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「あー、ただ転んだだけなのか。」 ~転んだ先で見えたもの~

昨年の夏頃、パニック障害になった。私は製造業の営業部配属だった。
ある日、営業中運転ができなくなり、客先でも話すらまともに聞けない状況になった。全ての案件を抱え込み、上司に相談することもなく体も心もボロボロで、上司の前で泣き出す始末。もう,精神的に追い込まれていた状況だったので、お休みを頂くことに・・・

一ヶ月の休職期間中、涙と発作が止まらないことも多かった。
私は何で営業職を希望したのか、何で抱え込むほどの仕事量があったことを上司に相談しなかったのか、どうしてこの会社に入ったのか。・・・それらすべてが私の中での失敗だった気がした。
私がいなくても会社では、仕事が回っている。その事実を知った時も無力感に苛まれた。
仕事を辞めようか悩んでいた中で、直属の上司や他部署の上司が連絡をくれて、部署異動の話が出た。心配して声をかけてくれる方々の応援があると感じて、私はお世話になっている会社でもう一度頑張ろうと決めた。
復帰の日、私はスーツではなく作業着。ものすごく緊張する中のスタートで配属部署は製造部の製造事務だった。この日を境に、私の中の全ての価値観が崩れた。
感じたこと・・・「製造現場の人たちはかっこいい。」ってこと。
それと同時に私は恥ずかしくなった。

営業部時代のこと、加工者は物を作って当たり前の存在だと思っていた。でも、現場は違った。寸法をしっかり守って綺麗に加工する、どんなに細かい作業でも丁寧に早く梱包する、製品に不具合がないか細かいところまで確認する品質管理・・・
何から何まで、「当たり前のこと」 ではなかったからだ。
そこで、私は気づかされた。今まで現場の人たちを見下していたこと。
スーツを着こなし、ヒールを履いて歩く私の姿は,偽物だったこと。

これらを感じた時に、私が思ったことは、
もっと、感謝しよう
もっと、謙虚でいよう
もっと、笑顔でいよう
営業時代、急な見積依頼、不良の連絡、サンプル依頼等に追われていた日々を過ごしていた私には感じられなかった。
私の中で人を見下す感情があったことにも初めて気づけた。でも、気づけたことで、もっと会社の人達をサポートしたいと思えた。製造事務で、ただ自分の作業をこなすだけではなく、加工者が円滑に仕事をできるようなサポートをするには、どうしたらいいのかを考えながら、行動に移していった。
その行動を通して、気がついたこと。

これからの私は、私がもつ優しさで、関わる全ての人を支えられるような人になりたい。
ふと、そんな感情が湧いてきた。

私は退職を決意した。ものすごく、勇気がいった。決断って大きい。
でも、パニック障害になって、自分の失敗に気づき、その失敗から得られたものがある。
私が得られたものは、「当たり前じゃないことが、そこにあったこと。」
それに気づいて、仕事や人に対する関わり方が前向きな方向に変化した。
そう思うと、失敗は失敗だけれど、私はただ、人生の道の途中で転んだだけなのだ。と思えた。転んで学べたのなら、助けてくれた、素敵なことに気づかせてくれた方々に感謝の気持ちを忘れずに、次の一歩を踏み出そうと思えた。

失敗は誰にでもある。失敗を通して、仕事に対して、向き不向きが分かったり、自分の汚い内面を知ったり、改めて感謝をすることができる。そして、その度に人の心と体は強くなるはずだ。弱くなることなんてない。だから、私は過去の選択に間違いはなかったはずだし、これからも、たくさん転ぼうと思う。そして、転んだ先で学べる私でありたいと思う。


#あの失敗があったから

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