#8. 英国と指輪の関係 *ang- [England/उंगली]
Englandの語源になった語根*ang-には"curve, bend"つまり"カクッとまがったもの"を指す意味がある。Anglo-Saxonの故地名、Angelnは"釣針"の地形に由来しているとか。
他にカクッっと曲がっているものと言えば、anchor"⚓️"、angle"角度"やankle"くるぶし"も*ang-に関係している。インド語派に行くと、サンスクリット अङ्गुरि/अङ्गुलि (aṅgúri/aṅgúli) "指" や अङ्ग (áṅga) "体の部位" と、似たような単語に派生している。(関節→体の部位という意味の変化か)現代ヒンディー語に行くとअंगूठा (aṅgūṭhā) "親指" や उंगली (uṅglī) "指"となる。
くるぶし ankle に付ける装飾品
anklet "アンクレット"。
指 अंगूठा (aṅgūṭhā)に付ける装飾品
अंगूठी(aṅgūṭhī) "指輪"。
アンクレットとアングーティー。
似ているものには訳がある。
英語語源辞典ではpalanquin(पल्यङ्क)"みこし"も関連があると載っていて、परि (pari, “around, about”) + अङ्कस् (aṅkas, “bend, curve”) という解釈もあるようだが、一方でこれはドラビダ語かエラム語からの借用で*ang-には遡らないとする見方もあるようだ。なお、palanquinはポルトガル語経由でオリヤ語 ପାଲଙ୍କି (palôṅki) から来たらしい。पल्यङ्क/पर्यङ्क もそうだが、現代ヒンディー語の पलंग (palaṅg) の意味は"みこし"というよりは"ベッド"だ。