むなら殺してみよ」と刀を差し出されても屈することはなく、言葉で、会話で相対し、殺した者の幽霊が見えるならそれは人の心がある証だと説き伏せ、”供養”を促した。誰がどう見ても極悪人であった男が、最後は憑き物落としの洲齋によって、まさに憑き物が落ちたように涙を浮かべる。洲齋の「お前の幽霊

範宙遊泳「心の声など聞こえるか」感想

イタかった。序盤はとにかく。範宙の作品を生で見るのは本当に久しぶりで、前回の「バナナの花は食べられる」は配信映像を見た。生で見て気づいたのは、配信だとそのイタさから目を背けられるということだった。自宅なら、適宜目を背けたり、乾いた笑いでリアクションが出来る。だけど劇場だとそうはいかない。どうしようもなく目の前にあるし、笑おうにも、そのイタさが微妙なテンションで、笑おうか笑うまいか迷ってる間に次が来るのだ。困る。困った。たぶん周りもそうだったと思う。あのイタさをどう受け止めよう

モダンスイマーズ「雨とベンツと国道と私」感想

あの世界で描かれていたのは、傷つくことには敏感だが、傷つけることにはあまり自覚のない人達だった。特にパワハラの根底に多く存在する、”〇〇のためを想って”という身勝手な理由づけがされた加害性が炙り出されていた。そして被害者・加害者側のどちらか片方に寄り切ることはなく、その立場は表裏一体のものではないかということを、ほぼ全員を通して描き切っていた。そのせいでというか、坂根に復讐を遂げるカタルシスもなければ、五味に感情移入することもできず、全体的な生ぬるさを感じたのだった。そしてそ

梅棒18th「シャッター・ガイ」改 初日感想

初めてのIMMシアター。 列の段差が結構はっきりしてて見やすかった。キャパもほどよいし、もしかしたら今後の梅棒恒例劇場のひとつになるのかな? 初演は千住公演を観劇したはずなんだけど、配役とかほとんど記憶の彼方で…。印象として残ってたのは、遠藤さんと塩野さんの熱い親子物語・目抜き通りでばちばちにかっこよく登場するセヴン姉妹あたりだったかな。 なので、あ〜こんなことあったな!って言う気持ちと、こんなのあったっけ!?って言う気持ちと、あと今回は初演からガラッと配役が変わった「改」