Review-#030 『2020年冬アニメを観たので感想を書く』(下)

 『観たので感想を書く』コーナーの続きといきましょう。構成の都合上、このページではいきなり2019年夏アニメである『ダンベル何キロ持てる?』を紹介しています。タイトル詐欺は今に始まった事じゃないけどさ。どうにかならんかったか、と訊かれたらすみませんなりませんでした、と返すほかありません。「うわそら」の方で関連した(?)記事書いたしー…本編にも触れておきたかったんだもん。

 それはともかく、ここで取り上げる4作品。いつもに増して女の子成分が多めですね。だから何だって話ですが。

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<このページのお品書き>

ダンベル何キロ持てる? (おまけ)
恋する小惑星
⑦ 22/7(ナナブンノニジュウニ)
⑧ 推しが武道館いってくれたら死ぬ

《PREV
(『ID:INVADED イド・インヴェイデッド』
『虚構推理』
『群れなせ! シートン学園』
『ドロヘドロ』)

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ダンベル何キロ持てる?

(2019年7月-9月)

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アニメーション制作:動画工房
監督: 山﨑みつえ
シリーズ構成: 志茂文彦

<TVアニメプロモーション映像>

<☟アニメを楽しんだら、次は原作全巻揃えてみる?>
ダンベル何キロ持てる?
(裏サンデー/マンガワン連載・2016年8月5日~)

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原作:サンドロビッチ・ヤバ子
作画: MAAM

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1日わずか24分 ボディ改革宣言


 昨今の筋トレブームの中で放送された本作、面白く見させていただきました。どっちかというと"funny"よりも"interesting"の意味合いが強いんですけどね。勿論体を張った(文字通り)ギャグには笑ったのだけれど、ゲラゲラするタイプの作品ではないように思えたな。どういったトレーニングがあるのかとか、どういったプログラムなら続けられそうかという所に注目していたのもあって。

 各エピソードでは話の内容に合わせてスポーツジムの器具の使い方や、自宅でできるトレーニングなどが紹介されています。食事の摂り方などの豆知識も。Cパートではアニメを観ながらその場で実行可能なトレーニングをキャラと一緒におさらい。本放送のCMタイムを利用した粋な演出も。
 ただ、後半のエピソードはちょっとネタ切れ気味な部分もあったか。まぁ無限に存在するわけじゃないしねぇ…。

 ウザメイド』を手掛けた動画工房ということもあって作画は安定していたし、中毒性の高いOPED曲も最高にキレているけど、本作での一番の収穫はひょっとしたら、主人公・紗倉ひびき(さくら ―)を演じるファイルーズあい女史を知ることができたことかもしれませんね。1話から「ホントに新人さんかよ!?」と驚かされる演技で、ご本人の外見も中身もスゴいお方。
 NHKの『みんなで筋肉体操』に出演なさった時はビックリした。後述する『推し武道』も良かったし、今後に期待。ものすごーく期待。

 本作のおかげで筋トレ、結構続いてます。分かりやすくて何よりだけど、それこそが狙い目なんだろうね。まんまとしてやられました。これ、Eテレで流してもイケるんじゃないの? やたらエロいシーンと喘ぎ(原作準拠)を除けば。しかしお前、「ひぎぃ」って…。この頃自宅に籠ってて身体が鈍るから困る、という方は明日からでもコレを観てトレーニングを始めてみては。

ダンベル

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恋する小惑星

(2020年1月-3月)

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アニメーション制作:動画工房
監督:平牧大輔
シリーズ構成:山田由香

<TVアニメプロモーション映像>

<☟KiRA KiRAな原作もよろしくね>
恋する小惑星 (まんがタイムきららキャラット連載・2017年3月~)

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作:Quro

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まったく、小惑星は最高だぜ!!


 『わたてん』のスタッフが結集して制作された本作は天文と地学、ふたつのテーマに打ちこむ女子高生たちの日常を描いています。この『恋アス』、今まで観てきた日常系と比べると違った雰囲気のある作品に仕上がっているように思います。
 なんか日常系よりも日常感があるんですね。穏やかな時間が流れゆく中で、自分たちの夢に向かって部活動に精を出す。宙への憧れと大地の不思議。人の流れ、夢へと繋がる挑戦。親しかった先輩の卒業、新たな後輩の入部。

 この世界を、どう受け止めるか。綺麗で尊い日々か、それともあまりにも綺麗過ぎて(傍から見ている分には)退屈な日々に見えるか。ここの部分で判断が分かれそうですね。真面目に部活やっていて青春を感じるし、随所で出てくる天文&地学知識はタメになるのです。キャラクターも皆可愛いしね。
 反面、色々と詰め込み過ぎかな。そりゃあ「小惑星」を見つけることが主人公の目的だとするなら、それ関連のエピソードまで進めたいところではあります。でもその分、キャラの掘り下げやギャグシーンが割を食った感じで勿体ない。特に主人公のはずのみら&あおが薄い。

