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タイトルの難しさ。「女子」とくくることと、分かりやすく売ること。原案者とテレビ業界の話 ※2024年6月20日追記


・「ソロ活女子のススメ」というタイトルについて


Twitterでもツイートしたんですが、ツイートだとどんどん下のほうに埋もれてしまうので一応同じ内容をこちらにも。
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本のタイトルって基本的に出版社が決めるものでその当時私は「“女子”が若干気になりますがこれって必要ですか…?」と聞いており。そのほうが売りやすいという版元判断でした。それも分かるし、難しいなー…と思った。せめてものの、ソロ活は女性だけに限定した話ではないです、と必ず言うようにしてる。

念のため言うと版元批判ではないです。売ることのプロが「その方が売りやすい」と判断したものには従いたい。ターゲティングは避けて通れず、レッテル貼って差別したいわけでもなく…。タイトルに性別や年齢などを一切使わずに済むほどはまだ時代は変わっていない難しさがある…、ということなのだと思う。

だからタイトルに違和感がある、と言う人の気持ちもめちゃくちゃ分かる。
ぶっちゃけ私もある。
だってそもそもソロ活って女性だけのものじゃないし。タイトルに「女子」とつけてしまうと、どうしても女性に限定されたことに見えてしまうんじゃないか、と思った。

でも、10年以上、雑誌作ったり記事書いたり本作ったりしてきて、「見つけてもらう」ためのラベリングが効果的なのもすごくわかる。どんなにいいものを書いたって、手に取ってもらえなければ、見つけてもらえなければ、読まれなければ意味がない…。これは本に限らず、テレビとか他のメディアでもそうで、わかりやすいis正義、みたいなところがある。

それに、ドラマ化については、このタイトルだったからこそ、テレ東さんに見つけてもらえた、とも思うんですよね。女性向けのドラマを作ろうと思ったときに、プロデューサーさんはきっと、「孤独のグルメ 女性」とか「ソロ 女性」とかで検索したんじゃないかな、と思うんですよ(聞いたわけじゃないから私の想像だけど笑)。少なくとも私なら、女性向けのドラマを作ろうと考えたときに、資料になりそうな本を探すとしたらまずはそういう探し方をするんじゃないかなと思う。あまりにも多くの本が溢れるこの世の中で、「ソロ」とか「女子」とかタイトルで掲げていると、目に留まりやすいのは間違いないです。
このドラマでたくさんの人が救われて癒されているというお声をいただきます。テレ東さん、見つけてくださってありがとうございます、という気持ちでいっぱいです。

と、こんな感じで色々な事情を考えると、この問題は、なんとも難しいのです。
性別などでレッテル貼りをしたくない思想はめちゃくちゃ強いけど、もの作りの世界の事情も同じくらいわかるので、難しい。自分の中でこの問題への結論は出ていません。

私の考えは、ドラマ化についての原案者コメントで以下のように書いたのがすべてです。
↓↓↓

“ソロ活”は未婚、既婚、恋人の有無、性別、年齢に関係なく、全人類に開かれた娯楽です。タイトルに「女子」と入っていますが、女性じゃない性別の方にも楽しんでいただけます。ひとりは楽しい。だからといって、みんなで一緒に何かをするのがダメなわけでもない。ドラマの中には、誰のことを否定するわけでもない、自分の「好き」に正直に生きる主人公の姿があります。

・シーズン4 第7話屋形船「一人寂しく」のセリフについて

タイトルの件とはちょっと別の話なんですが、
「ソロ活女子のススメ」シーズン4の第7話の件も、ここに載せておきます。

「ソロ活女子のススメ」第7話 ソロ屋形船の回での「女将が一人寂しくお見送り」という台詞、私としては使ってほしくない表現でした。
「ソロ」を肯定的に扱う作品で、この表現は相応しくないからです。
でも、番組側の強い意向で変えてもらうことはできず…。この表現に傷ついた方がいましたらごめんなさい。
この表現が、私の意志とは異なる旨を投稿することは事前に制作サイドに伝え済です。
特に何も感じずドラマを楽しんでおられる視聴者さんに対して、水を差したくもなく、投稿するのも少し迷いましたが、やはり意志表明だけはしておこうと思いました。
「一人寂しく」は、「一人」の肩身が狭かった時代に、「一人を揶揄する」意味合いから生まれた言葉。
この風潮を変えようとする作品で、この表現を使うのは、違う。と私は思ったのです。
※とはいえこの投稿で番組を炎上させる意図はありません。番組制作様を今後も応援して下さい。

2024年6月現在、原作者・原案者とテレビ局側の話がかなり問題視されています。「セクシー田中さん」の痛ましい事件で多くの作家さんたちが過去にひどい目に遭った話をしていて、世間が思うよりもずっと、作家の権利や立場は弱い、ということが明るみに出ました。これについて、私自身のことや、思うところを話せる範囲でお話します。実のところ、

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