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【ギターの科学】 脱力とは筋肉の時空の問題である

筋肉にできることは「縮む」だけ。

こんにちは、今日はギターを弾く体の使い方に関する記事を書いていきたいと思います。

最近は解剖学の本を読んでいまして、以前から自分の演奏上の課題だと思っていた脱力についてある程度知識が纏まってきたのでこちらで紹介してみたいと思います。

力むってどういう状態?

脱力を考えるためにまずその対極にある「力む」について考えてみたいと思います。

まず実際に試してみたもらいたいことがあります。

ダンベル(なければ何か重いもの)を力瘤を作るように持ち上げてみてください。そしてそのままゆっくりおろしたり、途中で止めてみたりしてください。そしてそのときの腕の筋肉の動きをもう片方の手で感じてみてください。

持ち上げるときには腕の上側筋肉、上腕二頭筋が硬くなっていることがわかったと思います。そして下げるときには下側の筋肉、上腕三頭筋も硬くなっていることがわかったと思います。そして止めている最中も両方固くなっている。

重いものに逆らってその場所に腕を固定しようとすると、腕を曲げる筋肉と腕を伸ばす筋肉両方に力を入れる必要があります。逆に言うと腕を曲げる筋肉と腕を伸ばす筋肉両方に力を入れるとその場に固定されるのです。これが力んでいる状態です。

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この状態では動きが固定されてしまいます。無理に動かそうとすると腱や関節に余計な負担がかかることになります。これは怪我の原因にもなります。

脱力その1

以上の説明より、腕を素早く曲げたいのであれば曲げる方の筋肉だけに、素早く伸ばしたいのであれば伸ばす方の筋肉だけに力を入れてやる必要があるのです。

つまりその運動に必要な筋肉だけに力を入れてやることを脱力といいます。

脱力その2

そして脱力にはもう一つの側面があります。それは時間方向です。

例えば指で弦を弾くとしましょう。この時力を入れる必要があるのは指が弦に触れてから弦を離れるまでです。

それ以外の時間に指に曲げる力をかけているとそれは無駄な力になってしまいます。指弾きの場合弾いた後の指はまたすぐ次のポジションに戻す必要があるため、このときにまだ曲げる力が入っていると、戻すための伸ばす力を妨げてしまいます。

ついつい大きな音を出そうとして弦に触れていない間にも力が入ってしまいがちなのですが、実は力を入れる必要があるのは一瞬であるということです。力が必要な瞬間だけ力を入れることを脱力と言います。

我々にできることは

以上より、場所と時間について意識を向けることが脱力のカギであるとわかりました。しかしいきなり時間方向の分解能を上げろ、筋肉の部位の意識を向けろ、と言われても難しいと思います(自分もできません。。。)

そんな中で手がかりになるのは、自分で触って筋肉の強張りを確認する、スルーモーション撮影をして動きをゆっくり確認する、ということです。

これらを少しずつ繰り返して行って自分の体の感覚の分解能をあげる、今までデフォルト引数でしか操作できなかった部分に引数を自分で入力していくような感覚で取り組んでいけば、少しずつ脱力ができ、スムーズな動きができるようになると考えています。

まとめ

いかがだったでしょうか。脱力というのは必要なところに必要な時だけ力を入れるということでした。筋肉の部位と力を入れる時間を意識してみると今までとは少し違った感覚で練習に取り組めると思います。

自分もまだまだ脱力については試行錯誤をしている途中ですが、これらを意識するようになって今までよりも楽に体を使えるようになったと感じています。

この記事がみなさんのギターライフの一助になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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