 絵が綺麗だというのは、流石の動画工房。ただ観続けていられるかは…この作品に何を求めるかで変わってくるでしょう。『恋アス』で描かれた青春に注目するのであれば、光るところはある。
 判定がGOODなのは、そんなこの世界をもうちょいゆったりと眺めていたかった…という勿体なさが強いからです。特段キツい描写があるわけでもなければ、むしろそれとは真逆の作品なのですが、それもあって薦める相手は選びます。確実に。

恋する小惑星

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22/7 (ナナブンノニジュウニ)

(2020年1月-3月)

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アニメーション制作:A-1 Pictures
監督: 阿保孝雄
シリーズ構成:宮島礼吏・永井千晶

<TVアニメプロモーション映像>

<☟もう一つの物語がコミカライズ版で展開されています>
22/7+α (サンデーうぇぶり掲載・2020年1月12日~3月29日)

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企画協力:秋元康
ストーリー原案:宮島礼吏
作画:葛西尚

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およそ3と覚えておきゃあいいんですよ(そういう事ではない)


 本作について感想を書くのは「ムズイヨ」と思っています。特段ファンというわけではありませんが、玉虫色の判定にしかならない。

 バーチャルアイドル「22/7」(通称ナナニジ)を扱った本作、一番しっくり来なかったのが構成。連続アニメという形で、各アイドルの過去話による掘り下げを何よりもやりたかったのかは分からないけれど、そのおかげでアイドルグループとしての活動の描写がおざなりになってしまったと思います。
 壁(比喩とかじゃなくてマジもんで)なんていうファンタジーで大層なモノを用意しておいて、お話の中であんまり活かされていないのってどうよ。最後のアレをやりたかったのかな? 掘り下げるにしても、エピソードと今のアイドル活動との繋がりの弱さが気になる。

 作画は概ね良いし、キャラデザも可愛らしくてGOOD。そこは良いんだけれど、一部メンバーの演技が拙い所為で(周りは自然なのもあって)浮いてしまっている。余計に。お芝居をやっているという前提で観た時に、もうちょっとどうにかならんかったかと突っ込まずにはいられない。
 現在『22/7 計算中』というバラエティが放送されていますが、(キャラ作りこそあれど)伸び伸びとやってる感じがしていて、アニメそのものを薦める気にはならないんですよね…。

 彼女たちには時期尚早ではなかったか、という意味も含めてMEDIOCREという判定ではありますが、「アニメからハマった」という人も「アニメを観て『計算中』がもっと楽しくなった」という人もいるから、ホントに難しい…う~ん。

ナナニジ

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推しが武道館いってくれたら死ぬ

(2020年1月-3月)

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アニメーション制作:エイトビット
監督:山本裕介
シリーズ構成:赤尾でこ

<TVアニメプロモーション映像>

<☟原作だって、今日も推しが尊い!>
推しが武道館いってくれたら死ぬ (月刊COMICリュウ連載・2015年8月~)

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作:平尾アウリ

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佐賀だったらもう死んでますけどね(ボソッ)


 冬期、個人的には放送前から注目していた作品でした。岡山の地下アイドルグループと、それを熱狂的に追っかけるドルオタ女子のお話。注目していた理由の一つに、主人公えりぴよをファイルーズあい女史が演じているってのがありましてね。キャストから作品に入るなんて我ながら珍しいな、と思いつつ視聴したら期待に違わぬ熱演ぶり。いやぁ良かった。

 えりぴよが推しに推しまくっているメンバー、舞菜とのすれ違いながらも徐々に距離を詰めていく恋物語。その他のメンバーにもスポットが当たるエピソードが挟まれていまして、そこまでディープではないとはいえ百合要素盛り盛り。
 でも最終的に誰推しになるかと言えば、えりぴよかな…。ファッションはともかく可愛いし、おもしれー女だし。現実のヘヴィなドルオタにとって、彼女はどう見えるんでしょうか。割と普通なのか、このレベル? 少なくとも私には到達できそうな領域ではないという意味で、最早えりぴよがアイドルでいいんじゃないんすか。…内臓は売りたくないなぁ。

 全体としてはあまり話が進んでいる感じがしない、というのは気になるけれど、独特の科白回しは面白いし、綺麗でもどかしい想いのやりとりも沁みる。えりぴよは…うん、綺麗、なんだよ。手描きに拘ったライブシーンもしっかり動いていて良かったです。さらにEDで『♡桃色片想い♡』を採用するとは、スタッフ分かっちょるな。
 とまぁこんな具合で、キラキラしているところが多くて楽しめる作品でした。

推し武道

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 2020年冬アニメ(+α)の感想はこんな感じで。一応春アニメも予定しています(昨年の春に「また秋にでも」とかぬかしてた奴)が、どうなることやら。夏に仕切り直し、というケースもあるので、結局のところ春アニメとして紹介できる作品数は多くないかもしれませんね。その夏とてまだ予断を許さない状況だし…。
 まぁ、上げられそうなら上げていくスタンスでやっていこうと思います。要はいつも通り、ということで今回はこの辺で。

《了》


©2019 サンドロビッチ・ヤバ子,MAAM・小学館/シルバーマンジム
©Quro・芳文社/星咲高校地学部
©ANIME 22/7
©平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会