人生と住まいとその温度

私が生まれた町は、人口わずか数千人に対して高齢者の割合が40%超え、観光も娯楽も何も存在しない。夜は物音ひとつ聴こえてこない限界集落のようなところだ。

市街地は、徒歩1キロ圏内に診療所・役場・公共施設がまとまって軒をつらねる。地方自治体の建物がいくつかあるくらいで、中小企業の支店なども存在しないため勤め先がなく、人口の流入はほぼ皆無である。

農村地区に住んでいる友達がほとんどなので、基本的に木登りや木の実の収穫、セミやトカゲ、カブトムシを捕まえたり田んぼに落ちたりという遊び方になる。
スタジオジブリに出てくるような田舎に移住したい人、どうぞお越しください。土地は腐るほどある。最高のスローライフが体験できますし、子供が純真無垢にすくすく育ちます

北海道の夏は過ごしやすいというのは幻想です。日差しを遮ってくれるビルやクーラーのきいた商業施設がないから。
それでも風が吹いて一面の草木がざわめき、青々とした見渡しの良い景色を独り占めできる。揺れる陽炎の奥にそびえる山、それから川や湖などがそれはそれは綺麗で何度でも圧倒される。

私の通う中学校は何故か農村地区にあり、自転車でも20分、冬は徒歩で50分かけて通学した。
真冬にコンバースで帰宅したら足の裏の感覚が消失していて、歩行はおろかベッドに上がる動作もできなくなり整形外科に診せた。
「コンバースは真冬に歩ける靴ではないよ」で片付けられてしまった。シロウトでもそんな事わかるわって感じ。クロウトも大した事ないね。

コンバースが勝手に私の足の形に馴染んで、ふわふわのクッションみたいになってくれたらいいな

田舎なので学年ごとに児童が20〜30人しかおらず、私は常にテストは満点、必然的に学年ダントツ1位に君臨していた。
性格もおとなしく目立つことのない子どもだったが、成績の話になると親や教師が頬をゆるめて褒めてくれるので勉強って便利だな、と思った。

勉強するだけで評価されるなんて容易いものですね。

父と母がそれでも厳しく言い聞かせてきたことがあった。
「広い世界を見て、自分で決めなさい。もっと視野を広げて刺激をもらいなさい」
さいわい両親は教育にお金を惜しむ人たちではなかったので、幼い頃から片道40分かけて塾に通わせてもらっていた。
友達もいないのでひとりぼっちで授業を受けた。
塾講師は効率重視で、田舎の学校の底上げ教育とは違い「志望校に受かる」ただそれだけに重点を絞って教えてくれるのですごく良かったなあ。まわり道や紆余曲折は個人的には嫌いじゃないが。

そのうちぽつぽつと友達ができ、グループが生まれることになる。無事に偏差値67の高校に合格したら入学式で一緒になった。

もうひとつの貴重な発見。
考えに偏りがあるのかもしれないが、小さなころから頑張り抜いてきた人はきちんと芯が通っていて、かつ個性的である。
たくさんの面白い人がいた。家庭環境も十人十色。驚きの出自のやつもいたし、200キロ先から下宿して来ているのにも関わらず仕送りを買い食いに費やしてしまい、シャワーを浴びる金がなくなって異臭を放つ「おかわりくん」というあだ名の人とかもいた。
生徒の個性爆発しているわりに不思議とイジメはなく、みなそれぞれ忙しくしていたので周りに構っている余裕が無かったように思う。
適度な距離感が友人間にも自然と作られており、近寄ろうとすると一歩引かれてしまうような瞬間が多々あった。その代わり、人間関係が凝り固まることなく波風も立たないのでかなり平穏に過ごさせてもらった気がする。なんかわからないけど内閣総理大臣とその側近みたいなのがいて、行事とかはそれなりにうまくまとめてくれていたのかもしれない。きっと彼らは立派な仕事に就いている。

5年に1度くらいは連絡をとることがあって、なぜか私のクラスの奴らは海外に散らばっているので会えない。成功してるとかしてないとかはわからないけど、独身でやりたいことをやっているらしい。

最近は日も短くなり、幻想的な雪の季節が近づいてきたところだ。
私は来年度、札幌へ移り住むかどうかで迷っている。昨年ひと足先に友人に上京されてしまい決断の遅れた私が取り残される形になってしまった。北海道の良さとか語って、東京はどーたらこーたらで住めないかもとかあげつらってばかりである。ちなみに友人は無職のぶんざいで上京して今も無職、同居している人のお金が続かなくなったら生活が立ち行かなくなるらしい。

冬が明るいと思ったことはあるだろうか。冬の深夜に考えごとをしながら歩くと、スキー場の灯りやオレンジ色のナトリウムライトに照らされた真っ白な積雪に出会う。
かなしく曇ったような空に感じていた日中から、深夜にかけてガラリと表情を変えるそのさまに驚かされる。

突き刺す12月と伊勢丹の息が合わさる衝突地点ってどういう意味か考えてしまうね。椎名林檎は東京で何回恋愛したんだろうか。

私は田舎でうまれたもののその土地に何の愛着もなく、閉鎖的、排他的で噂話にばかり執着しているムラ社会に辟易している。てかシンプルに村社会になるしかないよね。東京のような寛容さとか適当さは無い。
他人のことなんか構わずに忙しくしててほしいし、むしろあなた方は私のことで時間を割くほど暇ですか?と問いたいです。
嫌われ者だし、仕事柄そうならざるを得なかったところもあるから仕方ないことなのだが。過干渉なのは嫌いなのだ!

人口が多い都市部では孤独死の問題などが取り沙汰されている。たくさんの他人に見守られて安心できる田舎とは雲泥の差なのだろうが、そもそも他人には見られたくないですってタイプなので自分は大丈夫だと過信している。友達?いなくて結構。(強がり)

静かに暮らすことは孤独と隣り合わせかもしれない

だけど私は

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